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中字は正字に比べてやや文字が小さく、そのためやや外輪が広くなる傾向があります。また、寛尾内跳ねで筆勢や文字の太細に欠けます。背文は筆勢がなくなよなよした感じの離点文。
なお、掲示品は直径25.3mもある初鋳品と思われるもの。ただし、母銭とするには内径が小さいですね。 |
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文銭の白銅母銭の存在は噂に聞いたことはありましたが実見するのははじめてです。2021年の駿河に出品され強気の応札で無事入手することができましたが、ほれぼれするほどの白さに絶句してしまいます。
外径25.3㎜ 内径20.5㎜ 重量4.2g |
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意外に思われるかもしれませんが、中字には大きなものは少ないのです。母銭とはいえ25.5㎜を超えるものは珍しく、25.6㎜を超えるこの品は大ぶり銭とされます。重量も4.1gとなかなか立派。全体的に黒く発色していますが、文字の際に地金の銅色が残っています。
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※大きくて内郭が滑らかなので母銭としましたがこれでさえ完璧な母銭とはいえないと思います。文銭に母銭なし・・・とは良く聞く言葉ですから・・・。 |
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中字は正字に比べて手替わりが少ないのですが、玉一文は中字にあって広く認知されている変種です。文の横引きの末画に玉状の筆どまりがあります。
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背文の第3画の頭が短いもの。中字の入文は鋳型の縦ずれ修正が原因と考えられます。そのため背郭が縦長になる特徴があります。また、横引きの右側の下側がわずかに削られています。 |
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背文の横引きに鋳切れがあります。掲示品は切れ目がやや左気味の前奇文です。 |
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背文の横引き後側に鋳切れがあります。 |
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背文の最終画の先端が点状に切れるもの。比較的存在は多い。 |
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背文の最終画先端が完全に欠落しているもの。評価の割りに存在は少ないと思います。 |
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中字背広文(参考掲示)
一番上に掲示している画像もややそうなのだが、背文がさらに横広で深字にちょっと似た形状。背郭が横広であるため鋳型の横ズレで生まれたものだと思う。案外深字はこんな母銭の修正から生まれた・・・なんてことはないだろうか? |
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すごい! 中字背文 跳永
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畠山章弘氏所蔵の鋳ざらい母銭です。外径25.9㎜、内径20.8㎜と通常の母銭よりもひとまわり大きく、原母銭といってもおかしくはありません。大きさは拓図からも充分感じられます。
すべての文字が鋳ざらい加刀されていて、とくに永尾が鋭く尖るのが特徴です。
現時点では一品物の大珍品ですが、この子銭あるいは類似母銭をお持ちの方はいらっしゃらないでしょうか?収集家としてはあこがれの逸品ですね。
(浅草古泉会3周年記念拓本図絵 拓本輯御蔵銭から) |
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寛文期亀戸銭 【深字の類 |
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深字背文 【評価 6】
深字は存在が少ない上に、目立つ特徴が少ないので見落とされがちな銭種である。書体は正字に似ているが少しだけ内跳ね寛で正字に比べて寛冠の前垂れが外側に開く特徴がある。永点もやや長く、起き上がる感じ。文字は深彫り気味のものが多いが絶対的な特徴ではない。分類には背文を見ると一番分かりやすく、第4画が横引き先端の直下から出ているため前のめり気味に見える離点文である。 |
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深字背文(細字) 【評価 6】
おそらく初鋳に近いのだと思われるが、文字が細く背文の筆勢が感じられない。最近目が悪くなったせいか直感的に中字だと思ってしまったのだが、仔細に見るとどうも深字で良さそうである。面背とも深彫で地はきめ細かい。郭内もきれいで母銭のような感じもあるが、内径は20㎜で通常銭と変らない。おそらく母銭段階で鋳ざらいなどで背文が細字に変化したものではなかろうか?文銭の分類の難しさを改めて感じさせられた1枚。外径25.2㎜。 |
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深字背文(破冠寛) 【評価 3】
深字には寛の冠右側(冠点右横)に切れ目がぽこんとあいた変種がある。寛のサ画の右側上部も加刀で失われている。鋳切れというより加刀ミスであろうか?存在は非常に少ない。
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深字背太一文削画通 【評価 7】
面文は本体銭とほとんど変わらないが、通の用画の跳ねが加刀によって失われている。(座は残っているので画像では跳ねているように見える。)背は横引きが太く独特。
掲示品は多少磨輪されているが彫りがとくに深く、仕上がりもきれいな美銭である。 |
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深字背小文 【評価 8】
寛冠の特徴は他の深字と同じであるが、永字はフ画が仰ぐ独特の書体。この特徴を覚えていれば分類は容易である。背文は正字背狭文に似て横引きが短くなっている離点文。
このように深字は書体の癖は似ているが、とくに背面においてはそれぞれ全く違う顔を持っている銭種である。
→ 寛文期亀戸銭 正字背狭文 |
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深字背小文入文 【評価 3】
もともと深字背小文は入文気味なのだが、ごく稀に完全に入文になるものが見つかるようである。背郭がわずかに横長なことから、鋳型の横ずれ修正が発生に関与しているかもしれない。新寛永拓影集と新寛永泉志、文銭の耳より話には紹介されているが、他の銭譜には掲載されていないと思う。文ノ画により、最終画の下部が分断されるような癖がある。(交叉部が切れ目状の段差になる。)存在はかなり少ないと思う。 |