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15.元文期 平野新田銭(白目)の類 元文4年(1739年) 江戸深川平野新田村 鋳造推定 
この銭貨については白目という別名に示されるように、独特の材質が特徴です。ただし、十万坪手と云われるものと、大字〜小字と云われるものには材質や制作などに相当差があり、存在も少ないことから別炉であるという説も根強いのですが、ここでは旧説に従って分類しておきます。このうち大字は実見の機会さえない稀代の珍品で、稟議銭であると考えられています。

書体や制作により大字、中字、小字、十万坪手に分類されます。
 
【元文期 平野新田銭(白目銭)】
白目中字                       【評価 6】
白銅、あるいは黄白色が基本で、文字は横幅が広く独特の癖がある。白銅色は鉄分の多さが影響するらしく、磁性がある。

→ 白目大字
白目中字欠目寛              【評価 5】
寛目の右底(寛足の右側)が破れている。また寛冠の右肩(折れる部分)が陰起する特長を持つ。

白目中字破寛(欠目寛手)         【評価 6】
欠目寛と同じように寛冠の右肩が陰起する。

白目中字母銭輪玉刻印銭   【評価 大珍】
肉厚な母銭に玉の刻印が打たれているもの。玉刻印の意味は判っていない。存在は希少でまず実見の機会はないものと思われたが幸運にも銀座コインオークションに出品され、実見の機会に恵まれた。背のつくりがあまく母銭としてはかなり磨耗している。そのためか図会原品なのにオークションではやや不人気だった。

(平成17年銀座コインオークションカタログより)
白目中字母銭       【評価 稀】
インターネットでの落札品。半信半疑での応札だったが正真正銘の母銭であった。大ぶりな真鍮質銭で郭内が滑らかに仕上げられているところは、島屋文小頭通細縁と同じ。ただし、それ以外はおおよそ母銭らしくない風貌である。平成16年の江戸コインオークションでは30万円超の落札であったが、最近はやや人気低迷気味?なので評価は抑え目にしてある。磁性はない。
量目3.8g、外径24.6o内径19.5o
白目小字                       【評価 5】
中字に比べると寛目、寶貝とも小さい。また、寛前足が持ち上がる癖がある。
十万坪手(大様)                   【評価 10】
十万坪銭の無印に良く似ているが、永字の左右の食い違いがない。上記の銭はやはり別炉であるという感が強い。掲示品は母銭級の外径24oの大様で、かなりめずらしく評価はかなり上でも良いと思う。通常は23o前後のものが多い。


十万坪手白銅銭              【評価 7】
この銭が白目銭であると判断されて籍が定められた。純白色大様のものから末鋳様の黄白色のものまで幅広く存在し、やはり上記の銭群とは銅質異なる気がする。この手の書体の白銅銭では最多であると思うが、純白に近いものは大様が多く存在は少ない。


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平野新田銭類の拡大図
中字 小字 十万坪手
 
 
特集:類似銭の書体比較
元文期以降は寛爪が長く寛尾が長く跳ねる独特の書体が各銭座で鋳造されており、背に文字がないと非常に分類に迷うものです。基本銭を並べポイントを挙げますので比較してみて下さい。
 
十万坪銭 虎の尾寛 十万坪銭 含二水永 十万坪銭 無印 佐渡銭 鉄銭座銅銭
虎の尾寛は永柱が長く永頭が急角度で俯します。寛足はうねりながら高く跳ね上がります。
含二水永は文字が小さく、永頭が右側に飛び出すのが特徴です。寛足も高く跳ねます。 十万坪銭は永字の左右の画が喰い違いフ画が下がるのが目立ちます。寛尾は内跳ねです。 鉄銭座銅銭は文字が大きくなる分銭面が広くなります。永字は含二水永になります。
十万坪銭 虎の尾寛小字 佐渡銭 含二水永 平野新田銭 十万坪手 佐渡銭 背佐刮去
虎の尾寛小字は寛目、通用、寶貝が小さくなっています。永頭が長いのも判ります。 十万坪と同じ書体ですが磁性が強く肌も粗くなります。輪やすりはは銭面に直角の縦やすり。 平野新田銭は通のしんにょうが水平気味。永頭は普通で、寛尾はあまり高く跳ねません。 背佐刮去は寛永が横濶で通寶が狭長。寛足は外側に開いて跳ねます。永字は含二水永です。
 
 
16.元文期 日光銭の類 元文2年(1737年) 下野国上都賀郡久治良村 鋳造推定 
この銭貨については昭和銭譜において遺跡探査の結果確定されたと示されているそうです。旧譜には日光寂光寺村鋳造とあるようで、それらを取り入れて日光銭という名称がつけられています。銭径は可憐で銭文が下地いっぱいに書かれており、寛永は扁平、通寶は縦長にデフォルメされています。鋳だまりや鋳不足があってもそのまま通用させたものが多く、地肌がごつごつしたものも多見されます。
長字と呼ばれるものについては書体は近似していますが制作に差があり別炉との説が強いのですが、他座にすることもできず旧説に従ってこの類に含めます。

書体や制作により正字、長字に分類されます。 
 
【元文期 日光銭】
正字                   【評価 10】
元文期の書体系統だが、非常にデザイン化されている。判別は容易である。23o以上ある大様銭や銅質が白っぽくなるものもあり少ないようだ。

正字細縁                       【評価 7】
直径は通常銭と変わらないが、銭文径が大きく文字もひとまわり大きい。内径は18.5o前後ある。

正字千鳥                       【評価 少】
通下と寶上にごつごつとした鋳だまりがある。この鋳だまりは母銭からあるもので、その形状から千鳥と名づけられて称揚されている。勝手な推測ながら日光銭の鋳砂は粘着性の強い型抜けの悪いものだったのではなかろうか?

日光正字千鳥 日光正字千鳥母銭(手引より借拓)
正字片千鳥A                     【評価 5】
通字の下に細長い鋳だまりがある。形状はほぼ一定している。

正字片千鳥B                     【評価 5】
通下に小形の鋳だまりがある。この形状もほぼ一定している。

正字片千鳥C                     【評価 4】
寶上に小さな鋳だまりがある。このタイプは通上にも鋳だまりがあることが多い。

正字通下凹み               【評価 6】
通字下にかなり大きな凹みがあるもの。

正字片千鳥(異)      【評価 4】
新寛永通寶図会とほぼ同じ形の片千鳥。所詮、鋳だまりなので色々な形状変化はあると思うのです。
正字片千鳥(異)      【評価 4】
通下に大きな鋳だまりが存在するもの。鋳だまりだから何でもありな訳で、大騒ぎするようなものではないのですが・・・。

(平成17年オークションネットXより)
正字凹千鳥            【評価 2】
銭面の谷に4ヶ所凹みがあるもの。名古屋古銭会で影千鳥としてはじめて紹介されてから注目を浴びてるようになったが所詮鋳不足変化なのではないだろうか?とはいえ源氏名としては有名で少ないもの。なお、入手後に気づいたのだが掲示品は新寛永通寶図会の356番の原品にほぼ間違いない。鋳だまりや輪、背郭の形状と傷の位置などを見比べて頂きたい。ラッキーな拾い物でした。
356 No.134−11日光正字(凹み千鳥)
銭文間の谷にそれぞれ一ヶ所ずつ小さな凹みがある。名古屋古銭会『泉談』誌に『影千鳥』として掲載されたのが最初。掲載の拓図は、凹んだ部分を示すため、銭文間の谷を強調しているので、拓図では谷の部分が隆起しているように見えるが、実際は隆起していない。
【竹】196 【い】P58
(新寛永通寶図会:原文のまま転載 評価は30=3万円)
【評価 8】 【評価 8】  【評価 8】 【評価 8】 
日光銭のバラエティー
日光銭には鋳不足や鋳切れ、鋳だまりなどによって小変化がたくさんある。一品物も多く、大騒ぎするほどのものではないと思うのだが・・・。

正字破冠寛 正字双点永 正字寶上凹み  正字寶上下凹み  
正字破冠寛の母銭部分拡大画像

(収集2004年5月号から)
長字                          【評価 2】
正字とよく似た書体ではあるが含二水永ではなく、文字が縦長である。銭径も大きい。浅字で制作も異なり別炉であると思われる。あるいはこれが日光寂光寺鋳造なのかもしれない。

長字断足寛            【評価 2】
新寛永通宝カタログの白川昌三氏から分譲戴いたもの。手替わりのないと思われていた長字のプチ変化です。
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日光銭類の拡大図
正字(細縁) 正字(千鳥) 長字
 
 
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