戻る   進む  
2.正徳期(旧延宝期)亀戸銭 正徳年間江戸亀戸村鋳造 推定

文銭につづくものとして、文銭の背文を刮去したものが推定され充てられています。ただし、これらのものは古くは正徳期とされていたもので、延宝期銭とする根拠にはいまひとつ乏しいのですが、亀戸銭の系統であることには異論はなくひとまず旧説に従うことにします。
※2004年収集10月号の記事を受け、この類の鋳造期を正徳期に改めることにしました。無背銭を延宝期鋳造とすることについては手引きにおいても疑問が投げかけられており、鋳造期間に対しての背文銭の存在量の多さや、発掘による傍証などがこれを裏付けています。

書体により、島屋無背、島屋直寶、繊字無背、縮字勁文無背に分類されます。
 
島屋無背                  【評価 3】
寛文期の島屋文と面文はまったく同一である。制作は非常に精緻でなにか記念銭的なにおいすらある。通字用画がふんぞり返り、寶字が前のめりになる。通頭はユ頭通。(基本分類の拡大写真を参考に・・・)直径が大きなものが多く、掲示品は25.65oある。当然ながら内径や文字も大きい。新寛永泉志には勁字(文字が強く勢いがある)のものの存在を示唆している。あるいはこれが該当品か?
→ 寛文期亀戸銭 島屋文
島屋直寶                 【評価 珍】
島屋の名前が冠されている有名品。筆法などは島屋系の書体ではあるが制作が少し劣り、浅字で銅質も黄色味が薄い。島屋文と同様にユ頭通であるが寶字はほぼ直立し寶後足が大きい。別時期、別座であるとの説が根強いが亀戸銭とするのには違和感はないと思うが・・・。存在は非常に稀で珍品である。やはり銭径が大きなものが多く、掲示品は25.8oもある。
繊字小文無背と繊字狭文無背(背画像省略)  【評価 10】
文銭の繊字と同一面文である。正式には背文刮去である。小文無背と狭文無背の差は通字のしんにょうの頭の形で見分ける。すなわち反り返り気味に爪があるのが小文無背、丸くなっているのが狭文無背である。背文字を削り取った跡の残るものも多く見られる。

→ 寛文期亀戸銭 繊字
繊字小文背刮去残痕(白銅銭)      【評価 7】
背文字を削り取った跡がぼんやり見える。その上、かなり白味の強い銅質である。各種銭譜には掲載されていないのであるいは、背文の陰起の強烈なもの・・・とも考えられなくはないが、背郭との比較で白銅刮去銭としたものである。
繊字小文刮去残痕(白銅銭)【評価 6】
外径25.3oとやや大ぶりで濶縁。純白と言っていいほど白くて立派。
縮字勁文無背          【評価 10】
文銭の縮字勁文と同一面文である。通字の用画の上横引きの右端が必ず鋳切れる特徴を持つ。黄色味の強い次掲の耳白銭とは銅色が多少異なり、淡褐色のものが多い。
← 用の上横引きの右端が途切れ点になる。


→ 寛文期亀戸銭 縮字
 
縮字背勁文刔輪 と 縮字背勁文再刔輪
縮字には面が刔輪されたものが存在するという。このことは手引きでは触れられているが他譜では記載すらないもの。存在は再刔輪のものは少なそうだが銭譜によって見解が異なり詳細不明。

(新寛永通寶拓影全集より借拓)

 
  
3.丸屋銭・耳白銭(文銭類似銭) 宝永あるいは正徳年間(1704年以降)江戸亀戸村鋳造 推定

正徳期亀戸銭とした譜も多いのですが、この銭については俗称の丸屋銭、耳白銭と称したほうが良いと思います。鋳造時期については諸説あり、正徳期とする明確な根拠もないようです。実は古寛永ほどではないのですが、新寛永も一部の鋳造期や地域が確定されたもの以外はほとんどが不知銭なのです。丸屋銭も耳白銭も制作が文銭同様に安定している上に存在数も多く、良質なものを大量生産する意気込みのあった時代に生まれたと考えられて正徳期とされた経緯があったと思います。鋳銭重宝記によると丸屋銭の鋳造時期は宝永年間であると記述されており、この銭を該当させるのも正しいのかは分からないというのが本当です。ただし、技術的には非常に高く、力量のある銭座=亀戸銭であるとするには問題ないような気がします。
銅色は概ね純黄色から黄褐色で堂々とした作のものが多く好感が持てます。

書体により、丸屋銭、耳白銭に分類されます。
 
丸屋銭                  【評価 10】
文銭の筆法を踏襲しているが、相対的に文字が非常に大きくとくに通頭と寶貝が大きいのが目立つ。寛の前垂れはほぼ垂直。制作は安定し、書体の手変わりはほとんどない。
丸屋銭(おおぶり銭)           【評価 7】
外径25.85oで輪幅の広いもの。丸屋はもともと大きいものが多いのだがここまで大きいものがあるとは気づかなかった。ネットで格安で落としたものだが果たして価値はいかがなものか?(暫定価値評価です。)
この様子だと外径26oも出現するかもしれない。
耳白銭             【評価 8 普通品は10】
耳白とは輪の幅が広いという意味。多くの銭譜が文銭との書体差などについて述べているが、縮字濶縁背文の無背としてもほぼ間違いないと思う。ただし、母銭は背文刮去によるものではなく新規製造によるものという。縮字勁文無背と書体は酷似するがやや細字で通用に差異がある。(上掲勁文無背の記事参照)濶縁で大様のものも見られる。掲示品は25.7oもある超大型銭。
→ 寛文期亀戸銭 縮字
 
戻る 次へ
拡大画像サーフィン
文銭類似銭類の拡大図
島屋無背 島屋直寶 繊字小文無背
丸屋銭 耳白銭 縮字勁文無背
 

 
白銅銭について

唐突ですが、私は白銅銭が大好きです。黒褐色や黄褐色の雑銭の中でひときわ高貴な存在であるような・・・錯覚に酔っています。 この病気は虎の尾寛小字の白銅銭に出会ってからだと思います。
写真では判りづらいと思いますが、純白に近い白銅質でこれにはすっかり心を奪われました。
それからというものの白銅銭を求め続けています。古寛永長門銭、白目の類、十万坪無印、石ノ巻異書の類、文銭などずいぶん探しました。はじめは見向きもされていなかった白銅銭ですが近頃はずいぶんと高評価になってしまい、品薄でもあることから入手難が続いています。白銅銭の相場を上げてしまったのはもしかすると自分のせいではないかと思ってしまいます。
ただ、色彩表現が人それぞれで、白銅色や黄白色ならまだしも白みがかった黒褐色などというわけのわからない表現もあります。入札誌などでは色彩の度合いまで判りませんので、落札して品物が届くまでわからず、ギャンブルみたいです。また、店先で白銅銭だと思って入手してみても、いざ自宅の照明の下で確かめてみるとたいしたことなくてがっかりしたことは一度や二度ではありません。
それでも私は白銅銭が大好きです。
虎の尾寛小字
ほぼ完璧な白銅
十万坪無印 
これもほぼ純白
十万坪手
少し黄味がかるが
なかなかの美人
虎の尾寛
淡褐色
苦労して入手
文銭正字
黄白色でもけっこう
良いと思います
文銭細字
淡褐色ですが
きれいです
文銭繊字狭文
多少黄味あるも
素晴らしい白銅色
文銭繊字小文
文銭ではほぼ
最高の白銅色
文銭縮字
多少黄味あるも
まずまずの白銅色
文銭退点文
ちょっと苦しい
濁青白色
異書短通
淡褐色
母銭でしょうかね?
異書長通
ほぼ完璧な白銅色
異書長通低寛
これも完璧
異書大字
錆色あるが
まずまずの白銅色
白目中字
これは白銅色か
黄白色が通常
猿江銭広穿(純白銅銭)
駿河391号に出ていた猿江銭の白銅銭、初見品です。白目銭と同じ色で鉄錆が浮いている品で、銅銭ながらかなり強い磁性があります。母銭のできそこない、あるいは密鋳鉄銭の磨きかとも思いましたが、計測の結果はどうも母銭のなりそこないのようです。。
外径23.8o 内径19.2o 重さ2.6g
※磨き変造、薬品変色、鍍銀(メッキ)に注意しましょう!
磨き品は貨幣の表面に細かな掻き傷があり、その乱反射で白っぽく見えます。
薬品変色は地の部分(文字以外の凹部分)まで変色しています。通常、地の部分は流通段階で擦れないため文字部分と色が異なります。
鍍銀は不自然な光沢があり、電気メッキや銀塗料塗布は地まで変色しています。これらは流通の過程で凸部分の色がはげ落ち、凹部分の銀色が残る特徴を有します。
銀色塗料塗布 銀箔? 磨き 銀メッキあるいは銀鋳 軽く磨かれた白銅銭
凸部分の色はげがある上に不自然です。  掻き傷だらけで
発色も不自然です。
 
全体が染まってい
ます。
 もったいない・・・。
意外に多い加工。
※白銅銭であることを確認(強調)するために表面を磨いてしまったケースを良く見かけます。
※白銅色は錫成分が多く、鉛が少ないケースに発色するようです。天保銭事典によると錫12%以上、銅85%以上で白色化するようです。

→ 新寛永色見本

特別展示室 にも白銅銭はたくさんあります。ご覧下さい。
薩摩広郭浅字(白銅銭?)
薩摩広郭の白銅銭。
メッキによる贋造だということで衆目一致。とりあえず悲しい結末。
戻る 次のページへ