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寛文期亀戸銭 【正字の類】
 
正字背文             【評価 10】
文銭の基本銭。寛の跳ねが文銭中では真上方向に跳ね上がる癖があり、また文字の太細もやや目立ちます。通のしんにょうの揮部が細く、寶尓の後点がわずかに横向きになり、開いているように見えます。寛冠前垂れはやや垂直気味。背文は点が横引きに密着する接点文が基本ながら、後述する勁文や狭文、離点文など例外も多いため、分類にはある程度の慣れが必要だと思います。
※母銭だという触れ込みで大家のお店で入手したのですが、どうも怪しいようです。
正字背文(細縁) 内径20.9mm 【評価 3】
文銭には通常の通用銭より内径が大きいものがごく稀に存在します。母銭をつくるための原母銭からつくられたとの説もあるものの、文銭が古寛永から発展したものと考えれば、このようなものが現れても不思議ではありません。
内径が大きいため文字もわずかに大きいが、仕上げはあくまでも通用銭と同じであり、見た目ではほとんど一般の正字背文と差がありません。
存在は希少で地味な存在であるため人気はいまひとつか?
輪だけが細い磨輪銭は多く、それは内径が通用銭サイズになります。(磨輪銭の評価は9)
正字背文鋳浚母銭     【評価 少】
文銭の母銭を色々見てきたがこれは完璧な母銭。まず仕上げが違うし、金質も違う。文字もとても繊細。これを見てしまうと通常母銭とされているものなど、ただの初鋳大様銭のように見えてしまうと思います。ひょっとすると文銭の母銭の定義をひっくり返してしまうかもしれない逸品だと思います。なお、評価はこの品のオークションにおける落札価格に基づきますが、過熱気味であったことを付記します。
※大分の坂井氏によるとこれは母の母の母銭とのこと。
(平成17年銀座コインオークションカタログより)
正字背文純白銅銭      【評価 1】
規格の統一された文銭において白銅銭の存在は特異なものです。掲示品はかすかに黄味を帯びているものの灰銀色の輝きを見せる最高の白銅銭です。磁性はなく、金属の配合の加減やまざり具合などから偶然生まれたものと推定されますが、滅多に見られない存在です。正字には純白に近い白銅銭はないとされていましたが、関西のS氏からこの現物の提供があり確認することができました。ここまでのものは評価以上に少ないものと思われます。(白銅質は評価3以下)
外径24.7㎜ 内径20.4㎜ 重量3.6g
文銭母銭と細縁銭との相違について
銭の規格から見て、細縁銭と母銭はほぼ同規格です。その差異は仕上げにおいてのみ顕著であり、文銭の細縁銭は通用銭の製法で作られた母銭規格のものということができます。一番のポイントは背郭をはじめとする背の様子で、母銭は郭の形状が整って地肌が滑らかなのに対して、細縁銭のそれはあくまでも通用銭のレベルです。
この原因は鋳造過程の相違によるもので、通用銭はあらかじめ固められた鋳砂の上に母銭を置いて、細かい鋳砂を面側だけにふるわれるのに対し、母銭では(板の上?)で面側の型、背側の型を別々にとる作業を行ないます。その際に面背ともに細かい鋳砂をふるわれるため、背郭もくっきりし、鋳肌も滑らかになります。
ただし、細縁銭の中に母銭のできそこないと思われるもの(廃棄母銭)が多く混じっているのも事実です。


文銭に母銭なし!・・・の意味
文銭に母銭なし・・・とおっしゃる方がいらっしゃいます。確かに内径を調べないと母銭であると言えないようなものもときおり見かけます。実は巷で母銭とされているものはみな初鋳の大様ではないか・・・という噂があるのです。曰く、古銭家が初鋳の大様を母銭であるとして売りたてたためそれが母銭であると定着した・・・と。文銭は古寛永から引き続いて鋳造されたため、製法に古寛永的な手法が残されている・・・だから、内径の大きな初鋳銭も当然のようにあるのだ・・・と。
私は絶対母銭に間違いない・・・というものを何回か見たことがありますが、それは内外径がかなり立派で、銅質も制作も一段上です。
母銭として使用されたという根拠が、制作面からだけではなかなか断言できない・・・そんな母銭が巷にはたくさんあるのです。
現在、巷にある多くの文銭母銭(とくに正字系)はひょっとして格下げ・・・にすべきかもしれません。
 
正字背文欠サ寛           【評価 8】
寛サ画前半が鋳出されていないもの。

正字背入文                  【評価 9】
背文の第3画の頭が削られ入の字に見えるもの。文銭は加刀による微細変化が非常に多く、とくに背文においてそれが顕著です。入文は島屋文以外の各銭に見られるので、あるいは鋳工のシークレットマーク的なものなのかもしれません。面文の永フ画先端に傷があり短くなるのが通常です。(短フ永)
正字背入文手(寶上輪凹)     【評価 9】
背文のノ画上部が短く、ほとんど入文に近い状態です。この銭種は必ず寶上の輪に凹みがあるのが特徴です。残念ながら存在は非常に多いもの。 
正字背小文(陰起文)       【評価 9】
とりたてて一類とするほどでもありませんが、背文の前足、横引きがわずかに削られて背文が小さく変化したものがあり、背小文とされています。この類は面背の文字がはっきり鋳だされていないものが多く、陰起文と呼ばれています。 
正字背小文欠叉残点文     【評価 ?】
偶然の所産だと思いますが、文字の交叉部が陰起しているもの。
正字背短ノ文               【評価 8】
これも加刀変化の一例。文の前足が極端に短く郭の内側にとどまります。文銭は変化が多く、全てを一種と見るには限界がありますが、この変化は非常に目立つ存在です。

  正字背文断柱永               【評価 8】
永字の柱が鋳切れます。寶前足の先が陰起する癖があります。
正字背文大破冠寶    【評価 4】
寶点の下の冠に大きく穴が開く変種。その他の特徴として寶王の一番下の横引き先端が玉状に切れる癖があります。久泉研修資料⑦において4品掲拓されていて手替りの一種として認定されて良いと思います。希少度は不明なので評価は暫定のもの。
正字背仰文                 【評価 8】
仰文は鋳型がずれたものを加刀修正した母銭から生まれたものと考えられます。文字通り背文の横引きが仰ぎ、やや長めです。(掲示品を最長として長短の差異がある。)また、傾向としてやや背の彫りが深く、寛冠点が小さくなるものが多い。この類は削字変化がとくに多く、削用通、短尾通など細かく分類発表もされています。

正字背仰文短尾通         【評価 7】
通字のしんにょう末尾が削られて短いもの。背文は仰文で全体に加刀されていて細字です。また、寶尓の前点が細くなる癖があります。

正字背仰文削用通         【評価 7】
通字用画の中央縦棒先端が削られて、はっきりしない。背文は入文の一歩手前の状態です。
正字背仰文入文              【評価 7】
仰文の入文。第3画の先端が削られきっていないものは、削用通(通用の中央縦棒先端が欠落)であることが多いようです。短フ永にはなっていないため正字背文本体の別名もあるものの、仰文入文のほうが正しく、本体という名称は不適切だと思います。
  正字背文(背進文)            【評価 5】
文銭の変化が加刀による偶然の産物である証拠に、銭譜にも掲載されていない変化がときおり見つかることがあります。
左記はその一例で、進文は横引き右側が失なわれています。過度な評価は避けたいのですが、はっきりした変化はある程度の評価はすべきだと思います。
正字背文(仮称:背退文)
コインの散歩道のしらかわさんから戴いた画像より。
本体からの加刀変化であるが面白い。類品の出現を待ちたい。
正字背狭文                 【評価 8】
これはっきりとした離点文です。狭文は文の横引き両端が削られているもので、鋳型の縦ずれが原因と見られるため、必ず背郭が縦長になる特徴を持ちます。背文だけで見ると、中字や深字小文と間違えやすいので注意が必要です。文の点は横引きから完全に離れています。
正字本体の離点文もありますが、それは横引き両端は削られていません。
正字背縮文                 【評価 ?】
加刀が過ぎて、文の横引きが極端に短くなったもの。小変化ではあるが目立つ。しかも滅多に出てこない珍銭。狭文からの変化であるため当然ながら離点文である。面背とも文字が細くなる傾向があるようだ。
※本当の縮文はもっと横引きが短くなります。ここにあるのはまだ【なんちゃって縮文】です。
正字背文小様銭(参考)
外径24.1~24.2㎜、内径20.0㎜。外径は歪みがあるので後天的な磨輪銭の可能性も高いのだが、たしかに内径も小さい。珍銭レポートの小様銭より濶縁縮字で、ひょっとすると密鋳銭かもしれない。
  正字背離点文            【評価 4】
正字は接点文・・・と思い込んでいるとこのような変なものにぶつかります。寛冠、通辵、寶尓などの微細な癖を覚えることも大切です。珍しいものですが所詮、偶然の変化にすぎないとお考えください。
  
  正字背勁文(大様銭)     【評価 6 通常銭は10】
正字は接点文が基本ですが、これは鋳型の横ずれ加刀修正によって離点文になったもの。必ず背郭が横長になる特徴があります。背文の字の筆勢強く、最終画の筆はじめが下側から打ち込まれ末尾が屈折し鋭く尾を引きます。また、面文は輪に近いほうが太くなる傾向があります。掲載したものは私の所蔵品中最大様のもので直径は25.7mmあります。
正字背文異頭通(天狗寛永) 【評価 1】
これが有名な天狗寛永です。通頭が反り返るだけでなく、寶上、寶下に小さな鋳だまりがあります。背は勁文という筆勢の強い書体で、第一画は横引きから離れ、背郭は横広になります。

※所有者はあの撰銭の達人K氏です。もちろん掘り出し物です。すごいの一言ですね・・・。

→ 撰銭の達人現る!!
天狗寛永の特徴
① 通頭の大きな鋳だまり。天狗の鼻。
② 寛後方の鋳だまり(星)。
③ 寶上輪際の鋳だまり(星)。
④ 寶下の輪に接する小さな鋳だまり(星)。
⑤ 背文の第4画がかぎづめ状ではっきり下から入る勁文です。
 
天狗寛永もどきたち(小天狗)
有名な【天狗寛永】と同じ通頭に鋳だまりの特徴があるものたちを掲示します。ただし、寶上下の約束の場所に鋳だまりはありません。
(最右図 天狗の鋳だまりをご参照下さい。)通頭の鋳だまり変化は案外多いものなのかもしれません。
  京都府 A氏提供  天狗の鋳だまり
  左掲示は天狗手とされるもの。
(部分)
正字背勁文入文            【評価 3】
勁文の書体で背が入文になったもの。寶字上の輪側に小さな鋳だまりがあるのが約束。通頭に鋳だまりのある有名な【天狗寛永】と同じ特徴がある。存在はかなり少ない。
正字背勁文短尾寛            【評価 7】
勁文の書体で寛尾が短く削られているもの。比較的入手しやすくポピュラーな手替わり品です。寛末尾は通常の半分程度しか跳ねていません。なお、掲示品には通頭から上方に向かって筋のような湯走りがある天狗寛永のなりそこない?
あるいはこのような鋳型の割れが天狗誕生の発端なのかもしれません。
 
寛文期亀戸銭 正字背文寛上削輪 について
2008年10月の収集に記事掲載されましたのでご存知の方も多いと思います。
この銭群は東京都在住の寛永銭研究家の
 吉野宏氏 が選りだした品です。故あって私が投稿することになりましたが、はたしてそれでよかったのか・・・。
さて、これら一連の品はみな寛上の輪がえぐられています。数品は同系母銭からの出自であると目されますが、寛上の削輪の形状は一定ではありません。実は投稿原稿を書いているときに文源郷氏が波冠寛という名で一足早く発表していたそうで(最初の発見者は白川昌三氏)、不覚にも私はその記事を完全に見落としていて、編集部からの指摘でようやく気づいたしだいです。
ただ、これらの品は(波冠寛に正合するものもありますが)微妙に特徴が異なります。寛点や寶足先端、通尾先端は冶金学的に言うと一番鋳走りができやすい部分です。吉野氏はこれを削り出しの修正と見ており、その古寛永的な手法から、正字背文が初期の出であるということの傍証になると判断されていたようです。
編集部からの連絡で細字背文にもこのような系統の変化があると聞きました。私はまだ実見したことがありませんが、このような変化が複数現れるということは、この変化が兄弟銭の枠を超えて、寛永銭鋳造の一手法であった可能性を強く感じます。
吉野氏の慧眼に感服するとともに、本品をご紹介頂いた天保仙人氏に深く感謝する次第です。類品をお持ちの方、是非後一方下さい。
位置、大きさなどが微妙に違います。6枚のうち2枚は波冠寛でした。
 
新発見 
正字背勁文短尾寛鋳浚い母銭
(九州K氏投稿)
熱心な研究者九州のK氏からの投稿です。
意外なことにこの有名銭の母銭は各種泉譜にも未掲載だそうです。
通、寶の削字が激しいようです。
 
 
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