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1.寛文期亀戸銭(背文銭) 寛文8年(1668年)江戸葛飾郡亀戸村鋳造 推定

新寛永銭の初出のもので、背に文の一文字を置くことから古銭界では文銭の愛称で親しまれています。背文の字は面の寛字とあわせて寛文の元号を現しているとされています。
新寛永の基本銭とされるだけに極めて癖の少ないきれいな書体です。制作は精緻で重量や直径のばらつきもあまり見られません。銅色はおおむね黄〜褐色ですが、銭種によっては稀に白銅質のものも見られます。制作規格が統一されていながら、古寛永のように加刀による小変化が非常に多く、細分類をしたらきりがないかもしれません。面文による分類は熟練を要します。

書体により、島屋文、正字、中字、深字、細字、繊字、縮字、退点文に中分類されます。
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→ 文銭入門講座 基礎の基礎
 
寛文期亀戸銭 【基本銭分類】
【島屋文の類】

島屋文(狭文)

文銭の王者。通頭がユの形になり、通字仰ぎ、寶字が俯すのが特徴。文字、銭径とも大きく彫りも深く端整なものが多い。
おそらくごく初期に制作されたものと推定される。
亜種に島屋文小頭通や島屋文細縁などがあるがいずれも超レア物ぞろいである。同じ面文で背に文字のないものがある。

→ 正徳期亀戸銭 島屋無背
 
【正字背文の類】

正字背文

文銭の基本銭。寛の跳ねが真上方向に跳ね上がる癖があり、寛冠の前垂れが垂直気味になる。文字の太細もやや目立ち書体に勢いがある。通のしんにょうの揮部が細く、寶尓の後点がわずかに開いているように見える。
背文は点が横引きに密着する接点文が基本だが、後述する勁文や狭文、離点文など例外も多いため、分類にはある程度の慣れが必要である。全体では存在は多いが加刀変化が多彩で、隠れた珍品も多い。
 
【中字背文の類】

中字背文
正字に似るが寛の跳ねが少し内側に向いており、書体に勢いがない。
面文もわずかに小さくなりその分内径が小さく濶縁気味になる。背文は第1画と第2画の間が必ず空いている離点文になる。中字は制作が安定し書体変化も少ない。
分類には背文の特徴をよく覚える必要があるが、正字や深字にも書体が類似したものがあるために注意が必要である。存在は多くありふれたものが多い。
 
【深字背文の類】

深字背文

深字の名の通り文字の彫りが深いものが多い。寛の冠がわずかに外に開くことと、永点がやや長いことが深字共通の特徴である。寛後足はやや内跳ねで正字と中字の中間くらい。
亜種ごとに背文などが異なるので、それぞれの説明を参考にして分類して頂きたい銭種である。(亜種として深字太一文、深字小文などがある。)白銅銭は未確認。
存在はかなり少ない方である。
 
【細字背文の類】

細字背文

文字が細いのが共通の特徴だが、後掲の繊字ほどではない。寛足は内跳ねで、面文全体が大きく伸びやかである。
背文は流文系を除き第3画と第4画の交叉部が切れる独特のもの。加刀による面文変化にはあまり目立ったものはない。
存在はかなり多い方であるが亜種の細字手背流文、細字手背流文手は非常に少ない存在である。
 
【繊字背文の類】

繊字背文(繊字狭文)

文字が極端に細く、また輪が額縁のように高くなっている。
寛文銭としてはおそらく最後期に近い製造だと思われ、銅質にばらつきが見られ白銅銭も比較的よく見つかる。
背文の形状で繊字小文と繊字狭文の2種に分類される。
同じ面文で背に文字がないものがある。

→ 正徳期亀戸銭 繊字無背
 
縮字背文の類】

縮字背文(濶縁)

文字どおり、面文が縮み小さくなった分、輪の幅が広い。後述の退点文ほどではないにしろ字画も太くぼてっとした印象を受ける。
背高文の別名の通り、文の足の部分が長く背が高く見える。この類も加刀による変化が多いが無背銭の存在からかなり長期間に渡って鋳造されたと推測される。
同じ面文で背に文字のないものがある。

→ 正徳期亀戸銭 縮字無背
 
【退点文の類】

退点文(直一文白銅銭)

寛の前足が短く、書体が素朴でぼてっとしている上に、背文の形状が独特で判別は容易である。古寛永的な印象をもっとも残しており、かなり初期の文銭だと推定される。
文字の小変化は非常に多い。ごく稀に白銅銭があるというが純白のものは確認していない。
 

寛文期亀戸銭 【島屋文の類】

島屋文(狭文磨輪)          【評価 大珍】
ユ頭通で通字仰ぎ、寶字が俯す。彫りも深く、端整なものが多い。新寛永銭の収集分類においては冒頭を飾ることが多く、それだけに人気は絶大である。
背文の横引きが少し短くなるものが従来は本体とされていたが、そうでないものも近年発見されている。(広文)
文銭をドラム缶1本探しても出会えないと言われるほど希少。掲示品は少々磨輪されているようだ。

→ 正徳期亀戸銭 島屋無背

→ 秘宝館
島屋文                【評価 大珍】
こちらは磨輪のない正統派の島屋文。地の黒色も美しく、模範的な品物だといえる。これは平成19年の銀座コインオークションの出品物で評価は上品ということだが、拡大画像で見るとたしかに小さな鋳だまりや背輪の傷があるが、穴銭レベルだと極美品に近い存在。地は漆仕上げでは・・・と思うような出来である。

(平成19年銀座コインオークションカタログより)
島屋文細縁(広文)        【評価 大珍】
寛永銭収集家の憧れの存在。標準銭より輪が細く、その分文字が大きくなる。背文の横引きが一番長くなるのも特徴。制作は彫りが深く端整になる。銅質が白味を帯びる・・・というものもあるようで、母銭のなりそこない・・・という説もある。

※掲示画像は大和文庫ホームページから拝借したものです。大和文庫さん、ありがとうございます。この品物は下に掲載した泉中夢談(174)のB原品のようです。
島屋文広文母銭          【評価 大珍】
古くは島屋文細縁とされていたのですが、金質や仕上げから島屋文母銭としてオークション出品されていたものです。このあたりは泉界での見解がまだ統一されていないところなのですが、いずれにしても新寛永銭の中でも最高峰に位置する名品のひとつとしても間違いないところでしょう。

(平成17年銀座コインオークションカタログより)
島屋文小頭通            【評価 大珍】
平成19年の銀座コインオークションの目玉というべき存在。なにゆえ価格が85万円なのか・・・?
あるいはこの品物は細縁銭というべき内径の大きな品なのかもしれない。下記の品は材質や制作からなどから『磨輪母銭』に限りなく近い存在であるからして、この存在は別の意味から希少なのかも。

(平成19年銀座コインオークションカタログより)

島屋文小頭通(細縁        【評価 大珍】
通頭小さくユ頭通。もちろん仰通、俯寶である。島屋文より永頭長く、永柱もわずかに短く平永気味。また、いくぶん低寛、狭王寶気味である。背文は第二画が短く、仰文とも言われる。存在は島屋文同様希少であるが、島屋文よりは若干存在は多いようである。
なお掲示品は東洋鋳造貨幣研究所によって新種と認定された島屋文小頭通の細縁銭。真鍮質で銭文径がわずかに大きく、郭内と輪側に丁寧なやすり仕上げが見られ明らかに通常タイプの島屋文小頭通とは異なる。母銭の可能性もあると思うが母銭としても泉界未発表の希少銭である。内径21.11o。

 
島屋文小頭通細縁 関連記事と調査票・・・いろいろなご意見があるようで・・・
 → 撰銭の達人現る!!
大正10年貨幣第24号の記事から
島屋文細縁の銅色が一般通用銭と異なることを示す記事です。なお、私の勘が合っていればこの原品は最近売り出されたことがあるような気がします。(背に鋳だまりのある島屋文細縁を見た事があります。)
島屋文細縁=廃棄母銭説を否定しないもので、背文の鋳だまりは正規の母銭としては使用できるレベルのものではありません。したがって磨輪して通用銭に混入することが行なわれたとしてもなんら不思議ではありません。母銭であれば制作が精緻であったり、内径が大きかったり、銅質が違うのも納得がゆきます。ただし細縁銭にはこのように母銭を磨輪したと思われるものが混入している一方で、通用銭仕立てに見えるものも含まれています。

なお、島屋文小頭通の母銭はいまだ未発表ですので、島屋文小頭通細縁が廃棄母銭と確定されたとしても現在、日本で一品しか発見(発表)されていないことになります。
平成17年江戸コインオークション出品。
背の鋳だまりや郭左隅の歪みなどは一致。輪幅が異なるが・・・。
※やはり貨幣第24号原品でした。
島屋文細縁(泉中夢談 A原品)
背の鋳だまりが惜しいのですが、地に漆が入っており、準母銭といった状態のものです。材質も少し真鍮質がかっています。

大和文庫ホームページより)
大和文庫 泉中夢談174 (駿河357号連載記事)
私の記憶がある程度正しかったのが、下記の記事で証明?されたような気がします。AよりB、Cのほうが文字が大きく感じるのですが・・・。
 
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