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寛文期亀戸銭 【縮字の類】
 
縮字濶縁背文    【評価 8 通常銭は10】
面文やや太く、文字全体が小さくまとまっている感じ。そのため輪が太くなり内径が小さくなる。また、背文は足が長く背が高い。
なかには極端に輪の幅が広くなったものがあり掲示品がそれである。25.5oを超えるものは少ない。(焼け延びや打ち延ばしではないことが条件。)金質は黄色いものが多いが正字よりやや色の薄いものが多いように思える。掲示品の直径は25.6o。


→ 耳白銭
縮字濶縁背文(白銅銭)             【評価 2】
文銭の白銅質は繊字系を除き稀な存在であるが、縮字や退点文の白銅銭はなおさら貴重である。白銅質といっても濁青白色から黄白色まで様々あるが、掲示品は文銭の白銅質としてはほぼ最高レベルであるといって良いと思う。
縮字濶縁背入文              【評価 4】
縮字濶縁の入文。新寛永通寶図会では譜外品であるが、これも3品確認している。ただし、偶然の産物の可能性は捨てきれない。
縮字濶縁背横点文                 【評価 4】
加刀によって背文の点が完全に横向きになったもの。刔輪されていないのが約束である。横点の大きさもばらつきがあるようだ。明瞭なものは評価も高い。

※文字全体が横広です。
縮字濶縁背文突起爪寛              【評価 5】
濶縁銭で寛爪先端に突起状の鋳だまりが付着するもの。小変化であるが目立つ。ただし、探すとなると意外に見つからない。

縮字濶縁背文短足寛                【評価 7】
寛字の前足が加刀により短く削られたもの。背文は延文ともいわれ、字画が細く足長に見える。

縮字濶縁背欠叉残点文               【評価 8】
背文の第4画の先端が点状に切れて残ったもの。なお、中字にも同様のものがある。背が刔輪されているように見えるが・・・。

→ 寛文期亀戸銭 中字欠叉残点文
縮字濶縁背欠叉文      【評価 3】
良く見かける通常のものとは違うタイプの欠叉文。通称は縮字痩文欠叉文(文銭の耳より話第二作)だが、痩文は濶縁系のものからの削字変化にすぎないので中分類名からは省かせて頂いた。

※三鍋氏の分類では偏頭文(無右胸文)になります。
縮字濶縁背痩文                   【評価 9】
背文の字画が細くなるもの。
縮字背広文(別称:裕文)            【評価 9】
背文の踏ん張りが広く別名縮字裕文とも呼ばれる。面、背とも輪が削られる刔輪となっており、とくに背にその傾向が強い。また、永字の跳ねがやや短く、反柱永気味。

以下は刔輪系のものが並ぶが、金質はさらに白身を帯び、淡黄色から茶褐色のものが多くなり、鋳造期が違うような気がする。
縮字背欠叉文(広文)               【評価 5】
背文の交叉部の上部が削られてなくなっているもの。昔から有名な変化であり、入手はしやすいが自分で探すとなるとなかなか見つからないもの。

縮字背狭文(再刔輪)           【評価 9】
再刔輪といわれ面側の刔輪はきつい。寛の点が小さく寶の尓の縦画の跳ねがほとんどない。また、背文の横引きが短くなる。
縮字刔輪背狭文入文     【評価 4】
縮字の入文。狭文は面背とも刔輪されていて寛点が小さくなる傾向がある。

※縮字入文はこれ以外に背広文にも存在します。縮字の細分類については下に図会掲示してありますが、寛永銭は所詮鋳物なので分類は結構難儀します。あまり釈迦力にならない方が良いと思いますよ。
縮字背勁文                      【評価 9】
背文の筆勢が強く、文の尾が方折するもの。通字の用画の上横引きの右端が必ず切れる特徴がある。また、同じ書体で無背銭がある。加刀変化が多いという古寛永的な特徴があるのに無背銭があるということが縮字が長期間に渡ってつくり続けられてきたといわれる根拠である。

→ 正徳期亀戸銭 縮字無背
縮字背広文(裕文)深冠寛 収集2004年1月号 坂井博文氏の発表
収集誌上の新春エッセイにおいて坂井博文氏が発表された、縮字の新種銭です。
ちょっとした変化なのですが、兄弟銭が見つかると新種銭として認定されます。有名なところで大谷敬吾氏が誌上発表された【天狗寛永】があります。当初は変なもの・・・扱いの記事だったと思いましたがネーミングが面白く、現在では収集界で完全に定着した感があります。
この新種も大化けする可能性を秘めています。


なお、裕文は縮字刔輪系の書体の背文を表していて、伸びやかで女性的です。縮字の背文については分類者によって様々な名称が付けられて、例を示すと長文、高文、伸文、延文、進文、勇文などなど・・・。裕文もそのひとつです。


※撰銭の達人K氏からも発見の報告がありました。

→ 撰銭の達人現る!!
古銭界においての発表は文源郷氏の著作、『文銭の耳より話 第一作:平成4年』において【縮字裕文長冠寛】として発表されたものが最初のようです。
なお、深冠寛には本体系のものもあるというお話があるそうで・・・。舎人坊記念投稿コンテストに掲載している物がその可能性があるようです。
 
新寛永通寶図会(補足記事)による縮字の細分類
手引きの
分類名
濶縁 (刔輪) 再刔輪 (刔輪) (濶縁)
図会の
分類名
(本体) 広文 狭文 進文 勁文
耳より話
の分類名
(本体) 裕文 長文 進文 勁文
三鍋氏の
分類名
高文 裕文 伸文 跛文 勇文
寛文銭新分類草稿(富山貨幣研究会・三鍋氏による分類名称)

※眼力のなさか、実物の見分けはかなり困難です。なお、三鍋氏はさらに細かい分類名をつけています。また、面文による特徴分析もしています。
 
※旧譜に従って【刔輪】の名称を使用していますが、最新の研究では【刔輪ではなく母銭からして違う】・・・という結論が出ています。ただし、面文の類似性は否定しがたく、相当上の母銭段階で分岐したもの・・・ということまでは否定はできないと思います。そのときに刔輪が行なわれたとも考えられるので、【再刔輪】という名称については一考の余地はあるものの、刔輪という名称そのものを使用しないようにすることは、かえって分類を判りづらくするものではないでしょうか?私は見た目重視派ですから・・・。
もちろん細分類する研究を否定するつもりはありません。とくに縮字の背文の形状と面文の差異に気づかれた研究者の眼力は賞賛に値すると思います。上掲の表はハドソン社の新寛永通寶図会の補足記事の一部で、現時点で縮字細分類を最も正確に表現しているものと思われます。この記事はハドソン社から図会を直接購入した方だけに贈られたものと思われます。図会は再版されていないのでこの補足記事はあまり収集界に広まっていないかもしれません。(関係者の方々、勝手な引用をお許し下さい。)
 
 
寛文期亀戸銭 【退点文の類】
退点文                        【評価 9】
文の点がやや右よりに偏って退いているように見えることから退点文という。退点文は濶字と呼称しても良いほどぼてっとした大きな書体で加刀変化も多く、文銭のなかではもっとも古寛永的な要素を持っている一群である。
分類のポイントは寛の前足が斜めに短くでていること。背文は太く横引きにうねりがある。掲示品は25.3oほどある大様銭。
退点文肥文                     【評価 9】
背文の字画が太い。掲示品は背郭が縦長になっていることから、鋳型が縦方向にずれた結果このような変化が生じたことが推定できる。文字が太くなる要因は様々あり、一手とする必要性はないかもしれない。
退点文直一文(含白銅銭)            【評価 8】
加刀によって文の横引きのうねりがなくなり一直線になったもの。文点と横引きが離れる離点文であるが、中間的なものもある。なお、掲示品は通常のものと銅質が異なり、古寛永の長門銭のような色調の白銅銭である。退点文の白銅銭は非常に珍しく、掲示品を含め中間的なものは数品確認しているが完全に白く抜けているものは私は未確認である。なお、通常の直一文の評価は通常銭と変わらない。
退点文直一異文(非陰起文)           【評価 2】
鋳型の横ずれを加刀修正したらしく、背文、背郭、背輪とも横広である。通常このタイプは文の前足に鋳切れがあるが、掲示品にはその特徴がない。すなわち手変わりの手変わりである。また、通のしんにょうの末尾が輪につく特徴を持っている。存在は非常に稀である。
退点文直一異文様
上掲の異文とそっくりである。背郭も横長で文の字が横広に変化している・・・が、文の字に修正がなく、文字全体が重文になったままのようだ。通尾の鋳づまりもないので上掲品とは別物のようである。
背郭横幅8.4oに対し、縦幅は7.6oしかない。偶然変化のひとつであろうがとても面白い。

※久泉研究資料の異文母銭は通尾の鋳づまりがない!要はこの変化が母銭段階の変化であるか否かといったところ?
退点文小文(退点文の退点文)【評価 3】
背文が小さく郭から離れる。ポイントは文の点が小さく、類品中最も右側に寄っていることから別名、最退点文とも呼ばれる。文の字自体も小さく郭から離れるが横引きは狭文より長い。存在はいたって少ない。背が横郭気味になるのが特徴のひとつとされますが、掲示品はほぼ正方形の小郭です。

※掲示品は舎人坊石川氏からのプレゼントです。
退点文狭文(母銭)      【評価 珍】
この品物は平成17年の銀座コインオークションに出品されたもの。出品名は退点文小文だったが、図会では狭文とすべきものかと思う。久泉研究資料Fでは図会でいう退点文狭文を小文と称し、小文は退点文の退点文としている。とても紛らわしい。

(平成17年銀座コインオークションカタログより)
※背郭はやや縦長になります。
退点文狭文                      【評価 7】
背文の横引き先端が削られて短い。また背文が小さく足が短く郭から離れる。狭文は小文の一種と考えても良いと思う。存在は小文よりはかなり多いがそれとて一般の文銭に比べたら少ないものである。
退点文狭文(白銅銭)    【評価 2】
画像映りが悪く、赤黒くなってしまったが確かに退点文の白銅銭である。実物はにごった青灰白色で、例えるなら工作用粘土の青みを減らしたような感じ。(強いて言えばこんな色。画像では赤黒く見えるが、これは表面の光沢の影響か?)文銭特有の黄色味が抜けてしまっている色で、変色によるものではなく地の色。本銭はインターネットで購入したのだが、私がかつて見た退点文の白銅銭の中ではもっとも納得が出来る品であった。ここらへんが退点文の白銅銭の限界かな・・・と思う。
※あるいは薬品変色か?少し心配。

退点文欠サ寛               【評価 6】
寛字サ画の横引きの先端(左前半)が欠けているもの。通字横の輪の欠けに注目!

退点文爪頭永               【評価 6】
銭譜での紹介は見た事がないが、収集の入札で見かけたことがある。私も目にとまって拾っていた雑銭。新種の認定なるか?
平成21年収集10月号に異爪永として掲載されています。
退点文異爪寛(偶然の変化)             【評価 ?】
鋳だまりによる偶然の変化だとは思うが、おもしろいので掲示した。天狗寛永のように源氏名がついて新種と認定されれば大化けする。どなたか同じものをお持ちではありませんか?
新種になったら・・・三ツ足寛永・提灯寛永・ベロ出寛永・振袖寛永・ぶら下げ寛永・手土産寛永などの源氏名はいかがでしょうか?
退点文の超大型銭(廃棄母銭?)
 ← 厚みもしっかりあるようです。
T氏からの投稿画像です。デジタルノギス計測で実に横径25.9o超(縦径も25.89o)だそうで、私が知る限り退点文としては史上最大銭です。しかもこの大きさは文銭としても寛永一文銭としても超巨大なのです。寶下にひびがあり、打撃による変形が大きさに多少は影響していると思われますが、内径も20.4oもあるそうですし濶縁ぶりも見事ですのでもともと大きいものであったことが分かります。さて、これは何か・・・ということですが、文字と背郭の立ち上がりのきれ、地肌部分が緻密に見えることから廃棄母銭ではないかと推定しています。通常は母銭から写されると0.3〜0.4o程度の鋳縮みをしますので、これからできた通用銭もかなり大きなものになるはずです。廃棄母銭は磨輪されて通用銭に混入されることも多いのですが、これは打撃による廃棄なのでしょう。たしかに寛字に鋳だまりがあり、母銭としてはあまりよくない出来のようです。もしかすると使用前に廃棄されたものなのかもしれません。投稿者は100枚あまりのウブ挿しから発見したそうで、いわゆる掘り出しものですね。
ひびが残念でしかたがありませんが、それでも貴重な資料でしょう。投稿者の方ありがとうございます。また、これより大きな文銭をお持ちの方の投稿もお待ちしております。

※原品確認しました。すばらしく大きな母銭です。(叩き伸ばしたものではありません。)
← 四国のK氏からの投稿。

外径25.6o、内径20.4o
母銭格の大型銭です。母銭の可能性もありますが、郭がちょっと甘く見えます。
とりあえず、退点文直一文の次大様銭という仮の位置にしておきますが、これもかなり立派な希少銭ですね。

※地肌がきれいですね・・・やっぱり母銭ですかね?
 
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