戻る
進む
【不知銭:細郭手/中郭手/広郭手/後鋳参考銭・絵銭・贋造銭類】
 
【細郭手類】
 
細郭手 草点保         【評価 大珍】
長径48.95㎜ 短径32.8㎜ 
銭文径40.6㎜ 重量21.4g
不知細郭手の中の白眉。覆輪刔輪銭らしく独特の卵型の銭形です。重量18g前後の軽量銭が多いと言われる中、本銭は21gを超え、かつ面側の輪幅もたっぷりあります。草点保の拓図を見ると本品は刔輪の度合いが少ないように感じ、とくに天上の刔輪があまり見られないように感じます。この特徴は類似カタログのものや不知天保通寶分類譜上巻34Pの4の図、大橋譜209P左端に近いと思います。この品は古い収集家の愛蔵品らしいのですが、合致する拓図は見当たりません。
細郭手 容弱(通用母銭)    【評価 大珍】
長径49.35㎜ 短径32.55㎜ 
銭文径41.2㎜ 
重量18.8g
オリジナル書体ですが、ところどころにシークレットマークのような特徴があります。
①文字が細く通尾が鋭く跳ねること。
②寶尓の後点が目だって大きいこと。(例外あり)
③背の花押の角(左側)が先太なこと。
④寶前足の先端がやや陰起気味なこと。・・・です。
なお、掲示品は通用母銭と言われています。
細郭手 容弱(跛寶:次鋳?)  【評価 少】
長径49.3㎜ 短径32.9㎜ 
銭文径40.9㎜ 重量20.6g
四国のKさんからご好意でお譲りいただいたもので、上のものと比べると濶縁で銭文径が縮小しています。製作は本座をはるかにしのぐ精美銭で、郭の内側まできれいに仕上がっていて、大家達が容弱を加賀出ではないかと推定したというのもうなづける出来栄え。なお、容弱は長尾通、円点尓寶、肥点尓寶、跛寶、小足寶などに細分類されます。跛寶は容弱の代表的な書体で存在は一番多い方だと思います。
→ 新寛永通寶分類譜【製作日記】
細郭手 小点保(尨字類?)   【評価 珍】
保点や尓点が長く、寶冠が斜めで尨字類に近似しますが全体に文字が幅広いのです。新訂天保銭図譜では小点保、天保泉譜では正合するものはありません。当百銭カタログでは広郭手異書体・・・と呼称が一定しません。あなたはいったい何者なのでしょうか?

(平成17年銀座コインコインオークションカタログより)
細郭手 異書体         【評価 少】
長径49.0㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量23.1g

全体に浅字で極細の書体。離点保、俯頭通、斜尓、背反郭、離点當です。
極印形状も独特で、風車型と勝手に名づけましたが、変形十字桐極印になっています。
→ 天保通寶極印図鑑
細郭手 貼り合わせ銭(削字)  【評価 1】
長径48.6㎜ 短径32.35㎜ 
銭文径40.5㎜
 重量22.2g
面側は細郭、背は長郭の書体・・・つまり母銭を貼り合わせてつくったということ。なぜこんなに手間のかかることをするのだろうと不思議に思うのですが、現実に存在するのだから困りますね。地肌には鋳ざらいの痕跡がはっきり残り、全体的にぬめぬめした銅質です。郭内には貼り合わせた段差もくっきり。
※ほかに特色として、刔輪削字がされていること、とくに通頭が長く凹頭通になっていることなどがあります。
細郭手 鋳写(覆輪存痕)【評価 4】
長径49.1㎜ 短径32.4㎜ 
銭文径40.9㎜ 重量19.3g
一回写しの細郭手。極印も本座に酷似していてほとんど差がない。わずかに銭文径が縮むほか鋳造時の圧力不足のためか文字が弱弱しく郭も丸味を帯びています。よく観察すると、通用や寶貝、郭の周囲などに加刀の痕跡が確認できます。それが不知銭であることの決め手にもなりました。
※天保仙人様からの指摘で面右側輪に覆輪痕跡が確認できます。
細郭手 鋳写異極印       【評価 4】
長径48.55㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径40.65㎜
 重量20.1g
一回写しのほとんど違和感のない細郭手。極印は本座と異なります。(中央の主花序がなく、左右の脇花が中央に集まっています。)
細郭手 鋳写          【評価 4】
長径48.55㎜ 短径32.3㎜ 
銭文径40.5㎜
 重量22.9g
ほとんど違和感のない細郭手。銭文径が一回写しであることを物語っています。極印も本座によく似せています。製作技術もさることながら、これを不知銭であると見破った眼力の持ち主に敬意を感じます。本座銭に混じるとほとんど見分けがつかない。計測しなければわからない不知銭です。
細郭手 覆輪刔輪     【評価 2】
長径49.0㎜ 短径32.8㎜
銭文径40.8㎜ 重量21.9g
ほぼ鋳写しに近いもののやや横太り形でわずかに覆輪と刔輪がされています。穿内はべったりやすりがかけられています。
細郭手 覆輪浅字(異極印)   【評価 2】
長径48.2㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.65㎜
 重量20.0g
不知天保通寶分類譜上巻原品
異極印ということで、不知天保通寶分類譜では細郭手異極印の先頭を飾っていますが確かに極印は変わっているものの不知天保通寶分類譜に示された雪だるま型ではなく、左右とも桜の花のような形にカタカナのイの字を裏書きしたような雰囲気です。
※縮形銭と言った方が一般的かもしれません。また、写す前に覆輪されていると思います。
細郭手 刔輪凹頭通       【評価 3】
長径49.0㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径41.1㎜ 重量20.6g

文字細く細かく加刀されています。肌(鋳ざらいのため滑らか)と銅質は先に掲示した貼り合わせ銭に似ています。通頭上部が加刀によって変形して反り返り凹む特徴も同じ。寶足も長くなっているのが判ります。桐極印はほとんど見えません。ただし銭文径など本座と同じ。総合的に見て不知銭と判断できる品です。
細郭手 覆輪刔輪連玉珎     【評価 3】
長径48.5㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.6㎜ 重量19.9g
覆輪ながら縦径の縮小が著しいもの。寶足がわずかに長く、また天字右上に覆輪痕跡がかすかに残るもの。製作は精緻で本座なみに良いもの。
細郭手 刔輪跛寶(無極印)  【評価 2】
長径49.3㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.75㎜ 重量20.7g
面背ともに下半分の刔輪が強く、寶前足が長く、後ろ足が離輪しますので跛寶になります。側面はまるで削られたように桐極印がありません
細郭手 覆輪厚肉欠頭通(異極印)【評価 少】
長径49.2㎜ 短径33.0㎜ 
銭文径40.8㎜ 重量27.0g

不知天保通寶分類譜上巻原品
本座の銅質・製作に酷似しているものの、重さがなんと27gもある規格外です。通頭に加刀されていてフ頭通状になっています。
極印も鋭く独特です。
細郭手 鋳写異極印       【評価 3】
長径48.7㎜ 短径32.4㎜ 
銭文径40.8㎜
 重量19.4g
やや白銅質の粗造銭。驚いたことに極印の形状が上掲の品とほぼ同じ。同じ炉のでの可能性が極めて高い。
背輪の太細など類似点も確かにある。
細郭手 鋳写異極印       【評価 2】
長径48.15㎜ 短径32.2㎜ 
銭文径40.55㎜ 重量19.7g
鋳写しを行ったものですが、非常に上作です。極印は三角形の中に長い葉脈を持った形です。


長径が縮む銭形から覆輪刔輪天保だと思われます。以下、寸詰まりの銭形のものはほとんど覆輪刔輪天保だと思います。
細郭手 鋳写(刔輪)      【評価 3】
長径48.45㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.65㎜ 重量23.2g

一見本座に見間違えてしまいますが、実はかなり縮形です。
刔輪と名づけはしましたが、厳密に言うと輪の際を立たせるためのタガネ成形が溝を彫ったように続く不知銭です。
銭文径は縮小していますので1回の鋳写しといった感じでしょうか。小さい割りに重さはしっかりあります。厚いわけではないので、比重の重い鉛分が多いのでしょうか?
細郭手 小様          【評価 3】
長径48.1㎜ 短径31.9㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量23.4g

ほぼ全データが縮小値を示していますが、重量だけは重い不知銭です。鉛分が多そうな風貌ですので重量調整のため郭内が削られたような雰囲気もあります。郭は四方から念入りに削られたようで、しっかりとヤスリはかけられていますがけっして上手なかけかたではありません。
細郭手 小様魚子肌       【評価 2】
長径48.45㎜ 短径32.15㎜ 
銭文径40.7㎜
 重量21.8g
独特の地肌の細郭手。また、側面の極印も不鮮明ながら異極印です。実はほぼ同じ製作の長郭手が別ページに掲載されています。

※下の細郭手と同炉だと思います。
細郭手 覆輪梨子地肌      【評価 2】
長径48.55㎜ 短径32.25㎜ 
銭文径40.7㎜
 重量21.3g
覆輪直写ですが、鋳砂の関係か地肌が梨子地(なしじ)状態に変化しています。輪側面の極印は不鮮明でいまひとつ形状が良く分かりません。
細郭手 縮形痘痕肌(白銅質)  【評価 2】
長径47.9㎜ 短径31.8㎜ 
銭文径40.3㎜
 重量21.0g
暴々鶏氏のお気に入りの品だそうで三陸海岸のあたりでときどき見つかることから、三陸地方の不知天保と仮称している物。白銅質なのは仏具を用いたからだと思われます。さらに長郭手の捩形赤銅質のものも同炉かもしれません。

細郭手 覆輪縮形        【評価 2】
長径47.8㎜ 短径32.0㎜ 
銭文径40.3㎜
 重量19.2g
ありふれた品に思えますがどうしてどうして、48㎜を切る覆輪銭は超希少品だと思います。横幅の広いずんぐりむっくり形ながら、本座によく似た製作。

細郭手 小様白銅質異極印    【評価 2】
長径48.2㎜ 短径31.95㎜ 
銭文径40.9㎜ 重量23.3g
すべてのデータが異常値を示す縮形天保。前所有者が薩摩長郭小字と名づけていたように薩摩長郭などに散見される白銅質に似ています。すなわち肌が滑らかで白銅質になり、なかなか良い着眼点であると思います。小さい割りにずっしり重く、比重の重い金属の配合が高いように感じます。細郭手でありながら長郭の気味なのも面白い変化です。極印(菱十字型)は全く異なります。
細郭手 覆輪刔輪異制      【評価 3】
長径48.4㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径41.0㎜ 
重量23.2g
本座に似た銅色ながら少し青白く、やや小ぶりながら手に持つとずっしりとした重量感があります。異制としたのは銭形が面側より背側が広い台形状をしているからで、桐極印は不鮮明な小さいものが打たれています。輪際に刔輪痕跡らしきものが残ります。
細郭手 覆輪           【評価 2】
長径49.4㎜ 短径32.9㎜ 
銭文径40.95㎜
 重量20.9g
バランスの良い覆輪銭。銅色はやや明るい黄土色・・・真鍮色に近いものの、制作などはほぼ本座と同じ。中でも極印の再現性は抜群・・・本当に本座と同じです。はじめはたいしたことないもの・・・と思っていましたが、こうして並べてみると実に堂々とした覆輪の不知銭でした。
ネットで3500円は久々の拾いものでした。
※光源調整を行ったら非常に鮮やかな写真になりましたが、こちらの方が見やすく現物に近い。
細郭手 覆輪濶縁        【評価 2】
長径49.6㎜ 短径33.2㎜ 
銭文径40.7㎜
 重量20.5g
堂々たる覆輪です。本来は覆輪銭には濶縁という名称を付けないものなのですがこれだけ主張されると付けたくなります。長径、短径ともたっぷりあり、輪側面には大き目で角が丸く形の悪い桐極印がしっかり打ち込まれています。文字が陰起しているように見えるのは文字表面がぶつぶつ泡立っているようになっているため。地肌にも同じ形状が認められます。溶銅温度と圧力の関係+砂笵乾燥のときの煤の付きすぎ(松の松明で乾燥させたときのミス)などが重なっているようです。
細郭手 覆輪異極印       【評価 2】
長径49.2㎜ 短径33.0㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量23.3g
持った瞬間厚みを感じます。実際の肉厚は2.5~2.7㎜。極印は異極印でクローバー型2としたものに良く似ています。
細郭手 覆輪              【評価 2】
長径48.7㎜ 短径32.6㎜ 

銭文径40.3㎜
 重量21.0g
赤黄色くよく練れた感じの柔らかな銅質。見た目以上に銭文径の縮小が著しく、覆輪変形が激しいことが推察できます。刔輪の雰囲気はほとんど残っていませんが内径の整形があったことは方形に近い銭形からも推定できます。
細郭手 覆輪刔輪尖足寶     【評価 3】
長径48.15㎜ 短径32.35㎜ 
銭文径40.25㎜
 重量19.4g
磨輪されていて覆輪の面影はまったくないものの、間違いのない覆輪刔輪銭。ただ、これを覆輪と名付けると世間一般で袋叩きにあいそうです。
長径が1㎜以上短く、短径はたっぷりあって横太り銭径です。
細郭手 強刔輪削字削花押    【評価 稀】
長径48.4㎜ 短径31.8㎜
銭文径40.2㎜ 
重量19.0g
見栄えのしない風貌ながら天上の刔輪が強く、寶足も長く跛寶気味になっています。また輪周囲は刀によって深くえぐられています。
面文は陰起気味で背文字は激しく変化しています。當冠のツが前のめりになっているのと、花押のひげが先太になっているなど変化が激しい逸品です。なお、この品は天の第一画が短く削られています。また通頭が湾曲して長いなど貼り合せ手と呼ばれるものと似た特色があります。
細郭手 強刔輪長足寶      【評価 2】
長径49.5㎜ 短径32.8㎜ 
銭文径41.1㎜ 
重量23.8g
かなり大ぶりな銭径で、かつ重量銭。なぜか銭文径が本座とほぼ同じ。但し、刔輪はかなりはっきりしていて天字、寶字ともかなり離輪しており、寶足の伸びっぷりも見事。また、重量の23.8gはこの不知銭の見どころの一つでもあります。
細郭手 覆輪刔輪退口呆(異極印)【評価 稀】
長径49.05㎜ 短径33.05㎜ 
銭文径40.5㎜
 重量19.1g
銭形は横太りの小判型でかなり幅が広く感じます。製作は非常に良好。。ただし、文字が陰起気味でかなり崩れています。とくに保字は文字の太さがふにゃふにゃと一定せず、口が小さく歪み、ホ前点が離れて下に位置しています。良く見ると文字の周りが深めに彫られていますので、それが原因で湯回りが妨げられて、書体全体が崩れたものではないかと私考しています。
※類似カタログの
短尾通細字の系列の品だそうで、英泉天保通寶研究分類譜の原品です。→ 類品1  → 類品2
細郭手 覆輪肥足寶(異極印)  【評価 3】
長径48.8㎜ 短径32.0㎜
銭文径40.85㎜
 重量23.9g
寶足は直足寶気味に肥大していて長く、穿内は乱暴なやすりがけで郭の角に階段状の段差ができてしまっています。側面はやすりのあと砥石で仕上げたようで釘穴式の異極印が打たれています。
細郭手 覆輪刔輪削字(陰起文) 【評価 少】
長径48.35㎜ 短径32.65㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量19.3g
銅色は本座に似ているもののやや赤く、製作はやや劣る。文字の陰起するところが多く、崩れています。地肌のところどころに鋳ざらいで強く地肌を削ったような痕跡が伝鋳されています。
細郭手 刔輪削字(崩書)    【評価 稀】
長径48.0㎜ 短径31.95㎜ 
銭文径40.15㎜
 重量21.4g
銅色は本座と同じ、制作は素朴。上掲の天保銭に似ているものの、こちらは陰起文ではなく文字そのものが細かく加刀されていて形が崩れているもの。寶字、背當ともに離輪しています。
インターネットオークションに出ていて相場の2倍以上払ってしまった反省の一品。しかし、よく観察してみると加刀の仕方が独特で面白い。地肌にも浚った跡が見えます。天上の刔輪も強い。
細郭手 覆輪(面刔輪)       【評価 少】
長径49.2㎜ 短径32.75㎜ 
銭文径40.1㎜ 24.2g
計測してみたらかなり銭文径が縮んでいたので驚きましたが、立派な覆輪銭、面側だけ若干の刔輪もされているため背との差が著しくなっています。
背錯笵でもあり、左右の肉厚がかなり違うのも面白い。(右2.6㎜、左3㎜)背の下部の輪幅が著しく広いもののこれは型ずれと偏輪によるものだと判明しました。
細郭手 覆輪断足寶異極印    【評価 2】
長径49.0㎜ 短径32.95㎜ 
銭文径40.6㎜ 重量22.8g
覆輪で寶前足が断画されています。桐極印が独特で二段重ね状態に見えます。狭天気味です。長郭手に全く同じ極印のものがあります。


細郭手 覆輪刔輪狭玉寶濶縁   【評価 1】
長径49.0㎜ 短径32.8㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量20.9g
覆輪の度合いが強い細郭手。背側の輪幅が見事です。連玉寶系の書体との類似点が多いのですけど文字は肥字にはなっていません。地肌の鋳ざらい痕跡が強く、文字の削字も目立ちます。不知天保通寶分類譜に狭玉寶の類が掲載されていて近似するためその名称を借りました。連玉寶に至る前駆的な存在のような気がします。
細郭手 覆輪刔輪連玉寶拡穿   【評価 2】
長径48.5㎜ 短径32.45㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量22.1g
覆輪刔輪で寶が連玉寶であり、肥足寶になっています。郭内の仕上げが異常で面郭が極端に細くなっています。これも狭天気味です。
細郭手 覆輪刔輪連玉寶拡穿   【評価 2】
長径48.1㎜ 短径32.65㎜ 
銭文径40.3㎜ 重量16.8g
製作の癖から上掲品と同じ炉の出自と見られます。古い朱書きで容弱肥字の文字が読み取れますが、これは昭和泉譜の平尾賛平氏の旧蔵品の証です。不知天保通寶分類譜上巻にも覆輪連玉寶の名前で掲載されている原品そのものです。郭が異常なほどに細く仕上げられています。
細郭手 覆輪刔輪連王寶小様   【評価 2】
長径48.1㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径40.25㎜
 重量20.8g
制作は良好、銅色は本座と変わりません。ただし、銭形がかなり小さく縮み、刔輪痕跡だけでなく母銭の鋳ざらいの痕跡もはっきり確認できます。側面極印は深く打たれた丸い桐で不知銭としては比較的わかりやすいタイプです。
細郭手 覆輪刔輪連王寶異極印  【評価 1】
長径48.1㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径40.15㎜ 重量19.4g
制作、銅色とも上掲示のものと酷似。サイズも近いので同炉ではないかと思ってしまうくらいなのですが極印が決定的に違います。非常に特徴的な極印ですね。ミッキー極印銭と仮称しました。


細郭手 覆輪刔輪連王寶異極印  【評価 2】
長径48.2㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量20.1g
やや寶下の刔輪が強めに見えるものの、これも連玉尓になる覆輪刔輪天保です。こちらの側面極印はアスタリスク型。このタイプの不知銭の極印は非常にバラエティに富んでいて面白いです。
細郭手 覆輪刔輪存痕背深淵   【評価 1】
長径49.1㎜ 短径33.45㎜ 
銭文径40.25㎜ 
重量19.3g
覆輪で非常に横に太った銭径です。非常に強い刔輪痕が面背に見られとくに背左側はえぐられたように深いタガネ痕が残っています。また背の上部から左辺にかけてくっきりと増金の痕が残っています。
刔輪によって文字が輪からはなれ、いわゆる接郭の様相をなします。穿内は四辺を丁寧にヤスリで仕上げられており、極印は小さな異極印が申し訳程度に打たれています。
細郭手 覆輪濶縁        【評価 1】
長径49.15㎜ 短径32.8㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量24.5g

銅色黒褐色ながら練れ良く、制作はまずます。長径は49.2㎜と本座なみなのですが銭文径は40.7㎜しかなく、かなり縮んでいます。そのため思い切り覆輪してカモフラージュしていますが、大濶縁気味になっていてかえってバレバレですね。分かりやすい不知銭で、長郭手に類品があります。もしかすると仙台濶縁?・・・なんて夢想してしまいます。あと一歩でしょうね。
細郭手 張足寶         【評価 少】
長径48.9㎜ 短径31.9㎜ 
銭文径40.15㎜ 重量22.9g

張足寶は長郭手にも同じ名称のものがありますが、基礎になった書体がそれとは異なります。なお、本品は天保通寶研究会の天保通寶と類似貨幣カタログ本編の原品です。
※背當の書体は田の幅が短く細郭のものですが、面側書体は保点や人偏が長く修飾されていて、長郭を意識しているようです。そのため、下掲のものをしばらく長郭手に置いていましたが同じものであることが判っていますので訂正しました。
細郭手 張足寶         【評価 少】
長径48.9㎜ 短径32.15㎜ 
銭文径40.2㎜ 
重量20.8g
実に出来の良い不知銭です。銅質、制作は本座銭とほとんど区別がつきません。寶足が特徴的に長く不知銭であることを主張しています。これは覆輪+刔輪技法による変化でしょう。背の花押は太く、背郭もややいびつです。(上辺が短い台形状。)保後点の反り味が強く、寶冠はわずかに右肩下がりです。輪側面の極印はとても小さく、かろうじて判別できる程度です。
細郭手 覆輪刔輪長張足寶     【評価 稀】
長径48.5㎜ 短径32.3㎜ 
銭文径40.1㎜ 重量17.1g
上の品と雰囲気はまるで違うものの、計測値的に近似点があるのが不思議です。卵型の銭形が独特の覆輪刔輪銭です。形が違う分、輪幅が広いという特徴があるのです。重量も軽いので手にすると軽さと同時に薄さを感じます。
細郭手のなかではもっとも寶足が長いタイプでかなり希少な種類だと思われます。
細郭手 強覆輪強刔輪長足寶小花押【評価 稀】
長径49.5㎜ 短径33.1㎜ 
銭文径40.8㎜ 重量21.7g 

不知天保通寶分類譜では上巻の108Pの寶下強刔輪が最も近いと思います。かなり強い覆輪と刔輪が見られますが、銭文径はそれほど縮んでいません。一方背側の縮小は目立ち、當百や花押が極端に萎縮して見えます。
細郭手 覆輪強刔輪長足寶    【評価 稀】
長径49.15㎜ 短径32.95㎜
銭文径40.65㎜
 重量20.1g
銅色、制作とも本座に酷似するものの、覆輪に加え強い刔輪が見られ寶足が長く伸びて輪に接します。天上加刀の強さはこの小さな図からも伺えます。寶足は鋳走りによるものかもしれませんが、意図的にも感じます。

細郭手 覆輪強刔輪狭長足寶   【評価 珍】
長径49.5㎜ 短径33.2㎜ 
銭文径40.65㎜
 重量20.4g
刔輪はかなり強烈で、長足寶だけでなく天、當も離輪します。見た目以上に横ぶとり銭形であるのは数値を見てもわかると思います。不知天保通譜分類譜の原品(上巻P96の10)であり、名前は反足寶になっていました。もちろん英泉天保通寶研究分類譜の原品で、英泉譜では覆輪刔輪となっていました。鋳肌は縦方向に浚われているようですべすべしています。
細郭手 覆輪強刔輪長足寶    【評価 珍】
長径49.8㎜ 短径32.2㎜
銭文径40.7㎜
 重量18.8g
保字右横に凹みがあることから狭長足寶の系統ではあるものの全体に刔輪がわずかに強く、内径も0.2㎜ほど大きくなっています。寶前足も陰起しないので踏ん張りが幅広く長く見えます。不知天保通寶分類譜、英泉天保通寶研究分類譜の原品で、細郭手の中ではもっとも足長の不知銭になります。

 
【中郭手類】
勇文              【評価 大珍】

勇文は気持ちよいほど文字が伸びやかです。とくに天字の足の踏ん張りの広さと保の人偏の大きさが目立ちます。
俗に天保銭の三種の神器といわれるほどの名品にして稀品です。元々は会津銭とされていましたが銅質はかなり白く関西方面では内科と推定されています。
平成20年の暑気払い古銭会において撮影した逸品です。
(天保仙人 所蔵)
勇文手             【評価 大珍】

勇文手は古い収集誌の記事(未見品誌上交歓だったと思います。)からの転載です。切り抜き記事でとってありましたが何年のものだったかは分からなくなってしまいました。その後の類品の出現を聞きませんがすごい発見だと思います。誌上では【退口保】の名称が付けられていましたが、【勇文手】の方が夢があって判りやすいですね。色調は銅山手に似ているとのことです。
(収集より借拓)
中郭手 細縁          【評価 3】
長径48.65㎜ 短径32.25㎜ 
銭文径41.15㎜ 重量20.1g
書体的には修飾は見られるもののほぼ本座そのものです。わずかに寶足が長く、刔輪の可能性を示唆しています。寶冠も右下がりに見えます。銅色はわずかに赤味を帯びていますが、本座銭に混じっても少し違和感を覚える程度です。この品物はネットオークションで拾い出したもの。
※銭文径にほとんど差がないのはいかなる技法か?焼け伸び?
中郭手 崩字小頭通       【評価 1】
長径48.60㎜ 短径32.15㎜ 
銭文径41.0㎜ 重量22.7g
郭の内側に完全にヤスリがけされています。通寶字の崩れが顕著で、小頭通に変化しています。鋳はだは細かくぶつぶつがある独特のもの。
中郭手 崩字厚肉異極印     【評価 1】
長径49.0㎜ 短径32.7㎜ 
41.0㎜ 
重量26.0g
細縁気味ながら何の変哲もなく、加刀もありますが崩字というより、陰起文といった雰囲気です。計測上のサイズはいたって平凡。桐極印は十字葉脈の変形異極印です。ところが手にすると少し重い。縁の厚みというよりも地の部分が厚く感じます。寶字側の輪は型に押し付けたためか、横から見ると厚みが3.0㎜ある楔形銭で、テーパーも肉眼ではっきり確認できます。子細に観察すると輪際も不正輪で刔輪の痕跡もはっきりあります。※
短尾通系のものらしい。
中郭手 刔輪(蝕輪蝕字)     【評価 1】
長径49.2㎜ 短径32.0㎜ 
銭文径41.0㎜ 重量21.6g
書体が細く陰起しています。極印は小さく不鮮明。最大の特徴は輪内側が鋳浚いによって不規則に歪むこと。蝕輪と名づけましたがいかがでしょうか。(削った痕跡も確認できます。)背の花押が輪から離れているのが分かりますか?
細郭手に掲示していましたが、どうも短尾通系に関係がありそうな製作なので引っ越しました。
中郭手 覆輪刔輪斜冠寶      【評価 少】
長径48.9㎜ 短径32.7㎜ 

銭文径40.2㎜
 重量19.8g
接郭の出来損ない風ながら、立派な覆輪刔輪銭です。書体や郭の周囲に加刀が見られ、保の人偏先端が長く、斜冠長足寶。背の當もツが大きいなどの変化があります。
※これも類似カタログの短尾通細字の系列の品。
短尾通細字濶縁に分類されるようですけど短尾とは言い難い風貌です。
英泉天保通寶研究分類譜No.1592原品
極印から長郭手のある品と同炉であることが判明しました。
→ 類品1  → 類品2
中郭手 覆輪赤銅無極印     【評価 稀】
長径49.75㎜ 短径33.25㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量25.9g

赤銅質で面郭の細さに比べ背の広郭ぶりが目立ちます。堂々たる覆輪銭で重量は25g以上あります。水戸接郭に似ていますが刔輪はされてなさそうです。特異なのは穿内、外輪ともやすり痕跡が見られないことで、半鋳放しになっています。できすぎの感もあるのですが、製作面には矛盾点は見つかりません。無極印なので仕上げ前に世に出たものなのか・・・
※浄法寺の初期の頃の銭の可能性がきわめて高くなってきました。平成8年の江戸コインオークションに東北地方仿鋳の名で出ています。
中郭手 鋳写縮形過重銭    【評価 2】
長径47.8㎜ 短径31.8㎜ 
銭文径40.2㎜ 重量25.0g

最大肉厚3㎜ながら、銭径が小さいためか重さをあまり感じません。しかし量ってみると25.0gもありました。鉛質が多いようです。
入手した第一感は・・・華の無い不知銭だなあ・・・。中郭なんだか広郭なんだかも良く分からないし、書体変化もないし、風貌はまるで久留米銭みたいだし・・・。
計測をしてみてはじめてその価値が判りました。反省の一品です。
 
 
【広郭手類】
不知銭における広郭手の存在量
不知銭において明確に広郭手といえるものは案外少ないものです。
広郭は最後期にあたるため、各藩の模造技術も向上していたと考えられるため、存在はするものの覆輪、刔輪のような目立った特徴が表に出てこないことが考えられます。さらに、不知広郭手の多くが岡藩と同じ痩通の書体に含まれるため、かなりの数の不知品がそこに包括されていると思います。実際に岡藩銭とされる天保銭の位は8~9位と大量にあります。7万石程度の外様小大名にそこまでの力があったか、甚だあやしいところです。天保通寶と類似品カタログでは痩字通寶を本座系に包括していますが、痩字通寶のものの中には本座規格外のものがかなり含まれており、やはり本来は不知品とせざるを得ないものだと思います。
なお、ここに従来掲示してあった擬似岡藩銭は、岡藩の項にとりあえず移動してあります。
 
広郭手薄肉異極印        【評価 4】
長径48.05㎜ 短径31.9㎜ 
銭文径41.15㎜ 
重量17.7g
一見久留米・・・銭文径本座とほぼ同規格ながら、極印が明らかに違う。もちろん久留米とも違います。したがって不知品とするしかないものだと思います。極印はハート十字型ににている不思議な形状です。肉厚は2.25㎜ほどの薄肉計量銭です。

広郭手 細字薄肉白銅銭     【評価 3】
長径48.7㎜ 短径32.35㎜ 
銭文径41.05㎜ 
重量15.6g
寶足やや長め、天字周囲に加刀痕跡が残ります。銭文径の縮みはほとんどなく、銅質もかなり白い。しかも側面はあばた状に凹があり、本座や久留米ではありえない。それでも久留米系に近いものがあるように感じますが、現時点では不知銭とするしかないでしょうね。
広郭手 縮形異極印銭     【評価 3】
長径47.9㎜ 短径31.5㎜
銭文径40.4㎜
 重量21.2g
こうやって並べてみると銭径が極端に小さいことが分かります。月刊天保銭53号の入札品原品であり、香泉ことM氏の旧蔵品でもあります。極印は穴ぼこ風のもの。おそらく破損した極印を使ったものと思われます。
薩摩写 粗製鋳写薄肉      【評価 7】
長径48.45㎜ 短径31.9㎜ 
銭文径41.3㎜ 
重量16.7g
銭文径に異常が無いので焼け伸びかどうか迷うところですが、穿内の傾斜と仕上げが確認できないのに輪側面にヤスリ目が残るところ、銭文径は大きいのに長径が短く磨輪されているところから粗造鋳写の類と判定しました。肉厚2.2㎜と薄く軽量銭です。
見た目は劣品なので市場の評価はほとんどないでしょうね。
※保点の傾きから薩摩の写しだと思われます。そうなると銭文径に縮みが無い理由が分かります。
薩摩写 粗製穿内鋳放無刻印   【評価 8】
長径48.2㎜ 短径32.2㎜ 
銭文径41.2㎜ 重量21.4g

本来は参考品に載せるべきかもしれません。薩摩広郭を写した不知銭は比較的多いと思われますが、ほとんどが薄肉粗製のもの。この品は厚み、重量ともしっかりあるものです。穿内はほぼ鋳放状態で背下部にはタガネ痕跡や鋳ばりも残っています。
薩摩広郭は銭文径が大きいので写しても銭文径は本座と同じなので、この手の写しでの見落としはよくあるのではないでしょうか?

広郭手 粗製磨輪薄肉      【評価 5】
長径48.55㎜ 短径31.85㎜ 
銭文径42.0㎜ 
重量15.3g
薄肉で粗製なのは、母銭を叩いて伸ばしたからなのかもしれません。赤銅質で銭体も歪んで出来は本当にみすぼらしいのですが、私はこういう奴が好きです。分類名にはつけませんでしたが面背とも刔輪もされています。
※計測結果に驚き!銭文径が予想以上に大きい。やはり延展による変形か?
広郭手 赤銅銭         【評価 4】
長径48.7㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径41.2㎜ 
重量19.2g
きれいな赤い色ですが、会津や秋田の銅色とは微妙に違い、硬さを感じます。寶後足が尖る加刀痕があります。
※計測してみてこれも銭文径が本座とほぼ一致していることに気づきました。当百銭カタログを見ても広郭手の銭文径はあまり当てにならないことが分かりますが、ひょっとして本座の火中変化なのかもという思いもあります。
広郭手 背刔輪残痕細点通    【評価 3】
長径48.1㎜ 短径31.75㎜ 
銭文径41.25㎜ 重量20.7g
かなり長径が縮むことで密鋳らしいことは判りますが、材質は本座に非常に似ています。背輪の右側に加刀痕がしっかり残っている(削りかけ?)珍しいものです。
広郭手 鋳写赤銅質(南部様)   【評価 3】
長径48.2㎜ 短径31.7㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量21.2g
不知天保通寶分類譜上巻P202「縮保」原品なのですけど、解説や計測値が合いません。独特の赤銅質の小様銭。秋田小様が未使用だとこのようにならないかしら。東北系であることは間違いなさそうです。
広郭手 刔輪削字削頭天背錯笵  【評価 3】
長径48.1㎜ 短径31.7㎜ 
銭文径41.35㎜ 重量21.4g

久留米(水戸)正字でも良い気もしますが、決め手が無い上に、とにかく加刀が著しい品です。
とくに天上輪際、背當上輪際、当百の文字周囲のぐりぐりえぐったような加刀痕跡が著しいのが特徴です。また、加刀の誤りで天第一画先端が消失しています。
背の花押が二重に見えるような錯笵ぶりも楽しい。
広郭手肥郭狭穿(異極印)    【評価 3】
長径49.2㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径41.25㎜ 重量20.9g
どうみても本座広郭のサイズ。若干輪幅が広く見えますが覆輪ではありません。穿内の仕上げが若干異なり、背が狭穿広郭になります。しかし一番異なるのが極印。これがこの不知銭の命です。不知天保通寶分類譜上巻の巻末に類品が掲載されています。
不知銭広郭手細縁厚肉異極印    【評価 1】
長径48.35㎜ 短径31.85㎜
銭文径41.5㎜ 重量26.6g

側面の極印が本座と全く違います。驚いたことに銭文径は標準銭より大きく、26.6gある重量は特異で、肉厚も寶字付近で3.2㎜もあります。広郭手には特徴が少ないケースが多いのですが、この品は不知銭らしい広郭手です。
不知銭広郭手厚肉異極印白銅質   【評価 1】
長径48.5㎜ 短径31.8㎜
銭文径41.35㎜ 
重量30.6g
つるっとした側面は砥石仕上げだと思います。30.6gの異常重量と異極印の不知銭です。極印はクローバー状に見える変形桐。
広郭手粗造細縁薄肉       【評価 7】
長径48.3㎜ 短径31.35㎜ 
銭文径40.65㎜
 重量12.6g
一見して粗末な焼け銭のよう。肌はただれて泡立ち浅地です。マニアでなければ拾わない天保銭ですが、立派な写しの密鋳銭です。
こんなにペラペラの薄肉でも側面には極印がありますし、鋳写しの証拠として銭文径が理論値通りに縮小しています。
ただし、この風貌では高い評価はできないでしょう。
広郭手粗造捻れ形異極印      【評価 3】
長径48.4㎜ 短径32㎜ 
銭文径41.4㎜ 重量21.6g
見た目は久留米の正字なのですが、製作が特異です。面側から見て面側が左に背側が右にずれているのです。しかも面側の型どりの方が浅く、面背逆製のような雰囲気もあるのです。極印も穴ぼこがあいているだけです。
広郭手覆輪縮形無極印      【評価 ?】
長径48.25㎜ 短径32.35㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量17.9g
額輪を磨いたものの可能性があるものの、無極印であることや仕上げの違和感からここに展示します。
 
【後鋳銭・絵銭・贋造銭類】
後鋳銭と絵銭、贋造銭の区分をどこに置くかという判断が実は大変難しいところです。本来ならば本座以外の天保銭はすべて贋造銭と言っても違っていないのですが、それはさておき天保銭にかかわる転換期が以下のようにあります。

1)明治4年末 (改鋳天保の終焉)
明治4年 5月の新貨条例に続き10月の布告で新貨幣との交換比率が定められ、天保銭が八厘の価値になりました。このことにより一文銭を鋳潰して天保銭を密造するうまみがほぼ失われたのです。ただし、民間では天保銭の人気が比較的高く、しばしば八厘以上の価値で取引されたこともあるようです。この段階ではまだ天保銭は現役の通貨だったのです。
明治5年以降につくられた天保は、布告を知らない地方の密鋳事業者の最後の悪あがきか断末魔か?・・・後には絵銭の鋳物師として細々と生計をたてていたのではないでしょうか。真鍮原料の亜鉛の国内精錬技術はこのときは確立していませんでしたので、後鋳天保銭は青銅質(黄銅質)がほとんどだと思います。両替目的で企画鋳造されたものは屑金属、古銭(渡来銭など)を潰したものだろうと推定されますが、その多くは小規模で、採算の取れないものであったと思われます。

2)明治30年 (廃貨:贋作の登場)
明治29年12月をもって天保銭の新通貨との交換は終わり、廃貨となりました。ただし、地方においては大正時代までは通貨として流通していたようです。明治30年以降は亜鉛の国内精錬技術が確立されて、真鍮質の贋造天保が続々登場することになります。

3)大正期~昭和初期 (贋造銭・真鍮銭の隆興)
コレクター目当ての天保銭の贋造、絵銭鋳造は明治30年頃からはじまり、大正期にかけて花開いています。地方で通用したことはあってもすでに通貨ではありませんので、この時期の天保銭はすべて贋作か絵銭になります。

※上記を要約すると
1)明治4年以前
 流通を目的としたニセガネづくり。真の意味の不知品ばかり。

2)明治5年~明治29年
 目的が流通から新貨幣との両替に移行していった時期。ある意味鋳物師の生活維持に徹したニセガネづくり。利益は薄く、絵銭としての性格が強くなるが実際に流通使用も可能だったためコレクター目当ての作品とは言い切れない側面もある。

3)明治30年以降
 コレクター目当ての贋作、絵銭。悪意が強くなる。
絵銭 天保戎寶
長径47.6㎜ 短径32.1㎜ 重量16.8g
不知天保通寶分類譜によると大阪にある今宮戎神社の戦前の熊手飾りではないかとのことでした。打製にしてはかなり分厚く重い作りで、熊手飾りならもう少し薄くても十分だと思います。したがって個人的には携帯用のお守り銭の類ではなかろうかと思います。純銅製らしく絵銭と考えてもなかなか雰囲気のあるものです。評価は全く分かりませんが、存在数だけを考えたら本当に少ないもの・・・珍銭の類じゃないかと思います。

大橋義春・当百銭研究分類譜
不知天保通寶分類譜・別巻66P原品 
贋作 広郭手 粗肌無極印銭
長径49.30㎜ 短径32.65㎜ 
銭文径41.15㎜ 重量20.6g
驚いたことに規格はほぼ本座と同じです。ただし確かに無極印。また、肌は江刺銭に良く似たザラザラ砂目です。

本座の母銭から写された品で、はじめは本座の鋳放し銭という触れ込みで現れた品だそうです。それがばれると枝部分を切り取って不知銭に化けたいわくのある品。輪側面のやすり目にも矛盾なく、かなりの上作で私も完全にだまされました。仙人いわく銅質が固いとのこと。
贋作 濶字退寶写(異銅異極印)
本銭は雑銭の類ですが、これはその写しで立派な制作です。同じ作風の盛岡大字や浄法寺銭などがあるようです。
贋作 浄法寺長郭摸(陰起文異極印)
長径49.0㎜ 短径32.2㎜ 
銭文径41.7㎜ 重量22.1g
本座長郭の母銭を使用して写したもの。縦の強いやすり目と穿内の未仕上げが印象的です。極印は上のものと同じ系統。おそらく同じ作者でしょう。

俗称 大森天保(石見銀山付近後鋳銭)
現在の島根県の一部で世界遺産になった石見銀山からの産銅で作られたといわれるものです。本座広郭の直写縮小銭で側面の桐極印もありません。石見地方の旧家からカマス1袋ほど発見され昭和62年6月の『天保銭』において発表され、長郭や細郭のものも発見されているそうです。広郭は天字の上端輪面にかき落とし状の傷があるほかに、いくつかのポイントがあるようです。
※瓜生氏は本銭を流通を狙ったものではないととらえていて、それは不知天保銭分類譜別巻(絵銭・参考銭の類)に掲載されているところからも伺えます。企画をしたものの採算がとれず断念したものか?
(銭幣の環 13、14号より)
贋作 長郭手錫母 (鉛銭)
おそらく錫母銭を意識したものだと思いますが、やや浅字で柔らかい材質です。長径が49.3㎜もあり、銅母銭から写した可能性があります。制作がいまひとつなので、贋作としてはバレバレなのですが、大ぶりの姿は制作者の意図が感じられる品です。この手のものは不知天保通寶分類譜の別巻に掲載されていますが、私は金属について見識がなく鉛なのか錫合金なのかは判断できません。重さは35.6gあります。
もちろん輪側面に極印はなく滑らかです。あまり見かけないもので数は少ないのでしょうがあくまでも参考銭なので評価はできません。
贋作 長郭手嵌郭
長径48.2㎜ 短径31.4㎜ 
銭文径41.35㎜ 重量17.9g
嵌郭は銭体・・・とくに穿の変形に対応するための技術です。密鋳寛永銭の場合は材質が柔らかかったため、穿に棒を通してやすりがけをする際に変形しやすかったためと考えられます。一方、天保銭の場合は覆輪変形に備えるために郭幅を広げたとも考えられますが、もともと肉厚であるうえ、真円の寛永銭のように外輪を回しながら仕上げることもないため、ここまで郭を補強する意味合いはほとんどないと思います。
後作 真鍮銭(長郭手縮形)
これも鋳写しによる密鋳銭ですが後作銭に該当するようです。銅色が不自然に黄色く軽量です。鉄分や錫などの材質が混入していると思われます。銭径が小さく歪むためすぐに違うと判るような天保銭です。鋳造期は明治後半以降で、おみやげとしてごく小規模につくられたものでしょう。コレクター目当ての贋作だとしたらあまりにバレバレですね。でも案外そうなのかもしれません。真鍮質の天保銭には注意が必要です。
後作 真鍮天保
戦後グリコのおまけに古銭をつけた・・・ということがあったようです。本物の天保銭が足りなかったため、急遽模造天保銭をつくりおまけとしたようです。掲示品は広郭の直模品のようで、背反郭、面含円郭になっています。真鍮質なのは材質的に鋳造しやすかったからだと思います。

※これはグリコ天保ではありませんでした。本物?はもっと書体が崩れています。
後作 朝鮮天保?(加賀千代作?)
加賀千代作といわれる新作天保と同じ系統の書体であり、これがまた、後に朝鮮天保として出回ったものの書体とほぼ一致しています。
原品は白銅質の重量銭で重量は29g以上あります。長径も50.8㎜もある。やすり目が現代の作なので間違うことはないと思います。

面文は特異であるものの背の製作だけを見るととても自然。小頭通で進頭通であることも特徴。花押しの袋部分が上に盛り上がるのと百の日の幅が横広でもある。

贋作 偽グリコ天保
世間一般でよく見かけるグリコ天保はこのタイプです。
(実はグリコ天保ではありません。)
文字に特徴がありますが、どう見ても古色なく記念メダルのようなつくりです。ガチャポンのおまけに入っている天保があったと思いますのでもしかすると・・・。

※これもとある古銭商がグリコ天保であるといって古銭界にばら撒いたもの。そのため最近はこれがグリコ天保の名前で通ってしまっているから恐ろしい。

創作絵銭 鍵玉稲荷天保(真鍮銭) 
天保泉譜では南部民鋳の可能性ということで堂々4位の位付け。ただし、画像の品は真鍮質で明らかな写しです。参考までに・・・。
絵銭 菊天保(古鋳品)     【評価 4】
あまり銭譜では見かけませんが瓜生氏著の不知天保通寶分類譜(別巻)や大橋氏の当百銭研究分類譜には掲載されています。天保の絵銭の多くは絵銭とも言いがたい新作銭が多いのですが、これはある程度の時代はありそうです。不知天保通寶分類譜(別巻)でも類品中の名品として紹介されていますが、あまり期待すべきものではないのかもしれません。なお、掲示品は比較的初鋳銭らしく、赤黒い銅質が特徴です。
創作絵銭 普賢菩薩像(ラムスデン写)
不知天保通寶分類譜では千手観音像として写しが掲載されていますが、この図柄は絵銭の八体仏をまねた物であること、冠の五仏という特徴から普賢菩薩であると思われます。菩薩の足元のデザインは本来は6本牙の白象の頭部であるべきだと思われますが、何がなんだかわからなくなってしまっています。普賢菩薩はお釈迦様の脇仏として、究極の慈悲を司る法華経の守護神です。また、乗っている象は行を守り遂行する・・・行者の守護の象徴・・・でもあるようです。
なお、八体仏銭を摸作した天保銭はラムスデン作の中では初期段階のものであることが大正9年の貨幣第15号に示唆されています。
創作絵銭 勢至菩薩像(ラムスデン写)
上作より少し小さいのですが銅色、製作からみて同系統の品で、やはりラムスデン作ではないかと思います。この図柄のものは真鍮写しが多く、さらには近代摸作まであるそうです。現品は不知天保通寶分類譜の拓図と同大で天上の輪の疵や寶王の陰起もほぼ同じです。
旧譜ではこれを観音像としていますが、絵銭の八体仏と比較しておそらく勢至菩薩像を模したものに間違いありません。勢至菩薩は阿弥陀如来の脇仏として観音とともにあることが多く、仏の智慧(仏の与えてくれる智の力・・・悟りや仏の御心)の光で民を導き救う存在だそうです。
創作絵銭 千手観音菩薩像(ラムスデン写)
千手観音と菩薩を省略して呼称されることが一般的です。文字通り千の手で民衆をもれなく救う象徴であり、かく手には目がついており、千手千眼観音とも呼ばれます。頭上には11面(あるいは27面)の顔がついており人間界を見つめています。
贋作錫母 加賀千代太郎作    【評価 1】
あまりにも有名な加賀千代太郎の伝説の贋作です。錫鉛の合金らしく本座長郭を模していますが細郭気味で文字が陰起します。全体的に文字が丸く、陰起するので贋作とはすぐ判りますが、なかなか愛嬌のある顔つきです。日本古銭贋造史によると現存確認されたのは5品程度だとか。
あまりに有名であまりに数の少ない贋作品で、ついにはオークションで価格が付くようになりました。
なお、本品は縁の疵から新訂天保銭図譜、不知天保通寶分類譜別巻の原品で小川青寶樓氏が加賀千代から直接もらった3枚のうちの1枚だそうで、材質を調べた小川氏の爪痕が残っています。
絵銭 小湊山誕生寺           
千葉県鴨川市天津小湊の誕生寺のおみやげでしょうね。文字は十界成仏・小湊山誕生時・南無妙法蓮華経です。
絵銭 小型天保(広穿薄肉)         【評価 8】
不知天保通寶分類譜別巻に小型天保、豆天保として類品が掲載されていますが、書体などから同系統の品と推定します。ただし、小型天保より一回り大きく、中型天保と名づけられた別系統のものより一回り小さい品でネーミングに困ってしまいました。とりあえず系統が同じと思われる小型天保の名称を冠して、広穿薄肉の特徴を付記してみました。鋳物であるのは間違いなく、玩具とか博打の賭け銭とかそんなものでしょう。手作り感あふれる作で、それなりの古さも感じますが、時代のない絵銭ですのでメダル的な扱いになります。
長径28.3㎜ 短径20.0㎜ 肉厚1.4㎜ 量目4.4g
 
目の保養にどうぞ・・・
左上:細郭手 異書体(奇書)
左下:細郭手 縮字宏足寶
右下:長郭手 退天巨頭通
(三納天保)

季刊方泉處11号から転載したものです。天保銭の不知銭はやはり面白い存在ですね・・・。見て飽きません。 
 
戻る 次のページへ