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天保銭極印図鑑
 
 
はじめに・・・
天保銭の桐極印は一部の品種を除いてあまり注目されていません。と、いうのも極印はあまりに小さく、打ちそこないも多いからで、いわゆる質の均一性にかけるため、収集界ではあくまでも補助観察的な存在になってしまっています。
その一方で、流通当時の極印の持つ意味は大きく、無極印は撰銭(受け取り拒絶)の対象になったようですし、本座の鋳銭工の地位も極印職人が最も高かったという記録もあるようです。
極印に注目してやろう・・・と、思い立ったのは良いのですが、なにせサンプル数が不十分。また、極印は金属に打刻するので、磨耗や破損が多く見られ、おまけに打ちそこない、打ち漏れ、横打ち、逆打ち、上下不可解などの要因にやはり悩まされました。したがってここに掲示するのはあくまでもこのような形状のものがあるという意味程度・・・絶対的な分類ポイントではありません。
 
 

桐極印の形状と名称(仮)
桐極印について、おおざっぱな形状説明と部分の名称付けをします。
なお、各部分の名称は正式なものではなく、私が説明用に名づけたものです。

※桐紋は金座後藤家が、家紋の五三の桐を簡略にデザイン化したものです。凹部で紋の外周・・・3枚の葉と左右の花序を、凸部は葉脈と主花序の芯をあらわしています。
極印は破損しやすく、左右の花序部分はとくに失われやすかったようです。また、凹部の中にある葉脈も打刻の具合や、側面の状態(磨耗など)によって良く見えないものがかなりあります。極印によっては主葉脈の頂点に玉のあるものがあり、花序や葉の形状も丸いものから尖ったものまで形状は様々です。なお、極印が横打ち、逆打ちされる例が多く見られますが、掲載画像では花序が上で左右の葉脈先端が下がる方向が正しいものとしました。

  

原産国は中国と言われ、古来から鳳凰の止まる木として神聖視されてきました。
樹木としては非常に成長が早く、軽くて断熱性に富むのも特徴で、娘が生まれたら桐の木を植え、嫁入りの際に箪笥をつくり嫁入り道具にする慣習も桐の特性を生かしたものであると思われます。
ピンからキリまでという言葉の解釈でキリは本来最上を意味していました。ところが途中で解釈の誤解があり、現代解釈ではピンが最高、キリが最低になっています。諸説ありますが天正カルタで12月をキリと呼んでいた・・・このキリはオシマイと言う意味の切りでしたが、転じて花札の12月の花が桐の花になった・・・という経緯(俗説)があります。ピンキリと桐は無関係ではないのです。
大きな葉にたくさんの花をつける・・・子孫繁栄の意味もある?・・・こともあり、桐は縁起の良いものとして家紋としても良く用いられたようです。また、古くから皇室では菊の紋章の副紋として五七桐紋を使用していました。足利尊氏や豊臣秀吉も天皇家から桐紋を授かっていて、政権担当者の家紋としての認識が広まったようです。現代で一番皆さんが目にする桐の家紋は・・・パスポートの表紙にあるでしょう?
(ウィキペディアなどから引用記述)

本座(小型桐)
大量生産なので本座の極印は大小様々なものがあると思いますが、これは比較的小型のタイプ。葉脈はゆるやかに弧を描き、葉の下部は豊かなふくらみを見せ、もっとも桐らしいデザインです。

本座(中型桐:カネゴン型)
脇の花がカニの目玉のように伸びたタイプ。右側の花序は極印が破損したのか、打ち方が不均一だったようで現れていません。比較的下部の広がりが豊かで葉脈に太細が見られます。一般的な家紋と異なり、左右の花房が開くように配置されています。
また、この極印は左右の葉の先端が尖っています。子供の頃、ウルトラQで見たカネゴンをほうふつとさせる形・・・なつかしいです。
本座(大型桐)
深く打ち込まれていますが極印が磨耗してしまって脇の花がはっきり見えません。本座の極印は権威の象徴なので、側面幅の中央に正しく打たれるものが多く、逆打ちは滅多にありません。極印が大きくなるほど下部幅が広がる傾向にあり、上と同様に葉脈に太細が見られますが、横葉脈は一筆書き状(三ケ月状)です。
このように極印は破損が激しかったようで様々なタイプが見られます。
薩摩(広穿長尾通:尖り菱型)
初期の薩摩は直線的でとげとげしく鋭い桐極印・・・まるで折り紙の兜のようです。こちらのサンプル画像は二つ打ちになってしまったもの。
薩摩(広郭:三角耳カブト型)
大量生産なのでタイプはいくつかあると思いますが、比較的デザインはこじんまりまとまっています。打刻はややいい加減で側面からはずれたり二つ打ちになったもの、打ち損じもあるようです。
葉脈に太細少なく、脇花下部が幅広く△になり目立ちます。本座との区別には『極印が小さくて上部に三角の山が三つあったら薩摩広郭』と、私はイメージしています。
琉球通寶小字(桐極印:三角耳カブト型)
琉球通寶の桐極印。少し大きめながら形は広郭に良く似ています。
萩(曳尾:への字型)
曳尾の極印はほとんど不鮮明。これはやっと撮影できたもの。全体の形状は薩摩広郭に似ているものの葉脈が急角度でヘの字を描いているようです。横葉脈は中央の柱に接していません。葉の下部もやや尖っています。
萩(平通:への字系笹葉型)
曳尾と違い丁寧に打たれた感じがします。はじめは曳尾に似てない・・・と思ったのですが良く見ると似ていますね。この極印は葉脈がとても太く笹の葉状です。中央の柱も太く横葉脈の上に乗る感じで立派です。
会津(長貝寶:菱の実型)
上下部の尖りが強調された三角形の小さな極印。この極印は上下さかさまに打たれていました。極印の打ち方について厳密な規格統制が本座のようには行われていなかったようです。サンプル数は2枚しかありませんが極印はきれいに葉脈まで観察できました。
会津(短貝寶:六芒星型)
粗製乱造だったのか手持ち品の短貝寶は磨耗していて、葉脈が見えません。短貝寶の極印はダビデの星に似てやはり三角形を2つ組み合わせたような形状です。私は会津の極印はこじんまりして小さいというイメージがありますが、上下左右がまとまった形だからのようです。
福岡離郭(普通桐:カブト型)
離郭の極印は個性豊かですが、これはオーソドックスな普通桐タイプ。本座に似ていますが葉脈に太細がありません。なお、極印の打ち方はさまざまで破損印や打ち損じも多く見られ、あわてて大量生産した雰囲気が伝わります。
福岡離郭(六角小桐型)
離郭の極印は実に個性豊か。この極印は福岡ならではのもので肉眼では六角形の花弁に見えます。
六角小桐極印のイメージ図
名称は私のつけた仮称です。この形状の極印は離郭には比較的良く見られるものだと思います。花序と葉の大きさがほぼ同じで六方向に飛び出します。
福岡離郭(玉持ち極印)
やや右に傾いて打たれているので見づらいかもしれませんが太目の葉脈の頂に丸い玉があります。この極印は中濶縁のタイプ(次鋳)にのみ散見されるようです。
玉持ち極印のイメージ図
仔細観察するとやはり桐の形状になっていると思われます。当百銭カタログなどのイラストは花序が省略されていて180°倒置だと思います。とはいえ私もこれしかサンプルを持っていませんので大きなことは言えません。
盛岡(銅山手)
手持ち品に明瞭なものがなく、あくまでも参考。画像で見る限りオーソドックスな形状に見えますが、破損・磨耗のため良く分かりません。
水戸(遒勁)
末広がりですわりが良く堂々とした極印が深く打たれています。オーソドックスですが葉脈に太細はなく、下部方向に大きく長くカーブします。
水戸(接郭:大葉桐型)
接郭は比較的極印がしっかり打たれています。小さめで下部の葉の大きな極印で、桐形を忠実に表現していると思います。
水戸(濶字退貝寶:上部肥大型)
粗い極印打ちのようでおおよその形状しか確認できません。大字短足寶の極印の撮影も試みたのですが、いずれも満足のゆく画像は撮れませんでした。この画像で判断する限りは繊字に下部は似ていますが上部の花序部分が極端に大きいように感じます。

※短足寶の極印形状は少し変わっているように感じました。

水戸(繊字:下部尖り型)
水戸銭は極印がはっきりしないものが多くスキャナーで読んでも穴ぼこにしか見えないものばかりです。この繊字も極印が破損しているのか上部の花序部分がほぼ失われています。下部の尖りが鋭く大きい特徴があり、石持ち桐極印とは大きな隔たりがあります。

久留米(正字濶縁:石持ち桐極印)
これは見事な石持ち桐極印。久留米は極印そのものも大きくかなりデザイン化されたものだと思います。
石持ち桐極印のイメージ図
脇花が大きく、主花序とあわせてクラウン状になります。頭部の玉が巨大で葉脈に喰い込むタイプは、天保銭の鑑定と分類によれば希少なタイプとのこと。左右の葉もふくよかに膨らみます。
久留米(背異替:石持ち桐極印)
今回の撮影で偶然発見したもの。高倍率のスキャナー撮影でなかったら見落としていました。背異替の石持極印は少ないと聞いていましたのでちょっぴりうれしい。ただし、実は存在が少ないというよりも確認できる状態の良い個体数が少ないといったほうが正しいかもしれません。
石持ち桐極印のイメージ図
中央花の頭部が小さな玉になって分離しています。花序のデザインも独特で、上図の正字濶縁と共通しており、同座のものであることが分かります。
このタイプは玉部分が小さく、脇はが三日月状に尖る独特のものです。
極印の打ち方はかなり乱雑で、これは横打ちされたもの。
久留米(背異替:普通桐極印)
普通桐極印のもの。外周、葉脈は直線的。石持ち桐極印は凹部外周の形状や葉脈が曲線的にデザインされているようです。久留米の極印は大きいのも特徴です。

ただし、この極印も玉部分が明確に出なかっただけかもしれません。
久留米(深字:普通桐極印)
久留米深字は玉持ち桐極印ばかりで普通桐は少ない(ない)と言われます。これはその少ない普通桐タイプで唯一確認できたもの。かなり小さい。
仙台(長足寶大様)
仙台の特徴はこのツンツンした頭。突っ張っていますね。
秋田(広長郭)
小桐タイプか?あるいは破損極印?手持ち品は極印の上下さえ良く分からない状態でした。
秋田(細郭:星型)
会津に似ていますがやや小さく、直線的で角のしっかりある形状極印が深く打たれています。

秋田(小様:チュ-リップ型)
ふくよかなチューリップ型、あるいはフジツボ型?。これを見る限りこの座と上のものが同炉だとは思えないのですが・・・。
秋田(小様:小型桐型)
鐘ゴンのような小型桐極印。チューリップになる前の形はこれかも知れない。
盛岡藩銭(八ツ手極印)
有名な八ツ手極印の拡大図です。桐の葉脈のようなものは見えますが、ずいぶん変形しています。
土佐(額輪本体)
イメージとしては小さめの極印がガツンと深く打たれている感じ。本体の極印は本当に小さい。
※以前掲載していた画像は誤りでしたので差し替えます。

下左 土佐(称:南部民鋳赤銅質)
下中 土佐(額輪肥字濶縁)
下右 土佐(額輪小様)

額輪の肥郭(覆輪タイプ)の赤銅銭。この手のものは極印がつぶれたものがほとんどながら、これは形が良く保存されていました。小ぶりながらしっかり尖った桐です。ただし、ここまで良く見えるのは稀かもしれません。肥字系は葉脈ばかりで葉の余白部分がほとんどないようです。
長郭手(俯頭通:弥次郎兵衛型)
本座の大型タイプに似ていますが横に扁平で葉脈が上部に長く突き抜けています。脇花もしっかりあります。本座の大型桐極印に良く似た形状ながら、葉の部分の表現(葉脈周囲の余白)がほとんど見られません。
細郭手(容弱:極小型)
極印としては最小クラスながらしっかり打ち込まれています。それにしても小さいですね。
長郭手(中央分離型)
太い柱が極印の中央をずばっと左右に2分しています。柱のやや上部から2本の枝が左右に広がります。
中央分離型極印のイメージ図

長郭手(UFO型)
ここまで省略されると気持ちいいですね。大きな凹みの中央にUFOがぽっかり浮かんでいます。笠型とか半月型とか呼称してもよかったのですが、横文字で決めてみました。

細郭手(ミッキーマウス型)
ナスのヘタ状の凹みの下に大きな凸玉、その下にリンゴマーク状の凹み・・・ひっくり返すとミッキーマウス・・・というより読売新聞のキャラクター『ダッチ君』みたいです。当然ながら左右とも同じ極印で、桐以外を意識してデザインしたのではないでしょうか?
ミッキーマウス型極印のイメージ図
写真写りが悪いためいまひとつかもしれませんが左図のような形をしています。変形極印の中でもとても目立ちます。アダムスキー型円盤にも見えますね。
細郭手(ハート盾十字型)
良く見えませんが全体に凹んだ形がハートマーク形状で盾中央に十字架があるようなデザインになっています。
細郭手(クマ耳型)
葉脈らしきものはしっかりあるのですが、外輪形状と一致していません。外輪はクマみたいです。おそらく右下にも花房の部分があったのではないでしょうか?

※全く同じ極印の細郭手を入手しました。破損極印のまま使い続けたか、あるいはこの形が本体なのかもしれません。
細郭手(三又槍型)
葉脈の縦のラインが強調されていて海の神ポセイドンの持つ伝説の武器(トライデント)の先の形風になっています。
細郭手(お花型)
子桐極印の上に孫桐極印が乗っかっています。まるでお花が咲いたような可憐な形状ですが葉脈は確認できません。
長郭手(お花型)
ネット上で発見したときは興奮しました。面の書体違いの同系極印の発見です。
これでこの長郭手と細郭手は間違いなく同じ座(藩)のものです。
制作に共通点が見つかればさらに面白いのですが残念ながら私の所有物ではありません。

※紆余曲折あり、私の所有になりました。銅質や郭内のやすり仕上げなどに類似点が観察できます。詳細は2012年の5月の制作日記中に記載しています。
不知長郭手(十字型)
一応、桐極印なのですが主葉、脇葉がほぼ省略され、花序もほとんど確認できません。
不知長郭手(猫型)
破損のためか半分しか打刻されていませんが、花序(脇花)が角のように尖り、主葉も絞られたように尖っています。
不知長郭手(ドクロ分銅型)
穴ぼこ3つで構成されています。中心の大きな穴の両脇に二つの小穴。偶然の打ち出しではなく左右ともこの形です。
不知長郭手(まん丸型)
見事なまん丸。丸型とするべきでしょうが、私はこれを「まんまる」と呼びたい。葉脈は不鮮明ながら十字型に近いものなので薩摩(島津家)の家紋というべきでしょうか。現品は長径が48㎜を切る極端な縮形の覆輪銭です。
不知長郭手(大丸型)
薄肉の銭体に見事な特大丸型極印。これは目立ちます。
不知細郭手(丸一型)
本体は本座銭を摩耗したような雰囲気で銭文径の縮みも控えめ(40.8㎜)で平凡ながら、極印は中央の葉脈だけが太く目立つタイプです。丸一としましたが、周囲が扁平にゆがんでいるなのでパッと見はマイナスのような印象です。拡大してみると横の葉脈が申し訳ないように存在していました。
不知長郭手(扁平十字型)
扁平な丸方の中に十文字の葉脈。浄法寺銭にこのような極印もあります。
不知広郭手(四ツ目型)
銭文はどう見ても本座広郭。銭文径も本座と同じ。極印が左が小さな傷、右が画像のように四ツ目型。あるいは十字型が摩耗したものか。穿内仕上げも若干異なります。
不知細郭手(釘穴型)
銭文、銅色とも本座に酷似の不知銭。ただし、極印は釘でガツンと穴をあけたようなもの。穴ぼこ型・釘穴『式』と言いたいタイプ。
この手のものは、時代が下がるものや製作の劣るものに多いような気がしていましたが、本品はかなりまともな出来なほうです。
不知広郭手(穴ぼこ型)
ぼこんと四角い穴が空いています。この天保銭、面背逆製に近い中身切りのつくり。右側が面側になっています。
不知細郭手(十字風車型)
不知細郭手異書体とか奇書と言われるものの極印。よく見ると十字の葉脈の周りに直角三角形をぐるりと配置したようなデザイン。地の部分の省略が著しく、もはや桐とは言えない形です。
不知長郭手(縦長桐型)
比較的整った形ながら上部の余白にくらべて葉脈の周りの余白がほとんどない桐です。そのため全体的にやや縦長の6角形の形になっています。子細に見ると左側の葉脈が右側より細く短いのです。反対側の極印も同じ形状なのですが、意識してこうなったのか職員の癖、極印破損、摩耗なのかは不明です。

※長郭手覆輪厚肉 極厚肉で銭文径も再写しのサイズのもの。
不知長郭手(縦長桐型2)
一見した雰囲気は上図に似ていますが、葉脈が末広がりで直線的で太くなっています。脇花の雰囲気がとげとげしいのは上図と同じ。あるいは打刻の癖で差が生まれたとも考えられるのですが、銭の制作そのものにあまり類似性が感じられないのでいまのところ別炉と考えています。

※長郭手覆輪肥頭通 薄肉で銭文径は1度写しのタイプ。
不知長郭手(ナ字葉脈型)
画像でははっきりしないかもしれませんが、本来は桐の中心にまっすぐ立つはずの主葉脈が、下部で左側にわずかに湾曲しながら右傾して、上部は完全に主花の右側にずれます。脇葉脈も脇葉の上から斜めに走り、主葉脈を突き抜けます。すなわち葉脈がカタカナのナの字あるいはイの字のようにも見え、2本の葉脈しか見えません。極印の破損のような雰囲気もありますが、私は意図的なデザインの気がしています。南部藩や伊勢の津藩当たりが絡んでいたら面白いのですけど・・・。
不知長郭手(大葉桐型)
水戸接郭の桐極印と類似した形状です。実物も長郭手の見事な覆輪銭なのでひょっとしたら・・・なんて考えてしまします。制作風貌的には縦長桐極印のものと酷似しています。
不知長郭手(段違いハート型:不知短尾通細字類)
ハート形極印ながら葉脈が段違い。左右とも同じ形状です。銭本体はやや真鍮質ながら大濶縁の覆輪銭。一見、石ノ巻銭のような品です。

※この極印は不知中郭手短尾通類に打たれているものと全く同じであり、類品も確認できました。摩耗すると十字状極印に見えるかもしれません。
不知広郭手(洋梨型)
画像は不鮮明ですが、洋梨型の地に三つ又の太い葉脈だけが描かれているものが横打ちされています。
不知長郭手(極太葉脈矢印型)
極太の直線的な葉脈が印象的な極印です。葉部の余白がほとんどありませんが、しっかりした桐の形にはなっています。
不知長郭手(バンザイ鳥型)
あるいは上のタイプの極印を逆打ちにしたものかもしれませんが、左右ともこの形。製作は極めて粗雑かつ個性的な天保銭です。。
不知長郭手(アスタリスク型)…投稿画像から
アスタリスク(*)としましたが、頂点が5つあり大の字型とか桜や梅の花とすべきかもしれません。泉譜などによく掲載されている異極印の典型です。
不知細郭手(筋彫桐型)
桐の形が凸でなく凹で葉脈中心に表現されています。ありそうで意外になかったタイプです。
肉厚でこの不知銭は27gもあります。
不知長郭手(一分銀桜型)
不知天保通寶分類譜下巻に同じ系統のものと思われる不知銭が掲載されています。
不知長郭手(宝剣型:不知奇天類)
古刀の七支刀のように葉脈が枝分かれしている独特の形状の極印。これだけ自己主張が強いのはよほど実力があった藩だと思います。左が張点保、右が奇天手。いずれも名品です。
不知長郭手(不鮮明陥没型:魚子肌天保)
多分、桐極印になっていると思われますが、極印の制作技術が劣っていたため、谷の部分がごく浅く、このようなぼやけた浅いくぼみが残っています。
実はこのタイプには
①鋳肌の砂の粒子が粗く、魚子肌気味になるものが多い
②銅質が赤みを帯びた黄褐色である
③本座の覆輪写しで文字加刀はほとんどない
等の共通点があることが最近分かってきました。
不知広郭手(クローバー型)
穴ぼこ型に近いが、でこぼこの形でまるでクローバーのような形。やや白銅質で肉厚で30.6gもある不知銭。やや時代が降るつくりのような気がします。
不知長郭手(クローバー型2)
こちらは長郭。四ツ目方との中間で形状ははっきりしない。破損なのか葉の一枚が小さく反対型は三つ葉のように見えるようになっています。
不知細郭手(不規則凹桐)
一見、クローバー型やバンザイ鳥とした極印に似ていますが、よく見るときちんと葉脈があります。凹の部分が不規則で深く打たれているのです。細郭手の厚肉縮形銭の極印。
不知長郭手(玉持ち桐様)
桐の横葉脈の周りの凹部分が象の耳のように異様に広いもの。頂には玉のように見える物体があり、まるで玉持ち桐の極印。
 
 
 
 
新寛永通寶分類譜 古寛永基礎分類譜 赤錆の館
天保銭の小部屋 文久永寶の細道