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28.絵銭の類 江戸時代寛永年間〜明治、大正期頃 
 
厳密に言いますと、これ以降のものは貨幣、新寛永通寶という定義からはずれているものがほとんどです。私にとっては収集の歴史の中で出会った脇役達なのですが、非常に愛すべき存在です。珍品、奇品、きわもの揃いですので肩の力を抜いてご覧下さい。

※絵銭の使用目的としては @玩具銭類 おはじき、石蹴り、面子(穴一遊び)など A宮銭類(神様のお供)・信仰銭・供養銭 B開炉祝鋳銭類 一部の擬似寛永銭類 C土産物類(由緒正しい品から好事家目当ての怪しい品まであり) D試鋳銭・戯作銭・楽銭 E装飾品の一部(釘隠し、熊手飾り) などが考えられます。現役の銭座で作られたもの、銭座の廃止によって職を失った鋳銭工が生活費稼ぎのために作ったもの、銭座とは関係ない品物なども渾然一体として存在しています。
  
【絵銭の類】
 
宮銭 寛永恵比寿大黒      【評価 1】
宮銭は絵銭としても異型の珍品ですが、仲間はずれにあうことなくその地位を保っています。その理由はこれが鋳造所のお守り的な存在・・・11月8日の吹子祭のときに鋳造してお祭りしたという文久銭座の元鋳銭工の証言伝聞があるからです。(昭和16年貨幣270号丸山槌泉堂氏)祝鋳銭的な意味合いと存在数の少なさもあり人気が意外?にあるのですが、後作品も多いと聞いています。藤丸寛永や久二宮銭と呼ばれるものもこの宮銭の類のようです。
→ 大和文庫のホームページより
 

絵銭 月星寛永 絵銭譜原品 【評価 少】
左に北斗七星、右に月を配するデザインで非常に古そうな印象で、銭座関係者の関与をうかがわせます。土台はやや白銅質の古寛永ですが銭種までは確定できません。昭和銭譜や絵銭譜など数々の銭譜を飾った名品中の名品なのです。

絵銭 気吹宝珠寛永                【評価 4】
古寛永水戸銭力永をベースに左右に宝珠を配したもの。通用銭とあまり変わらない規格で、銭座の関係者の関与が考えられます。
絵銭 火炎宝珠寛永             【評価 4】
古寛永の芝銭がベースになっていると思われます。宝珠がめらめらと燃え上がっているように見えるので火炎宝珠としました。古鋳の作銭でしょうか?
絵銭 宝珠寛永              【評価 6】
新作の香りがぷんぷんします。
絵銭 沢潟寛永              【評価 4】
おそらく【おもだか】寛永と読むと思います。有名品でネットオークションで発見し、熱くなって価格を吊り上げすぎてしまった反省の一枚です。ただし、これは2番銭以降のような顔です。
※その後、2枚ほど沢潟寛永を入手しましたが、どうもこれが一番内径などが立派。肉厚で一番銭に近いようです。
絵銭 紅葉寛永              【評価 6】
水戸力永が土台です。本絵銭は2番銭以降、あるいは新作でしょう。
絵銭 紅葉寛永(新作)          【評価 7】
おおぶりで書体は岡山銭がベースでしょうが、完全な真鍮銭。新しいものです。
 
打印銭 打印寛永背広郭銀銭 【評価 大珍】
画像では分からないと思いますが、かなりの薄肉です。この類は銀座の試作ではないかとも言われ、良質の銀が使用されているようです。紀州永楽との類似性もあり案外時代も古いものかもしれません。試鋳銭的な位置づけもあって評価は異常なほど高いのですが、見ることも稀な存在です。
打印銭 打印寛永 陽刻    【評価 少】
これも相当の薄肉銭です。純銅に近いやわらかな肉質でいかにも収集家好みの風貌です。挿しに混入させて使用した可能性はありますが単体ではとても流通できない代物ですね。これも絵銭収集家と寛永通寶収集家の両方から需要があるため、非常に人気が高い存在です。


→ 打印当四銭
打印銭 打印寛永 陽刻小様  【評価 少】
重さわずかに2.2gの薄小銅片です。無紋銅銭に刻印をほどこしたような感じで、おおよそ実際の流通には程遠い作風です。打刻の関係で寶字が現れていませんが、おそらく伝世のものだと思います。原品はネットオークションで落札しましたが、この手のものは滅多に出てこないと思います。
打印銭 打印寛永 陽刻薄肉  【評価 2】
重さはさらに軽くわずかに1.4gの純銅極薄小銅片です。打印寛永はとても珍しいので、見るものがほとんど初見品なのですが、これもはじめて見ました。美品ならランクは一段も二段も上がるでしょうが、とりあえず抑え目の評価をしています。

→ 特別展示室
打印銭 打印寛永 陽刻   【評価 少】
駿河372号に出た島銭寛永です。あと一歩、ほんの少しでしたが届かなかった思い出の品。
やはり純銅に近い柔らかい材質の可憐な古銭です。非常にきれいに背が打ち出されているところが打印銭っぽくなくも見えます。(あるいは鋳造?)
所有者のYさんからの直接投稿画像です。
打印銭 打印寛永面子銭 陰刻         【評価 1】
こちらはかなり分厚く、玩具であることがすぐに分かります。材質も柔らかくメンコとして使用されたので疵だらけです。
打印当四銭の類
古い参考文献(タイトルなし)の記事です。このうち大字と重輪は穴銭入門の原品でしょう。市場には滅多に出てきませんし、出てきてもみすぼらしい割にはとてつもなく高額なため手が出ません。中字は平成12年の銀座コインオークションに打印一文銭とともに出品されています。
 
仙台絵銭 御蔵銭駒引き        【評価 1】
仙台絵銭と呼ばれるものの中に、御蔵銭を面文に採用したものがあります。背は駒引き図で、重厚でなかなか味のある作です。
仙台絵銭 左駒背御蔵銭   【評価 3】
仙台絵銭の中に和同珍開というパロディーのような名称の有名な絵銭がありますこれはその和同珍開が寛永に置き換わったもの。右駒のものや2字寛永のもの、面重文のものだのかなりバラエティがあるのですが、市場になかなか現れません。人気があるようには思えませんが数そのものが少ないのだと感じます。なお、古銭の場合、古銭を人体位置に置き換えて左右を決めるため、左駒とこれは言われます。(見た目の左右逆転)
仙台絵銭 右駒背御蔵銭   【評価 4】
珍開右駒に小和という種類(和同の和の字が小さい)があり、その図柄を踏襲しています。
昭和泉譜では珍開右駒小和御蔵銭という名称で掲載されていますが、やや分かりづらいので小和でなく小猿とした方が無難かもしれません。少し真鍮質気味で、時代は降るかもしれません。図柄から仙台絵銭としましたがおそらく別炉でしょう。
仙台絵銭 右駒写背寛永   【評価 6】
少し時代の降りた写しだと思っています。実際は面背は逆置されてさらに角度も少しずれています。
仙台絵銭(写し) 叺駒背寛永      【評価 4】
仙台絵銭の叺駒に明和期短尾寛を配したもの。仙台絵銭の赤味ある銅質とは異なり、写しによるものではないかと思っています。寛永側の面だけ見ていると踏潰銭のあるものとそっくりで興味深い。ただ、このタイプは絵銭譜や昭和銭譜、日本の絵銭などにもないので後作の可能性もあります。
牽出し駒背異永       【評価 2】
牽出し駒はありふれた絵柄ですが異永は目を引きます。明治期銭のいやらしさはありませんがあまりにコレクター好みの風貌でかえって怪しさを感じてしまいます。とはいえ制作は見事としかいえないもので銅質はやや茶色味はありますが練れの良い白銅質で、鋳肌は長門銭そのものです。
銭座の関係者などが制作に関与したものではないでしょうか?
 
牽出し駒背二字寛永      【評価 2】
寛永通寶の通寶の文字を削り、背に牽出し駒図を配置したもの。馬子の脇から細い鋳走りが出ていることなどから、昭和銭譜に掲載されているものと同規格品(母銭が同じか、その直写)であることが分かっています。
牽出し駒背寛永(文字倒置)           【評価 3】
天保銭に似た材質で厚みもかなりあります。寛永通寶の側は制作的には背になり、90°倒置されています。 銭文は古寛永で種類は判別できませんが玩具のメンコ銭であることは間違いありません。
草喰駒背新寛永              【評価 7】
贋作と新作の中間的な存在です。背横置きが意図的でいやらしい感じがします。この手の絵銭は非常に良く見かけます。
草喰駒背古寛永       【評価 3】
小笠原白雲居が見つけたという草喰駒絵銭。「白雲居発掘品ハ小型細縁」という文字が入っていた。眉唾ですけど面白い品。
二俵入駒曳背寛永(文字逆置)       【評価 3】
銅色から見て上記銭に続くものでしょう。やや小ぶりであることから次鋳銭かもしれません。寛永の文字は逆さまになっています。
折レ綱駒曳背古寛永     【評価 3】
瓢箪駒背寛永                    【評価 3】
これも厚みのある絵銭です。材質、規格的には前掲銭とほぼ同じ感じです。
大瓢箪駒背寛永                   【評価 5】
味はあるのですが、これも新しい絵銭です。絵銭に贋造などはあってないようなものなのですが、このタイプの図柄は多分に収集家を意識して作成されたメダル的なものだろうと思います。
双馬寛永          【評価 2】
廻り駒古寛永とも言われるもので、寛永の文字は仙台濶字手刔輪がモデルのような気がします。馬側が面で文字は背になるつくり。馬の鬣や鞍の模様が細かく入っています。
寛永背分銅駒                    【評価 4】
古寛永の芝銭の背上駒図、下に分銅図を配したもの。やや肉厚ですがこれも通用銭とあまり変わらない規格です。
永字駒                        【評価 3】
古寛永岡山銭俯永の永字を残し、他の文字に替えて駒図を配したもの。これも通用銭とあまり変わらない規格です。農耕馬信仰が元になっていると思われますがよく分かりません。あるいは失った農耕馬への供養銭だったのかもしれませんね。
永字駒(替)                【評価 6】
元文期銭を土台にへたくそな永字を郭下に馬らしきものを郭上に配しています。贋作にしても下手すぎます。まぁ、こんなものを贋作したところでたかが知れていますので模作といったところでしょうか?
太り駒寛永        【評価 3】
雑銭の会の春の古銭会で入手したもの。この駒曳図は私所有の泉譜には見当たらないので名称は仮のもの。明和小字を背にしていて、かなり薄手の絵銭。絵銭鋳造の技術はかなり高いと思いますがやはり4文銭の絵銭であり、図柄を90度傾けて置く作為から近作であろうと推定していますが、天保仙人と競り合い勝ったというところに私は付加価値を見出しております。
明治期絵銭各種      【評価 7】
左3枚の駒図は同じです。牽出し駒がモデルなのですが微妙に異なります。右端の駒図は上の大瓢箪駒と同じですが、細かいところに彫り直しが入っています。右から2番目の絵銭にも同じように彫り直しが入っており、作風から同じ作者かもしれません。
いずれも収集家目当ての新作(おみやげ品)ですのであまり価値はないかもしれません。
一俵大黒背古寛永不知降寶            【評価 3】
一俵大黒は加刀変化によってガンギ大黒やタガネ大黒といった名称になります。別名をすの字大黒とも言います。(ガンギ大黒は旧譜では岸木と書きますが、やすりのある種のものを意味する言葉の当て字だそうです。被り物がキザギザになります。)掲示品は大型でやや肉厚の古鋳品で背の古寛永は不知銭の降寶です。
タガネ大黒背寛永                 【評価 5】
タガネ大黒は輪に打刻がある場合が多いのですがこの絵銭にはありません。また、背は新寛永の文銭ですのでこの絵銭が新しい作であることは間違いないと思います。タガネとは袋部分の溝がタガネで彫ったような感じ・・・という意味があるようです。

※新寛永の文面をそのまま利用した絵銭に本当の古鋳品はほとんどないと思います。
撥棹恵比寿古寛永      【評価 4】
この図柄は日本の絵銭では【揆棹】としているが昭和泉譜の【撥棹/はねさお】のほうが意味からして正しいと思います。揆(はかる)では意味をなさないと思うのです。もっとも掲示品の図柄は恵比寿が頭巾をかぶったように改刻されています。輪の仕上げから、比較的新しい作のようにも見えます。
濶縁恵比寿といわれることもあるようです。
古寛永覆輪背大黒      【評価 4】
外径26.3o、肉厚2.4o、重量9.5gのやや大型寛永絵銭。製作からみて深字の面が寛永、背が大黒図であり信仰的な意図は低そうです。
覆輪によるものだと思うのですが26oを超える古寛永の絵銭は少ないと思います。

大黒図柄は光大黒か?
面子銭 大黒背寛永     【評価 5】
正式には下げ槌大黒背古寛永高田縮通写です。外径は21oと可憐ですが重さは10.2g、厚さも4.3oもあります。鉛分の多そうな赤黒い銅質で、柔らかそうな印象を受けます。面と背は100度くらいずれていて収集家の好みそうな彫りの深い作品。後作の可能性も多分にありますがそれなりに味わいのある面子銭です。
鯛釣恵比寿古寛永      【評価 5】
なかなかしっかりしたつくりの古寛永の絵銭です。通常は絵柄が面で寛永側が背と言うことが多いのですが、絵柄側の方が広穿にはなっているものの、どちらも抜けが良く中見切のつくりになっているようにも思えます。
雰囲気的には良い品ですが、技術的にはかなり新しいようにも思えます。それだけしっかりしたつくりであるということです。
真向大黒背古寛永      【評価 5】
おそらく面子銭だと思うのですが、厚みがいまひとつです。この練れの良い青銅質で厚手のタイプを蕪手ということがあるそうで、ただ、それは背濶縁広郭であることが特徴なのこれをはたして蕪手として良いかどうかは絵銭初心者の私には分かりません。 
絵銭 寛永通上大黒            【評価 6】
元文期亀戸大字を母銭として生まれています。背に鋳付痕がありますので飾り物あるいは宮銭的なものであったと推定できます。もともとは複数の銭をつないだ七福神の飾りだったのではないでしょうか?
 
念仏銭 背古寛永      【評価 5】
念仏銭 小菅銭写し            【評価 7】
鋳造技術や仕上がりから、かなり時代の新しい創作絵銭です。小菅銭の母銭をそのまま母銭にして制作したと思われます。画像からも判るようにかなりの厚肉で郭内のテーパーがきつくなっています。
  
 
紋切銭 木瓜背寛永     【評価 6】
画像拡大してありますが、実物は直径1.8oほどしかない可憐なものです。分類名の木瓜(ぼけ)は花の名前ですが、私の所蔵している文献にはこの手の図柄の掲載がありませんので名称は入札誌出品者の見立てに従っています。材質は紋切銭にほぼ間違いありませんが背の寛永の文字は後彫りの可能性もあります。
 ← 木瓜(ぼけ・もっこう)の家紋
紋切銭 寛永背松             【評価 6】
紋切銭と新寛永通寶の合体作。新しいものであるとは推定できますが、手が込んでいて好感が持てます。材質的にはやや青銅質で鏡屋銭にも近似しています。
なお、本銭は紋切銭としましたが製造手法からこういう分類にしただけで、一般的な紋切銭とは異なります。収集家目当てのファンタジーの可能性もありますが、本来は面子銭系でしょう。古色からメダル的に保存されたものだと思います。
 
面子銭 古寛永写極小様          【評価 6】
おそらく水戸銭系の写しで厚みは2.1oとたっぷりあるものの外径は18.4oしかありません。この大きさではおはじきのようです。あるいは後天的に磨輪されてしまったものなのでしょうか?材質は明和期銭のような真鍮質。
面子銭 寛文期亀戸銭背文写 【評価 3】
重量は7.1gで側面は垂直、穿内もきれいに仕上げられているので鉄銭鋳写し改造母とも考えられなくはないものの、あまりの分厚さから見て、これは面子銭と判断しました。
銅色からみて明和期長崎銭あたりの色です。比較的時代はありそうな雰囲気。銅色は明和期の色。(だからと言って明和期ではないと思います。)
面子銭 斜寶両面銭            【評価 7】
厚手の絵銭ですが、両面が同じも模様ではメンコとしては失格。背が平滑でないのでおはじきとしても失格です。結局、穴一遊びかビー球のような遊び方にしかこれは使えませんので、古鋳ではないと思います。

※穴一とは土の中に銭を入れて、大型の銭をたたきつけて中から飛び出した銭を取り合う遊びです。
面子銭 両面寛永             【評価 7】
高津銭の両面銭。ただし、表裏の図柄が同じでは面子には使えない。おはじき的な遊びに使用したか、古鋳の雰囲気はあるもののあるいは後作、戯作の類か?そのため高い評価はできない。
面子銭 寛文期亀戸銭背文写し       【評価 5】
時代的にはそんなに古くはないと思いますが、遊びに使用した痕跡がたくさん残る歴史的な絵銭です。厚さは3o以上ありますのでずっしり重い一枚です。
寛永背大福二神宝尽くし     【評価 5】
比較的新しいものだと思います。神社の境内などでおみやげ品として売られていたものではないでしょうか?
昭和62年【絵銭第6号:絵銭を楽しむ会】に小型の類似品が賛助出品されています。

※時代が新しい作銭であるらしく、価値下落が著しいようです。絵銭の宿命でしょうね。この手のタイプを柳津というのでしょうか?絵銭については専門でないので良く判りません。
寛永背念仏  【評価 珍】
黄銅質なので一番銭ではないかもしれませんが、古鋳品らしいです。

(大和文庫のホームページより)
寛永背念仏  【評価 6】
有名な大寛永背念仏とは似ても似つかないお土産品です。冒頭のものと銅色が似ています。評価は絵銭としてのものではなく、中古のお土産品としてのものです。
泥面子【寛永通寶】      【評価 6】
これは多分玩具です。あるいは供物のようなものかもしれません。素焼きの素朴な作品ですが、割れやすいためあまり数は残っていないと思います。
かつて赤茶色で小型のものを見かけたことがありましたが、泥面子自体が市場にあまり出てこない代物なので、はたしてどの程度の価値があるのかは不明です。

※ネットオークションで見かけ、つい落札してしまいました。落札価格は2000円ほどです。もろく保存が難しそうです。
 
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