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春の古銭会展示室
2008年、雑銭の会の『春の古銭会』において撮影した保管画像です。順次、各コーナーに振り分けて説明するため、一時的な掲載となりますがお楽しみ下さい。
新寛永通寶分類譜 古寛永基礎分類譜 赤錆の館
天保銭の小部屋 文久永寶の細道
雑銭の会 春の古銭会 

平成20年5月17日文京区勤労福祉会館で行われました。会費は500円と格安で参加者は10名と少人数ですが、そのほうが満遍なくお話ができますので楽しい会になったと思います。
初心者の方から天保仙人のような超有名人まで親父臭全開でがんばってます。
専門はそれぞれ異なり、今回は現行貨幣から穴銭まで広い範囲でカバーしておりましたが、さすがに天保仙人や暴々鶏氏がおりますので薀蓄話は江戸期の貨幣が中心となります。
古銭の話などは妻や友人の前で話したところで『なに言ってんのあんた』・・・と、言われるのが関の山。皆さん、日頃の鬱憤を晴らすようにまぁしゃべるしゃべる・・・。普段私は決して無口ではないのですが、皆様に圧倒されっぱなしでした。
盆回しには私はとっておきの?珍品を放出しています。
浄法寺のナ文・・・これは昨年2枚入手していたものの1枚。出したほうが大きく立派なもの。
密鋳銭大頭通写・・・私は3枚しか持っていない品。同じ手があったから出したのですが、本当は出したくなかった。
長郭手覆輪強刔輪・・・同じ手を持っていたのですがこれは珍品の方ですよ。
会を盛り上げるために出したのですが、密鋳銭大頭通写の購入者は暴々鶏氏、長郭手覆輪強刔輪は天保仙人。だめです、たくさん持っている方が買うのは・・・と、いうわけで今度は指名売りをしようかな?
売却資金で本やら盆回し品を購入。結果は黒字なのですが、売却金額を考えると実質は大赤字です。まぁ、商売が目的じゃないですからこれで良しですね。
本来は妻に6時半までに帰ってくるように厳命されていたのですが、あまりの楽しさに延長をお願いしました。(あとが大変でしたが・・・)
私が帰ったあと、居酒屋で大盛り上がりしたようです。
前回もそうだったのですが車で行ったため居酒屋は欠席せざるを得なかったのですが、楽しそうな内容だったようです。今度は泊りがけで行こうかしら・・・。
盆回しの品については次はリクエストしましょうかね。ただ、私の方は出す品がもうほとんどないのですけど・・・。
  
  
  
贋作:福西常次作(日馬氏展示)

福西は大正期から昭和初期にかけて暗躍した贋作者です。もともとは熱心な研究家であったようなのですが、それが高じて模造品を作成するようになり、そのあまりにも精緻な出来栄えから古銭界に未曾有の害毒を流し続けました。
今回の春の古銭会において彼の東京におけるパートナーが加賀千代太郎であることを知りました。まさに最凶のタッグです。

展示品は元禄大判と長禄通寶・屋形銭です。元禄大判は精巧でなかなかの出来栄え。当時かなりの富豪達がだまされたのもうなづけます。

長禄通寶・屋形銭はファンタジーの類です。福西泉泉譜にはこの面背別々の木型の拓本が掲載されています。
刻印などはすべて手作りです。背の地の様子、墨書や古色を帯びた金味など見事に再現されています。
日馬氏展示 土佐藩銭あれこれ

上 當二百中様異百
左中 當百母銭 
左下 當二百中様母銭
当二百小様肥字 額輪母銭

今回の展示説明のハイライトと言うべき品々でしょう。あまりの貴重さゆえ、二度見るのは難しい品々です。そんな貴重品を手に持って観察させて下さいました。
異百は稟議銭的な性格を持つ逸品で、現在この品物は民間に存在する唯一品です。

中様母銭は確認現存3品、當百母銭は確認現存1品です。
福岡離郭白銅母銭(日馬氏展示) 筑前通寶母銭(日馬氏展示)
鉛の光沢を示す妖しい母銭。ぬめっとした肌が福岡天保の主張をしていますね。 こちらは説明不要の貴重品。美術品ですね。

左:筑前通寶小様(日馬氏展示)

これが掘出物というからすごい。採取地はなんと都内です。

水戸藩試鋳 花開清香(日馬氏展示)
こちらも掘出物だそうです。
大森天保 ラムスデン作
大森天保と贋作天保(日馬氏展示)

大森天保は平成19年の銀座コインオークションで元方泉處の石川氏も紹介したもの。石見銀山近くの大森町でカマスにつまった天保銭が発見されたとき、天保仙人も開封に立ち会ったそうです。
私は真鍮銭だと思っていたのですがやや柔らかそうな茶褐色の色合いでした。この天保銭には共通の特徴が必ず残されているそうです。
ラムスデン作のこの天保、本座銭に非常に近似した精緻な作で無刻印です。なんでこんな特徴のない贋作を作ったのかな・・・と私は思ってしまうのですが、平凡だからこそだまされる人がいる・・・というところが真相のようです。
贋作ですが市場に出ると10万円くらいつくとは仙人の弁。贋作なのにねぇ・・・。
絵銭天保通寶当五十(山崎氏展示)

銅色から見てラムスデン作らしい。
日本古銭贋造史にラムスデンもこれをつくったらしいとの瓜生氏記述がある。と、いうことは贋作でも瓜生氏も未見の貴重品のようです。仙人が欲しがってました。

浄法寺大字母銭(工藤氏展示) 盛岡小字3態
本炉 山内 浄法寺(仕上げ)
工藤氏展示 栗谷川氏展示 工藤氏展示
浄法寺の特徴を残した正規?の母銭。輪側面は無刻印です。 盛岡小字の勢ぞろい。本炉銭はもうむしゃぶりつきたいくらいきれい!
山内銭は輪の刻印は本炉に近いもの。実はこれは超珍品。
浄法寺には桐刻印はありません。これは〇に葉脈3本みたいなやつ。
浄法寺の白銅色銅替銭(栗谷川氏展示)
白黄色の浄法寺という。たしかに輪のテーパーなどは浄法寺の仕上げ。このようなタイプははじめて見ました。
短尾寛方冠寶通用銭(稲毛氏展示
現存一品です。
しかし、原品をみてもなかなか差異が見出せません。発見者の眼力には頭が下がります。

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