天保通寶名品館
【はじめに・・・】
このコーナーは私の天保銭専用の特別展示室です。本来なら特別展示室に掲載すべき画像ではありますが、新たにこのページを設けます。
2007年4月にはじめて天保仙人様に出会い、あきらめかけていた天保通寶収集にのめり込むようになり10年余りが経過しました。今は廃刊になってしまいましたが、その頃に横浜古泉研究会の関氏(故人)主宰の入札誌「穴銭」に秋田の村上英太郎氏(故人)の収集物品が多数出品されていたこともあり、私の天保通寶収集熱はヒートアップするばかりでした。今では不知銭を中心に数百枚のコレクションを形成することになり、我ながらよく集めたと思うと同時に、近い将来私にも訪れるであろう終活への準備対応の必要性を痛切に感じるようになりました。なにせ私はとても心配性なのです。
どうせ譲るなら価値の分かる、しかも本当に大切にしてくれる方に譲りたいのです。したがって、
譲渡希望価格はつけておきますが、まだしばらくは手放す気はありません。でも将来この品を引き継ぎたいという方・・・チェックしておいてくださいね。
 
細郭手 俯頭通(平マ頭)細縁大字
長径49.0㎜ 短径32.25㎜ 
銭文径41.2㎜ 重量24.1g 
入手した当時はまだ中学1~2年生の頃だったと思いますから私の天保通寶コレクションの中で最も古く付き合いの長い1枚です。
方型に近い小判型であり、かつ天保通寶の中で最もオリジナル性の高い書体で、俯頭通の名称ではありますが、むしろ巨頭通と呼ぶべき書風です。その風格から不知天保通寶の中でも抜群の人気を誇ります。書体に小異があるこれには平マ頭の別称もあります。この品に関しては作は端正を極めており、特に背文字のつくりは母銭を思わせます。また、穿内もきっちりやすり掛けされており、これでもう少し文字が細ければ母銭と認定されてもよさげな一枚です。
俯頭通には製作のやや劣る明らかな次鋳銭も存在するところから、このサイズの母銭が存在しても一つもおかしくないと思うのです。
譲渡希望価格:20万円~  
 
細郭手 俯頭通(次鋳三角マ頭)
長径48.9㎜ 短径32.3㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量20.9g 
2023年の銀座コインオークション落札品です。天保仙人様宅を訪問させていただいたとき、次鋳の通用銭2枚を拝見していました。通頭の先端がわずかに短く、不知天保通寶分類譜においては三角マ頭なる名称がつけられていますが私は平マ頭の亜種位に考えています。銭文径が小さいわりに銭径が縮んでいません。短径などはむじろこちらの方が広い・・・さりとて濶縁というほどの輪幅はありません。それだけ上の品が細縁で大字であるということ。銭文径は一度写しの次鋳で、さすがに少し製作は劣りますがこちらも未使用色が残る美銭には違いありません。これがもし使い込まれたらやどんな色に発色するのでしょうか。
譲渡希望価格:15万円~
 
長郭手 奇天手
長径49.3㎜ 短径33.0㎜ 
銭文径41.3㎜ 重量24.5g 
非常に美しい不知銭で2015年のCCFオークションに出品された天保通寶と類似貨幣カタログの原品で、私の収集史上最高額を支払った品です。覆輪刔輪銭でありながら細縁の大様銭で、天の前足がすっと伸びているところ、覆輪刔輪で寶足が屈曲して長くなるところに特徴があり、異足寶の別名もあります。
天保通寶コレクターにとっては垂涎の品で、かつては100万円以上の値が付いたという話も聞きます。奇天手が複数枚民間で発見されたことがあったそうで、これはその中の一枚。私が知る限り民間に存在する奇天手の中でもっとも有名で美しい一枚じゃないかと思う次第。したがって名品の名に恥じない品だと思います。当然ながら希少品で市場に存在するのは10枚程度だと思われます。
(天保通寶と類似貨幣カタログ原品)
譲渡希望価格:60万円~
 
細郭手 草点保
長径48.95㎜ 短径32.8㎜ 
銭文径40.6㎜ 重量21.4g 
背の朱書きのあるこの草点保は東北のSさんから分譲頂いた品。雑銭の会の暴々鶏会長から盆回しに出たという情報を頂戴したのがきっかけで割譲がかなったものでした。独特の卵型の銭形であり、素朴かつ手作り感たっぷりの風貌と、誰が見てもすぐにわかる草点の特徴から絶大な人気を誇ります。薄肉軽量で素朴で砂ぬけの悪い品が多い中、本品は21gを超える品で砂ぬけもばっちり。名前の由来はは保の後点が草点となり跳ねていることですが、文字すべてが変形しているといっても過言ではありません。拓図で見る限り、花押の頭の部分が切れるものが多く、當字冠の点の真ん中が離れ、當字右側の輪に小欠損があるものが散見されます。また、郭はわずかに右下がり気味になる癖もあるようです。最近、雑銭からの選り出しの話をときどき聞きますので、案外と民間に埋もれているのかもしれません。
譲渡希望価格20万円~
 
長郭手 尖尾通窄貝寶(異貝寶異當百)
長径48.9㎜ 短径32.45㎜ 
銭文径41.3㎜ 重量22.3g 
古くから母銭仕立てのもの1品だけの存在が知られていた大珍品が、ネットに突然姿を現しました。したがってこれが私のネット史上最大の買い物記録になっています。
保字の点が弓張状に長く(張点保)、通尾が長く尾を引いて用の格子目が丸く変形していること、寶貝が極端な下窄みになること、背百の日の中の横引きが柱に密着することなど、特徴をあげたらきりがありません。覆輪刔輪銭なのですが、文字のオリジナル度も高く、かつそれが削字されているという何とも贅沢な不知銭です。一見、粗っぽい製作に見えますけど意外にしっかりしたつくりでもあります。
名前が一定していなかったのが災いしてか、稀品でありながら超メジャーになりきれていませんでした。ただし、私もいまだに名前を決めかねています。
譲渡希望価格35万円~
 
長郭手 小字(初鋳黄褐色:短人偏)
長径49.5㎜ 短径33.5㎜ 
銭文径41.0㎜ 重量21.9g 
薩摩小字の短人偏とされるもので、小川青寶樓が新訂天保通寶図譜で語った初鋳黄銅質のものに該当します。薩摩小字には銅質や製作の異なるものが存在していますが、「初鋳黄銅質」は戦前には2品ぐらいしか存在を知られていなかったものであり、ただでさえ希少な小字の中でも超絶稀の品です。位付けも小川譜で1位、勢陽譜で珍と別格扱いです。
昭和10年の天保通寶図譜に小川青寶樓がこの天保通寶を紹介したとき、書風から薩摩と位置付けられましたが、銅質や製作の異なる品々が出現した結果、現在では不知小字の短人偏と長人偏に分類されるようになっています。
長径に比べて短径幅が広く、文字は縦に圧縮されている印象を受けますが、文字の幅は広くけっして小字ではありません。書風は力強く、背の百の爪が鋭いなどの特徴があり、かつて薩摩とされた理由がなんとなくわかる気がします。
譲渡希望価格40万円~
 
長郭手 小字(次鋳赤黄色:長人偏)
長径48.65㎜ 短径33.0㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量21.1g 
旧称:薩摩小字は戦前において2品しか確認されなかったと聞きます。その後に続々と発見されることになりますが、多くは写しと思われる品で銅色も様々。そのせいか天保銭図譜において短人偏は薩摩小字として確定され残されましたが、この長人偏タイプは不知長郭手肥字とされ、二つは同系統書体でありながら別種とされた経緯があります。分けられた詳しい経緯解説もないこの扱いは「小字の肥字は妖しい」と小川青寶樓に指摘されたようなものでした。
今回の入手によりどうやらもとになった原型は長人偏、短人偏とも同じらしいことが、上下2枚の比較から読み取れました。地の部分の彫りこみやうねりに共通点がみられるのです。
こちらも2023年の銀座コインオークションの出品物。本品の元所有者は秋田の故H氏ではないかと推定しています。
譲渡希望価格30万円~
 
長郭手 長反足寶
長径49.45㎜ 短径33.5㎜ 
銭文径39.65㎜ 重量21.6g
天保通寶を収集する者は誰もがこの不知銭にあこがれると思います。それだけ目立ちますし、奇妙な書体なのです。そのあまりの奇態ぶりに作り物説まで登場していますが、一方で雑銭からの堀出し話も最近まで複数聞いており、この珍銭がどうも世間に流通していたらしいという傍証になっています。この品は2009年6月に行われた第13回オークションネットの会場で競り落としたもの。不知天保通寶分類譜の現品であり、長反足寶の中でも最大サイズのもの。覆輪刔輪の不知銭ですけど、改造母銭からの生まれではなく新作母銭からのものじゃないかと思えるのです。しかも、掲示品より一回り銭文径の小さいものも確認できており、このクラスが母銭として使用された可能性も否定できません。謎ですね・・・。
(不知天保通寶分類譜下巻P164原品)
譲渡希望価格15万円~
 
長郭手 広穿大字(無爪保)
長径49.75㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径42.6㎜ 重量23.0g

この広穿大字は天保通寶の不知銭中で最大クラスの長径、銭文径、広穿を誇ります。長径は49.5㎜以上、銭文径も42.5㎜前後が普通で、文字も大きいので極端な細縁になります。その割に短径は大きくないのでこの不知銭は改造銭ではなく新規母銭から製作されたことがよく分かります。
筆法も独特ですけど、通字の書体は琉球通寶に非常に似ていて、背の當百、花押が巨大なことと言い、薩摩との関係性を感じます。舎人坊石川氏は穴カタ日本を編纂する際、不知銭の多くを薩摩天保として否両両論が沸き起こりましたが、原品を見る限りこの広穿大字に関しては私は違和感を感じません。書体細分類として保人偏の筆始めに爪のある爪保と無爪保のほかに連玉尓の変化もあるようです。泉譜を見ると爪保の方がわずかに輪が太くその分銭文径が小さく見えます。この変化の違いは小字の長人偏と短人偏の差異に似ていますが、確認できたわけではありません。
希望譲渡価格25万円~
 
長郭手 尨字塞頭通
長径49.1㎜ 短径32.3㎜ 
銭文径40.9㎜ 重量20.6g
尨(ぼう)という文字は一般の方は読み方すらわからないと思います。「むくいぬ」とも読みますので、毛のふさふさとした犬・・・毛が垂れて目の隠れた犬のイメージなのかもしれません。そういわれて改めて書体を見れば・・・見えるかなあ?長郭を模しているものの書体は完全にオリジナル。通頭のが塞がっている変形と寶尓の後点が大きく、柱が斜めになっているところが目立ちます。寶尓を見ているとなんとなくムクイヌに見つめられているようないないような。昔から珍銭として知られていて、かつては不知銭の中で奇天手と並ぶ高評価をされていたこともあります。なお、この品は2016年の収集7月号の落札品です。
譲渡希望価格20万円~
 
長郭手 奇天手張天保
長径49.75㎜ 短径33.35㎜ 
銭文径41.6㎜ 重量22.1g
別名異足寶平頭通ですけど、源氏名の張天保の方が有名です。また、これは奇天の仲間でありますので奇天の名前を冠してみました。これを発見したのは私が大学1~2年生だった頃の高島屋デパートの古銭売り場。その古銭売り場にはジャンク品の寛永銭や天保通寶が売られていて、その中に漆喰だらけの汚いこれが混じっていました。銭名はわからなかったもののすごいものを拾ったと直感した私は、根城だったアパートに駆け込むように戻り天保泉譜を穴が空くほど眺めて張天保であることを確認しました。天保の文字が大きく、保字の点が長く、天の二引きはとても力強く直線的です。通頭は直線的に加刀され、寶の足も長く反り返ります。変色して真っ黒ですけど、大きくて迫力ある不知銭です。
譲渡希望価格18万円~
 
細郭手 容弱(通用母銭)
長径49.35㎜ 短径32.55㎜ 
銭文径41.2㎜ 重量18.8g
容弱は不知銭でありながらとても整った書体で、本座細郭とそっくりなんですけど、花押のひげの先端が太くなる特徴が理解できれば発見は簡単です。2007年4月に天保仙人様にコレクションを見て頂いたとき、なぜかこの容弱を目にして固まってしまいました。そしてしきりに首をひねります。駆け出しの私は何が起こったのか全く分かりませんでした。その理由が分かったのは勉強会が終った後のことで、この容弱が母銭である可能性があるということでした。そう言われれば妙に肌がすべすべしている気もします。結果としてこれは「通用母」であると認定・公表されたのですけど、不知銭は通用銭を母銭として使用することは良くあることなのです。それでもこの事実は私の天保銭収集熱に点火するには十分でした。
譲渡希望価格12万円~
 
水戸藩銭 遒勁(小足寶)
長径48.4㎜ 短径33.45㎜ 
銭文径39.7㎜ 重量18.3g
2010年のヤフオクにこの遒勁がジャンク品としてひょっこり現れました。そして私は大博打を打ちこれを入手できました。入手した後で遒勁には贋作が非常に多いこと、しかもその一部はものすごく精巧であることを知り肝を冷やしています。公表できませんが過去のオークションなどで何度も妖しい遒勁を見かけています。遒勁は古来からとても有名で書体の個性、奇抜さでは一頭地とびぬけています。銭形も独特で縦に寸詰まりの割に横幅が広く、郭も横広になっています。しかも何度も写したらしく銭径に非常にばらつきがあるのも特徴です。一応、水戸藩の名前は冠されていますが確証はありません。掘り出し例は八王子から中山道方面に多いと聞いたこともありますのですけど、あくまでも噂ですね。
譲渡希望価格15万円~
 
石持桐極印銭 揚足寶
長径48.2㎜ 短径32.7㎜ 
銭文径39.4g 重量18.8g
あえて石持桐極印銭としましたがそれぐらい正字濶縁に製作が近く、断定しても良いと思います。極印は小さく確認が難しいのですけど、銅質から見てたぶん同じ鋳造地で間違いないと思います。ただし、これが水戸藩なのか、久留米藩なのかは私には断定できません。
揚足寶の名前ですけどむしろ特徴は背の方にありとにかく大濶縁です。また小郭・狭穿であるのも目立ちます。地味な天保通寶で存在そのものも少なく、私も天保仙人様の実物を拝見するまでこの天保銭の特徴がつかみ切れていませんでした。世間一般では水戸短足寶に似ていると言われていますが、製作面からこれは正字背異反足寶の次鋳の系統だと判断しました。寶足が揚がるとされていますが、最近は短足寶的な揚足寶は別系統に思えるようになってきました。かなり丸みのある銭形も特異です。
譲渡希望価格15万円~
 
盛岡藩銭 大字濶縁広郭(最大様)
長径49.9㎜ 短径33.6㎜ 
銭文径41.2㎜ 重量21.3g
盛岡大字は基本的藩鋳銭なので、系統だってコレクションをされている方なら1枚は保有していると思います。少々お金を払えば入手は難しくないからです。それでも書体変化はほとんどないので2~3枚入手してしまえば普通はもうおなか一杯です。ところが、こいつに会ったときは鳥肌が立ちました。でかい上に美しさも申し分ないのです。まず激賞してくれたのが東北のS様、そして天保仙人様もこれについては感心して通用母銭じゃないかとのお話も・・・。さらに驚いたことにこの彫母らしきものもネットオークションに出現し、金幣塔さんが入手され画像も下さいました。とにかく天保通寶としては規格外な逸品。現時点では日本でもっとも大きくて美しい盛岡大字です。
譲渡希望価格15万円~
 
盛岡藩銭 銅山手細字美制(赤銅質)
長径47.9㎜ 短径31.8㎜ 
銭文径40.4㎜ 重量19.8g
この銅山手は暴々鶏師の愛蔵品でした。このように赤くて細字の銅山手を師は栗林座の出ではないかと推定されたようです。たしかにこの雰囲気は盛岡銭の小字の赤銅質のものに似ているのですが、計測値を見る限りかなり小さく、次鋳クラス以下のものではないかとも思えます。
雑銭の会の分譲においてこの品はなぜか売れ残っていました。銅山手としては強気の価格設定だったからなのですが、その結果私の手元に舞い込んだ次第。
銅山手は黄色くて分厚い山内にはじまり、含白銅質の反玉手、そしてこのように赤い銅質のものまで様々なんですが・・・この品はほとんどの方が感心します。それだけ美人さんなんです。
譲渡希望価格3万円~
 
盛岡藩銭 銅山手薄肉白銅質(反玉手)
長径47.3㎜ 短径31.1㎜ 
銭文径40.9㎜ 重量11.7g
はたしてこれを名品として掲載していいのでしょうか・・・そんな末鋳の天保通寶です。大きさも48㎜を切り、重さに至っては通常の天保通寶の半分ほどしかありません。私の保有する天保通寶の中で最も軽い品であり、それていて文字の摩耗がほとんどない奇跡の一枚です。この品も暴々鶏師の愛蔵品で、師の分類によると反玉手に該当するもの。天保仙人様によるとこれは密鋳的なものではなくきちんとした座銭ではないかとのこと。銭文径は上のものよりわずかに大きく本当に不思議な品。
分譲価格はかなり強気(70,000円)でしたがこのような品はお金を出しても手に入らないと思います。好き嫌いは別としてですが。私はもちろん大好きですよ、こんな変わった奴は。
分譲希望価格5万円~
 
秋田藩銭 小様(最小様)
長径45.6㎜ 短径30.4㎜ 
銭文径38.6㎜ 重量18.6g
背は摩耗していますがこの天保通寶は秋田の故村上師のお気に入りの一枚。村上氏は秋田小様を集中して収集していたことは有名で、収集誌上に63枚の秋田小様の大量見聞記を連載していたこともありました。(製作日記2016年4月27日)天保通寶研究分類譜には34枚の拓本が掲載されていますが、46㎜を切るのはわずかに3枚だけ。氏自らも「秋田小様は全秋田銭の中で4%程度しかなく、なかでも45㎜台は本当に少ない。」評していました。
この諸誌で拓本紹介された品。銭文径38.6㎜はもう異常な世界で4回写しと推定されるものです。
英泉天保通寶研究分類譜第三巻
月間天保銭36号
貨幣協会20周年記念泉 等原品
譲渡希望価格8万円~(譲渡済み)
 
細郭手 秋田小様手細郭
長径47.9㎜ 短径31.8㎜ 
銭文径40.65㎜ 重量19.2g
お、秋田小様の細郭だ!と考えてしまいそうなほど、赤くて可憐な天保通寶です。でも、極印、銅質など総合的に見て違うと判断しました。ネットに出たときは心躍り速攻で応札しましたが、なぜかフリーズしてしまいどうにもならない状態になってしまいました。
その結果、最低価格で入れた私の札が通り、幸運にも私のものになりましたが、出品者は関西のTさん・・・ご馳走様でした。
秋田小様には細郭になったものもあり、また、赤く発色していないものも存在しているようです。一方でこのようにどう見ても秋田小様にしか見えない不知銭も存在するのですが・・・秋田小様と同炉でないとも言い切れない一面もありますので、なかなか判断が難しい。でもそれが楽しい品でもあります。
譲渡希望価格4万円~
 
細郭手 異書細字降点保(抱冠寶)
長径49.0㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量23.1g
この類は短尾通細字を代表とする一群で書体変化がとても激しいのです。ついでに言うと名称が一定せず類似カタログの名称(抱冠寶・崩字・短尾通細字・短尾通濶縁)もどうかなあ・・・と思います。過去の泉書も同様でとにかく一定しないし、私自身もそうです。
最大の特徴は繊字というべきほどの細字で保の両点が開き、前点が離れて下方に打たれていること。この保の変化を中心に
抱冠寶 異書細字降点保
崩字 異書崩字降点保
短尾通細字 異書奇点保短尾通
短尾通細字濶縁
異書奇点保濶縁
と、してみました。迷走していますがこの類はなかなか面白い一群です。
譲渡希望価格7万円~
 
細郭手 異書奇点保(緩点保)
長径49.05㎜ 短径33.05㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量19.1g
細字降点保と同じ鋳造地です。よくぞこのことに気が付いたと感心してしまいます。実は極印がほぼ同じなんですね。こちらの方が刔輪が強く文字が太く変化して保点がぼってりとしています。よく見ると通尾が少し短く斜冠寶になっていますし、寶足も長い。背の刔輪が印象的です。
この天保銭は秋田の村上師の持ち物で収集誌上に出品されましたが、なぜか草点保の名前で出されて返品になったいわくつきのもの。再出品で私が入手してようやく素性が判明しました。英泉譜では覆輪刔輪退口保の名称でしたが、さすが村上師は同系統の品3品をきちんとまとめて掲載しています。類似カタログに該当する分類はなく短尾通細字(奇点保短尾通)に移行する前段階のものだと考えています。
(英泉天保通寶研究分類譜第五巻原品)
譲渡希望価格8万円~
 
中郭手 異書奇点保濶縁
長径48.9㎜ 短径32.7㎜ 
銭文径40.2㎜ 重量19.8g
中郭としましたが、広郭に近いですね。(嵌郭だと思います。)類似カタログには赤銅質と書いてありますが本品はほぼ赤くありません。上記2品と同じ銅質です。小変化が多く、泉譜と小異がかなりありますが、保の変化と寶冠が傾く癖は残っています。この不知天保は大和文庫さんの入札に出たのですけど、その価値を正確に知っていたのはほとんどいなかったのではないでしょうか。かくいう私も正しい分類は東北のNさんにご教授いただくまでわかっていませんでしたが、本能的にただならぬ品だと感じていました。保両点が長く大きく、人偏まで長く変化しています。そして短尾通でも細字でもないのです。濶縁という名称になっていますが正確に言うと覆輪による次鋳であり、嵌郭の可能性も高いと思います。なお、この類は中央の葉脈が段違いになる共通の異極印が使われています。
譲渡希望価格8万円~
 
長郭手 覆輪大様異極印(異書奇点保手)
長径49.5㎜ 短径33.0㎜ 
銭文径40.8㎜ 重量23.3g
私の所持品の中で最も強覆輪の長郭手なのです。異極印で少々銅質と製作が変わっていると思っていましたが、上記奇点保類を観察するにあたり、どこかで見たことのある異極印であることに気が付きました。それがこの長郭手の極印なのです。長郭手と細郭手で同じ異極印が使用されている例に花桐極印と魚子地肌がありますが、これは3例目の発見。奇点保の類は覆輪技法を使用しているのでこのような濶縁銭が出現してもおかしくないのですけど、一見では雰囲気がまるで違うので発見したときはさすがに驚きました。
譲渡希望価格6万円~

 
長郭手 覆輪刔輪張足寶
長径49.35㎜ 短径32.55㎜
銭文径40.55㎜ 重量19.6g
寶足がピンと弓張状になった張足寶は不知銭の基本なんですけど、これはその中でももっとも有名な一品です。というのもこの品は当百銭カタログ(No219)、不知天保通寶分類譜(下巻51P)などを飾った名品中の名品で、張足寶の拓本はこれから採られたものが多いようです。したがって文字は極めてシャープであり、穿内もきれいに仕上げられていますし輪にもわずかにテーパーが感じられあたかも母銭様なのです。私のコレクションを子細に見た方々はこの天保銭を見ると一様に「すごい」と声をあげます。ところどころに残された拓本墨の痕跡はこの天保銭の勲章でもあるのです。
当百銭カタログ
不知天保通寶分類譜
 ほか原品
譲渡希望価格5万円~
 
長郭手 異書覆輪撫角楕円銭
長径48.6㎜ 短径32.3㎜ 
銭文径40.45㎜ 重量22.9g
不知天保通寶分類譜下巻には異制作銭として掲載されており、撫角楕円と名付けられています。その名の通り覆輪加工の後の成型技術が拙劣だったため、全体に角ばった楕円になっていますが、逆にそれが見どころになっています。また、削字に加え湯圧が不足していたためか文字がやや陰起して独特の書体になっています。
とくに保口が小さく保柱、保点の長さが目立ちますね。銭文径は1.2~3㎜の縮小で長径も48㎜大と小さいのですけど、重量は22.9gと標準の本座銭より重くなっています。絵銭的な製作雰囲気も多分に感じられますがそれは表面が砥石できれいに仕上げられているからだと思われます。
不知天保通寶分類譜
英泉天保通寶研究分類譜第四巻 原品
譲渡希望価格10万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪宏足寶白銅銭
長径49.6㎜ 短径32.7㎜ 
銭文径41.15㎜ 重量25.0g
張足寶が弓張状に力強く突っ張る長い脚なら宏足寶は直線的に足を大開脚して踏ん張る長い脚のイメージです。この宏足寶は銭径が雄大で輪が細く、強烈な覆輪と刔輪が同時に行われている名品で、寶足が長いだけでなく天上にも強い刔輪が確認できます。同様の書体で宏足寶には銭文径がもっと縮むものがありますので、これはもっとも原母銭に近い初期段階のもの。肉厚もたっぷりあり、重量も25gを誇る堂々たるもの。しかも相当な白銅質というおまけつきです。実は初めて雑銭の会に参加した際、お近づきの印として不知銭を格安で放出しようと図り、これも盆回しに出した経緯があります。その際、工藤会長からもったいないよと諫められ取り下げたという品。売らなくてよかった?(別の宏足寶を分譲しました。)
譲渡希望価格10万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪宏足寶(背強刔輪)
長径49.8㎜ 短径33.0㎜
銭文径41.2㎜ 重量26.4g
もし、宏足寶の代表銭はどれかと聞かれた場合、私は迷わずこれを推奨すると思います。製作的にNo.19の宏足寶と一対のもの・・・同炉のものであり、どちらも書体は宏足寶ですけど、こちらの方が刔輪がより強いという特徴があります。No.19は「花押の中央の角先端が上がり、袋の下の角に凹」が特徴でしたが、こちらは「花押の下の角が鋳切れ、袋の中に小星がある」タイプと言われています。
銭径はとても雄大で、長径は50㎜に迫り、重量は26gを超えています。もともと宏足寶は大型のものが多いのですけど、この類はとびぬけて大きく、面背の上部の刔輪は削った痕跡ががっつり残る特異な品です。しかも、これは未使用の色が残る美銭です。府頭通や奇天類が名品と言われる理由の一つに、細縁で銭径がたっぷりあることがあげられると思いますが、この宏足寶の類もまさにそれに合致するのです。どうです、名品だと思いませんか?
希望譲渡価格6.5万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪宏足寶削花押
長径49.15㎜ 短径32.65㎜
銭文径41.0㎜ 重量20.6g
細字で美しい書体。張足寶でも宏足寶でも良いと思いますがのびのびとしたなかにも繊細な気品が漂います。
宏足寶としましたが張足寶とも長足寶でも構わないですね。
刔輪も強く當の離輪もはっきりしていますが、その他に目立つ?特徴として花押の頭部分に加刀が強く見られ袋部分から外部に向かって運河のように溝が彫られているものが多くあります。
希望譲渡価格8万円~
 
長郭手 刔輪縮形仰二割貝寶最小様
長径46.8㎜ 短径31.2㎜ 
銭文径39.9㎜ 重量16.2g
長径が47㎜を切る超縮形です。小さな天保銭と言えば秋田小様が有名で、45㎜台まで確認がされていますが、それ以外の小様天保で47㎜を切るものはほとんど聞いたことがありません。不知天保通寶分類譜にもわずかに1品しか掲拓がなく、それもかなり磨輪されて全体に歪んでいます。一方でこの小様銭は非常に整っていて、しかもよく見ると天上の部分刔輪があるという珍品なのです。寶は加刀で仰二貝寶となり、しかも完全に2分割される奇態を見せてくれています。
製作は本座銭に酷似していますし派手さはまったくありませんが、どうしてどうしてなかなかの超珍品なのです。
譲渡希望価格5万円~
 
長郭手 覆輪縮形宏足寶
長径47.45㎜ 短径31.7㎜
銭文径39.3㎜ 重量22.2g
長径が48㎜を切る縮形銭はそう多いものではありません。中でも改造銭の特徴が残されているものは少ないものです。この小さな天保通寶は爆々鶏こと工藤雑銭の会長の元愛銭であり、分譲品です。最大の特徴は銭文径が39.3㎜しかないこと。秋田小様を除いて私の所有する全天保通寶の中で最も小さいもので、おそらく3回写しクラスの不知銭なのです。書体は宏足寶のように足が思いっきり開いていますし、覆輪銭の雰囲気はたっぷりあります。
こいつの価値は古銭病・・・特に不知銭病に侵されてないとわからないかもしれませんが、とにかく可愛いと思いませんか?この銭文径はないですよ。
譲渡希望価格5万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪離足寶
長径49.25㎜ 短径32.55㎜ 
銭文径41.0㎜ 重量21.6g
不知銭好きはやたら寶足の長い天保を珍重します。かく言う私も寶足の長い天保通寶は大好きで、これは自分の体にないものに対する憧憬じゃないかと思う次第です。
ところが、長郭手に限って言えばなぜか足の長いものより足の短いものの方が圧倒的に少ないのです。もちろん単純に短いというわけでなく、刔輪によって寶足が輪から完全に離れていることが条件になります。
この天保銭、実は横浜古泉研究会の入札に出ていたのですけど、結構いい値段だった気がします。バブルでしたね~。目立たないけどこれものすごく珍しいんですよ。
譲渡希望価格6万円~
 
室場銭 覆輪刔輪反玉寶鋳放
長径50.1㎜ 短径33.4㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量25.7g
こちらはいやがおうにも目立ちます。今は室場銭という名前で呼ばれていますが、その昔は石巻銭とされており東京の古泉収集家たちが血眼になってこれを買い求めたとも。はじめてこれが東京に紹介されたときは長径50㎜を超える異様な姿にだれも見向きもしなかったそうですけど、今はこの姿はすっかり市民権を得ています。この天保は収集の誌上入札に2013年に姿を現したのですけど、その前の所有者は雑銭の会会長の工藤氏であったということをご本人から聞いています。そして、この天保銭がとある資料館から流出したものかもしれないということまで聞きました。
つまりこれはかなり由緒正しい・・・ひょっとしたら危ない・・・ものなんです。鑑定書がついていたはずなんですけどどこへ行ったのか最近トンと見ていません。
譲渡希望価格10万円~
 
細郭手 貼り合わせ手(削頭天)
長径48.8㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.8㎜ 重量21.0g
類似貨幣カタログで細郭手削頭天の名前を与えられていますが、面細郭背長郭手といった方が適当かもしれません。面と背の型が異なるということを知り、非常に興味を持ちました。特徴としては変わった製作なのですが、比較的存在が多く、注意していれば入手が可能な不知銭です。通常この製作は貼り合わせ技法と呼ばれ、面背の型ずれがはっきり分かるものが多いのですけど、削頭天に関してはさほどその特色は出ていません。はじめから鋳型作成用の型がつくられていたのではないかと個人的に考えています。文字各所に加刀が強く見られ、花押の後端の底部が特に強く削られています。この手はあまり上作のものを見ないのですが掲示品は最上作と言っても過言ではないと思います。ただし・・・そんなに珍銭ではありません。
譲渡希望価格3万円~
 
細郭手 覆輪刮頭天
長径49.2㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.6㎜ 重量18.6g
2021年の最後のオークションネットで入手した不知銭です。覆輪細字の細郭手で、不知天保として特筆するような変化ではなくどちらかと言えば平凡。刮頭天の名称がつけられていますが大した変化じゃないの細郭手覆輪細字とした方が分かりやすいと思います。しかし、この品私所有の品の中で唯一、大川天顕堂師のかつての所有品であり天保泉譜の原品でもあるです。つまりその価値があまりにも尊いがため半狂乱で応札してしまいました。
この不知銭は通頭と通点の間の郭が膨らむ癖があります。
譲渡希望価格4万円
 
細郭手 覆輪厚肉重量銭(覆輪存痕)
長径49.5㎜ 短径33.3㎜ 
銭文径41.1㎜ 重量29.6g
良く見る覆輪の細郭手・・・ちょっと細字で背輪がものすごく幅広い・・・だけ?と、思われるかもしれませんが重量が29.6gと異常値を示します。こんなつまらない?不知銭に10万円近くつぎ込んでしまう私はおろか者なんでしょう。後鋳品ならともかく実際に流通したと思われる天保通寶で27g以上はめったにありません。薩摩系を除くと私の所持品ではわずかに3枚。(2023年12月現在)29.6gは不知天保銭ではNo.1なのです。
希望譲渡価格は10万円と言いたいところなんですけど無理かな。銭文径は本座とほとんど変わらないのが不思議です。
希望譲渡価格6万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪反足寶
長径49.2㎜ 短径32.7㎜ 
銭文径41.0㎜ 重量21.2g
覆輪と強刔輪の不知長郭手。長反足寶の印象が強烈なので、反足寶はどうしても格下に見られがちなのですけど、どうしてどうして・・・実際の存在比率は反足寶の方がかなり少なく、おそらく長反足寶の4分の1以下・・・張天保クラスかそれ以下の存在数だと思われます。したがって、本当なら反足寶はもっと高い評価であるべきなんですけども、見た目と人気という面ではどうしても後塵を拝してしまうのが惜しい名品です。
長反足寶がやや人工的な文字デザインであるのに対し、この反足寶はごくごく自然な流れで足が長くなった・・・その限界点にあると私は感じます。原品は仙台天保に似た材質、鋳肌と極印であり、ひょっとしたら仙台天保なんじゃないのかなと思うほど雰囲気は似ています。なお、この品は類似貨幣カタログの現品でもあります。
譲渡希望価格12万円~
 
長郭手 強刔輪長張足寶削頭天 
長径48.3㎜ 短径31.5㎜ 
銭文径39.8㎜ 重量19.3g
張足寶にはいくつかのタイプがありますが、これは天上や當上の刔輪がとくに強く、寶足が長く踏ん張りが広く、前足が反り返るタイプです。張足寶と宏足寶の両方の特徴があることから宏反足寶の名前がついているものもあるようですが、私は長張足寶としました。この一枚は天第一画が短くなっているのも印象的です。銭文径は40㎜を切り、長郭手としてはかなり小さいのですが、筆勢があるので文字の縮みはあまり感じません。個人的な感想ですけど張足寶の中では最も少ないタイプじゃないのかな・・・と思っています。
銅質や寶足の形状は異なるのですけど書体的には反足寶にそっくりですね。
譲渡希望価格7万円~
 
細郭手 強覆輪強刔輪小花押(寶下強刔輪)
長径49.5㎜ 短径33.1㎜ 
銭文径40.8㎜ 重量21.7g
これは珍しい細郭手です。かなり強刔輪でありながら輪幅が広く残されて濶縁に見え、また寶下が強烈に部分刔輪されていて、かなりの長足寶なのです。銭径も大きくゆったりとした銭面になっていますが、とくに背の文字縮小と隔輪ぶりが強烈で、花押が縮小して小ぶりになっています。不知天保通寶分類譜のP108に寶下部分刔輪として兄弟銭と考えられるものが掲載されています。子細に観察すると、製作や寶足の接輪の雰囲気から覆輪刔輪長足寶としたものにつながる前駆銭でないかとも考えられます。覆輪と強刔輪がともに観察できるなんてなかなかの顔だと思いませんか?天保通寶の覆輪刔輪はとくに輪の上下部分に強く現れる傾向にあります。そのメカニズムは覆輪刔輪マニアックワールドを読んでください。
譲渡希望価格7万円~ 
 
石持桐極印銭 深字濶縁広郭大様(母銭様)
長径49.45㎜ 短径33.3㎜ 
銭文径40.55㎜ 重量17.6g

非常に謎多き品です。深字で長径が49㎜を超えるものは通用銭ではまずありません。たいがい48㎜台の大きさなのです。しかし銭文径を何度か確認しましたが、通用銭とほぼ同じなのです。ただ、内径は若干大きくなっていますし、泉譜などで深字の母銭と比較すると、長径はほぼ同じなんですが濶縁広郭ぶりが非常に目立つのです。文字仕上げなどを見るとところどころに加刀の痕跡が残っていて、母銭のつくりに見えます。
天保仙人様によると大川天顕堂がかつて報告していた大型の深字母銭(稟議品と思われる品)から生まれた試作的な通用銭ではないかとのこと。それは鍍銀されていたということであり、本品もうっすら鍍銀跡が残るところからなにやら特別な香りがする品です。現存一品か?
譲渡希望価格10万円~
 
薩摩藩銭 広郭白銅銭
長径48.7㎜ 短径32.2㎜ 
銭文径41.4㎜ 重量23.5g
白銅好きを自認する私は、薩摩広郭の白銅は追い求めてやまないものです。コアな収集者としての感想は・・・7割が贋作で2割がかなり妖しい品で1割が何とも言えないもの・・・つまり、これは騙されること覚悟で収集すべき対象であり、積極的に大金をつぎ込むべきものではないということ。私も相当妖しいものに引っかかっていますし、いまだによく分かっていないのです。銀鋳、着色品やメッキの品はたくさんあります。そんななかでもこの品は古い収集家が集めた品であろうということで応札したもので、かなり良い雰囲気の一枚です。皆さんはどうお考えですか?
譲渡希望価格2万円~
 
萩藩銭 方字極薄肉白銅銭 
長径48.5㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量13.4g
萩藩銭の曳尾や方字には白銅銭が散見されると言いますが、曳尾の白銅銭についてはまだ見たことがありません。一方で、方字は白銅質のものがかなり見られ、薩摩広郭の白銅銭に比べて、こちらは妖しい作がほぼありませんので安心です。ただ、純白といえるものはほとんどありません。古寛永の長門銭を見ても純白のものはまずなく、ほんのり黄色味を帯びているものがほとんど。掲示品は方字としてはほぼ最高の白さレベルだと思います。しかも「薄天保」の異名の通り極薄で、重さは13gほどしかありません。あまりの軽さに前所有者はおもちゃ(玩賞品)だと勘違いされていたようです。大珍品というわけではありませんが、いざ探すとなるとないですよこれは。
譲渡希望価格1万円~
 
本座銭 広郭白銅質
長径48.5㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量13.4g
いわゆる佐渡本座写の天保銭ですけど今どきの分類名は本座白銅質でしょう。天領であった佐渡鋳天保は最初曳尾が充てられていましたが、小川青寶樓の案で白っぽい本座広郭が佐渡に割り当てられることになりました。しかし、明確な根拠はほぼなく、・・・明治期の廃仏毀釈によって佐渡では仏具がかなり処分されたと思われるという実にあいまいなものでした。
ただ、着色やメッキでなく、この画像ぐらい白い広郭はかなり貴重で、私はこの1枚しか自信のあるものはありません。噂によるともっと白くぬけたものがあるとか・・・見て見たいですね。このタイプのものは側面を見てください。銀鼠色なら合格です。
譲渡希望価格2万円~
 
長郭手 覆輪深淵(白銅質)
長径48.6㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量22.1g
たまたま白銅銭が並びましたが、これの面白さは銅質以外のところ。「百聞は一見に如かず」と言う諺はありますが、これは一見してもなかなか分かりません。天保泉譜にはこうあります・・・「灰黄色作良。谷の輪に沿う部分深く、中央ほど浅い特異の作」。いくら読んでも実感は沸かないと思いますが、手に取って指で触るとその理由がすぐに分かります。まるで碁石に触れているみたい・・・面背ともに中央部が盛り上がっているような錯覚を覚えるのです。書体としては寶王が貝からわずかに離れ、大頭通気味でもありますが、ほとんど目立ちません。触って感じることのできる不知銭はこれだけですね。「百見は一触に如かず」なのです。面白いですよ。
なお、この類の銅色は必ずしも灰黄色ではなく黄褐色等いろいろあると思います。
譲渡希望価格4万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪深淵(面背逆製)
長径48.7㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量20.0g
面背逆製の天保通寶を手にしたのはこれが初めてでした。これ以外には銭形が逆台形になった面背逆仕上げの異制品は仙人様から分譲頂いたことはありますが、画像の品は鋳造段階からの面背逆製。背側が広穿で穿の仕上げやすりの入り方も逆ですし、面側浅字にもなってまるで額輪のようです。どうやら土台担った不知銭は深淵の類だと思われますが、深淵特有の地肌が碁石状になった傾斜はあまり感じられません。
製作上の大珍品ですが、分類上の珍品ではないので人によって好き嫌いが出そうな一品ですが、発色や雰囲気とも極上の一品だと私は感じています。
譲渡希望価格5万円~

※この品を入手する数年前に同類の真っ赤な天保銭を入手していました。
 
長郭手 強刔輪細字細縁深淵
長径48.6㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径40.5㎜ 重量20.0g
深淵ですけど上の系統とは異なると思います。同じ種を2枚保有していますがまるで覆輪が外れたような極端な細縁。文字も離輪しています。短径がしっかりあるのはこれが磨輪による細縁ではなく強い刔輪によるものであることを物語っています。同じ種を2枚保有していますが、いずれもまるでニスを塗ったような独特の光沢と薄焦茶の色合いは同じで、この不知銭特有なのかもしれません。深淵という名称が3枚連続で続きますが、これは深淵であっても別の系統だと考えています。決して軽量銭ではないのですが手にした瞬間に頼りなさ、薄さを感じてしまいます。書体そのものに大きな変化は少ないものの、個性的という意味ではこの上ない不知銭。面白いですよ。
希望譲渡価格5万円~
 
琉球通寶 小字(桐極印)
長径48.9㎜ 短径32.7㎜ 重量17.1g
琉球通寶にはいろいろな書体がありますが小字の本体はどちらかと言えば少ない部類、ただし、桐極印に関して言えば琉球の中では一番入手する機会が多く、しかも美銭が多いのがありがたい品です。琉球通寶には桐極印銭がある・・・それは広島藩との交易用の通貨としてはじまった・・・という説を何かの本で読んだ記憶があります。琉球通寶といえば銅色の黄色いものはあまり見かけないのですけど、桐極印銭に関して言えば黄銅職のものが多見され、とくに小字には本座銭に近い色から純黄色といって良い品が存在します。
譲渡希望価格4万円~
 
長郭手 覆輪小字背広横郭(嵌郭)
長径48.7㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.25㎜ 重量23.6g
覆輪のはっきりわかる不知銭は、49㎜を超える大型のものが多いのですけど、本品は全体にかなり縮小しています。
銭文径は40.25㎜と推定2度写しで、通常の長郭より1.5㎜ほど縮小しています。これだけ縮小すると、銭全体にゆがみが出ますので鋳銭工はその防止策として嵌郭を行ったと考えられます。あくまでも私的な意見ですけど嵌郭の目的は母銭の補強とともに、鋳写しによる広穿化を目立たなくする期待もあったと思われます。
長郭の嵌郭は加賀千代作と噂される贋作が有名ですけど、こちらはかなり控えめな嵌郭です。それでも全体の印象は強烈で、不知銭としてはかなり個性的な風貌をしています。
譲渡希望価格5万円~
 
長郭手 覆輪縮形嵌郭異極印
長径47.95㎜ 短径32.05㎜ 
銭文径39.95㎜ 重量23.2g
覆輪縮形の含白銅質の天保。どちらかというとみすぼらしいので、なんでこのコーナーにこれを掲載したのかお分かりにならない方も多いと思います。この天保も個性的という意味で一頭地抜けているのです。長径は48㎜を切る横太りの銭径縮小銭、銭文径も40㎜を切ります野でかなり小さい。一方、小ぶりながら重みはしっかりある肉厚銭で、変形極印で嵌郭らしき痕跡もあります。また、貼り合わせ製法を思わせるつくりなのです。さらに地染の痕跡もあり、寛永銭座の製法を思わせる等々・・・見どころ満載なのです。これと同じタイプの不知長郭手にはいまだに出会ったことはなく、珍銭の部類に属すると考えています。
譲渡希望価格5万円~
 
長郭手 覆輪肥足寶連玉冠
長径48.8㎜ 短径32.7㎜ 銭文径40.6㎜ 重量18.7g
横太り銭形の典型的な覆輪刔輪銭。この類は覆輪刔輪に加えて
①寶足が先太で輪に接する。
②寶冠の前垂れが玉第4画と接する。
③背百の横引き先端が鋭く尖る。
④百横引きの末端が丸く団子状になる。
⑤全体にやや肥字になる。
ことです。また、この銭の面白いところは面の輪に他の銭の輪が写っている・・・いわゆる錯笵になっていること。背の花押にも大きな鋳割れが走っています。いかにも不知銭らしい風貌でなかなか良い面構えをしている銭でもあります。本座に似た銅質で、やや薄肉の作りです。
譲渡希望価格6万円~
不知天保通寶分類譜下巻P170の3原品
 
細郭手 覆輪刔輪張足寶
長径48.9㎜ 短径32.15㎜ 
銭文径40.2㎜ 
重量20.8g
張足寶は長郭手と細郭手があり、長郭手の張足寶にはいろいろなバリエーションが見られますが、細郭手の張足寶といえばこの書体のものをほぼさします。非常に書体が整っており、寶足の張りも最高潮!「これぞ張足寶!」といった雰囲気なのです。実は當百銭カタログや不知天保通寶分類譜にはこの書体のものが長郭手として掲載されていて実に紛らわしいのですけど、背の當字や花押の形を見る限りやはり細郭手とすべきものだと思われます。人偏や保点も長くかなり洗練された書体で人気があります。数も長郭手に比べて格段に少ないのですが、美銭が多いのがうれしい不知銭です。
譲渡希望価格4万円~
 
細郭手 覆輪強刔輪長足寶
長径49.15㎜ 短径32.95㎜ 
銭文径40.65㎜ 
重量20.1g
細郭手の強刔輪の代表銭の1枚です。このタイプは覆輪の後で内輪の刔輪が行われていて、全体に横広の銭形になります。天上、寶上ともに刔輪が強く、寶足は確かに長く見えますが、拡大観察すると寶足の先端が輪の削り残しの上にのっかっている感じなのです。細郭手の長足寶で有名なのはこのタイプと狭長足寶になるタイプですから、この不知銭はコレクターとしてのマストアイテム(?)なのです。しかし、存在はかなり少ないので入手には運も必要です。この銭は出現時期から見て秋田の村上師の旧蔵品の可能性が高く、少なくとも英泉天保通寶研究分類譜1432番と勢陽譜の245番と同規格品です。
譲渡希望価格5万円~

 
長郭手 覆輪刔輪斜珎
長径48.6㎜ 短径32.2㎜ 
銭文径40.9㎜ 重量20.9g
「斜珎」の名称は大橋義春譜によるもので由来は寶尓の柱が著しく仰ぐこととされます。しかし、改めて本品を観察してもほぼ垂直。画像収録した仙人様の蔵品を確認してもほとんど歪んでいません。これは寶王画が貝から離れ尓の横引きが俯し気味であることから珎全体が歪んで見えるというのが真相のようです。瓜生氏がその著書で「離貝寶」と名称変更しようとしたのはもっともな事なのですけど、「斜珎」の名称があまりにも有名すぎて定着しませんでした。
特徴は覆輪刔輪銭で、大頭通、寶王が貝から離れ、寶足が若干長いこと。また、特異な製法として面背の型の合わせ目が銭の厚みの中央にある「中見切り製法」(貼り合わせ)であり、前後の型ずれによって郭の中に段差が生まれているものも散見されます。中には保点が長く張天保状になっているものもあるようです。
譲渡希望価格8万円~
 
長郭手 覆輪刔輪短尾通次鋳
長径48.3㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.3㎜ 重量20.5g
覆輪刔輪の不知銭で、とくに天上の刔輪が強く見られます。保柱、寶足も長いのですけど、全体に太く目立たないように処理されています。穿内のやすり掛けは強めで、背郭が細くなるほど。目立つ書体の特徴は2つ・・・通尾が短くなることと寶尓の後点が肥大すること。この類は鋳写しを繰り返したらしく、掲示品の銭文径は40.3㎜ほどしかありませんので次鋳タイプ。初鋳のものは銭径がゆったりして大ぶりです。極印は小さい桐極印が深く打たれています。
不知天保通寶分類譜の下巻P129の10
英泉天保通寶研究分類譜1119

譲渡希望価格4万円~
 
細郭手 覆輪刔輪長狭足寶
長径49.4㎜ 短径32.9㎜
銭文径40.6㎜ 重量19.5㎜
細郭手の中で最も強烈な刔輪を誇ります。しかも長径、短径ともに大きい大型のものが多く、美銭も多いのです。鋳造上の小変化で寶足の長く見えるものなども存在しますが、この類は保の横のに地小さな凹みが見られるものが多く、共通の母銭から伝鋳が繰り返されたことを物語っています。鋳肌は滑らかで、なかには鋳ざらい痕跡を残すものも存在します。本品は雑銭の会会長から分譲して頂いた品だったように記憶しています。実は同系統の品を複数枚保持していたのですが、お礼の意味を含めて購入した次第。細郭手を収集するのなら必ず保有すべき不知銭だと思います。類似カタログには再覆輪刔輪の名前で出ていますが、もう少し評価すべき物だと私は考えています。
譲渡希望価格6万円~
 
長郭手 覆輪強刔輪張足寶背細郭
長径49.15㎜ 短径32.15㎜ 
銭文径40.55㎜ 重量19.3g
面背ともかなり強い刔輪がありますが、中でもこれは張足寶の中でも天上の刔輪がはっきりして強く、寶貝の前足の付け根に接する底に瑕があるタイプです。この特徴は通寶小字や長反足寶と共通の特徴です。不知天保通寶分類譜では下巻140Pの28番に限りなく近似していて、現品の可能性もあります。文字はかなり縮小していますが、通寶小字系よりは銭文径は大きめで、これは意外でした。張足寶にはいろいろな種類、系統がありますが最も少ない類だと思います。
※英泉天保通寶研究分類譜1267原品
譲渡希望価格8万円~
 
長郭手 覆輪刔輪通寶小字
長径49.1㎜ 短径32.6㎜ 
銭文径39.9㎜ 重量23.9g

この分類名には異を唱える方もいるかもしれません。これは覆輪刔輪張足寶の一種だと。確かにそうです。張足寶のうち、狭穿気味で銭文径が特に小さいものを私は通寶小字としています。微妙なのですが狭足寶狭貝寶気味であることも条件で多分に感覚的なのです。
銭文径が小さいので間違いなく通寶は小字なんですけど、泉譜の通寶小字はやや陰起文気味で離足寶。通寶の書体印象が弱く見えるものを当てている気がします。個人的には鋳造変化のように見えます。したがって銭文径などの定義の方が分かりやすいかもしれませんが、そうなるとこれは張足寶のうち2度写し以上で再覆輪で輪幅が広いものあるいはその磨輪銭ということになります。銭文径は40㎜を切りますので2㎜近くの縮小です。寶足は長いものの、全体的に刔輪の度合いはさして強くありません。本品は2014年のCCF即売会場で入手したもの。長反足寶の類と製作上の類似点があるとされています。
譲渡希望価格7万円~
 
萩藩銭 曳尾細字大字
長径49.1㎜ 短径32.1㎜ 
銭文径40.7㎜ 重量19.4g

天保通寶を集めていて曳尾にはまっている人は結構いると思います。まず何といっても書体が楽しい。古寛永の長門銭の流れをくむので、異永のようにものすごく自己主張が強い独特の筆法。ほかの天保銭が密鋳であることがばれないように本座を模して作っているのに対し、萩藩銭はまあなんと潔いことか。幕末の長州成敗に対抗しての軍事費調達が急務だったのでしょうけど、これは幕府に対しての明らかな挑発じゃないかと・・・。
この曳尾、鋳ざらい変化が激しく、同じ書体のものが2つとないとも言われています。その中で、これは押さえるべき品と言えるのが曳尾細字の大字です。とにかく目立ちます。曳尾は概して大ぶりで文字もダイナミックなものが多いのですけど、大字はとくに天の両足が気持ちよく大きく開きます。文字は細いものの保点は太い・・・だからちょっとアンバランス。ついでに寶足も太く短いのです。もちろん曳尾の名前通り、通尾はくねりながら長く尾を引きます。とにかく眺めていて飽きない品ですね。
譲渡希望価格3万円~

 
仙台藩銭 長足寶小様
長径48.5㎜ 短径32.5㎜ 
銭文径39.9㎜ 重量17.9g

これは名品というより藩鋳の基本銭です。ただ、安くなってきたとはいえ7~8万円以上はするこのクラスの天保通寶を収集するというのはかなり勇気が要るものです。この天保通寶を仙台藩銭としたのはかなりの観察眼で、いわゆる魚子地の地肌が寛永の寛永仙台銭と同じというところのほかに、古寛永仙台銭の寛字や五大点と銅質が似ていること等が決め手なんでしょうね。
おそらく覆輪、刔輪、嵌郭の技法がすべて使われています。刔輪を偽装するため長足寶で天の第一画が太くなるのも特徴です。また、背郭が反郭気味になります。地の部分に筋状の鋳ざらい痕跡が観察できるものが多いことなど、特徴が顕著なので人気は抜群です。黒っぽく発色したものが多いのですけど白銅質のきれいなものが時々存在しますので、美銭だったら思い切って入手することをお勧めします。
希望譲渡価格7万円~
 
長郭手 白銅質天上削輪
長径48.5㎜ 短径31.8㎜
銭文径41.6㎜ 重量20.9g

白銅質の天保通寶はときどき見つかりますがこれはその最たるもののひとつ。不知銭と思って計測してみるとなぜか銭文径が本座と変わらない。あれっと思って司祭に調べると天上に鋳だまりがあったようでそこががりがりと加刀されているようで天の大一画が太くなっているのが判明しました。ちょっと珍しい加刀加工ですが、実際の銭文径は0.5㎜以上小さいと思われます。
不知天保には色替りが時々見つかりますが、個人的にはこのように白く抜けた色彩が一番好きですし目立ちます。背の当百も加刀されて細字になっています。
希望譲渡価格4万円~
 
細郭手 強刔輪削字削花押
長径48.4㎜ 短径31.8㎜
銭文径40.2㎜ 重量19.0g

この細郭手は非常に表情が素朴と言いますか、稚味、雅味豊かと言いますか・・・非常に個性的です。正直言って製作は良くありません。地も浅いし寶足も不揃い。みすぼらしく、荒っぽくて下手糞です。だからこそ面白いというのが不知銭の面目躍如たるものでしょう。
刔輪は加刀痕が輪際に「ぐりぐり」と荒々しく残りますし、鋳ざらいの痕跡も背を中心に「ぬめぬめ」と生々しいのです。さらに花押に至ってはふざけたように「ぐにゃぐにゃ」と歪んでいます。これらのオノマトペがとても似合うのです。記録によるとこの天保銭は2014年の8月に雑銭の会の工藤会長から分譲されたもの。入手した品のうちこれを含む3枚が刃跡がグリグリとあり、工藤会長もお気に入りの品だったと思われます。
希望譲渡価格5万円~