戻る     進む  
  
 
銭の細道 大量見聞録 2
 
新寛永通寶分類譜 古寛永基礎分類譜 赤錆の館
天保銭の小部屋 文久永寶の細道
 
四ツ宝銭 勁永広寛の大量見聞録 
しばらくお休みをしていましたが、勁永広寛にとりかかることにします。スキャナーの設定がわからず2時間ぐらい格闘し、一時あきらめかけておりました。倍率設定がうまくゆかなかったんですね。
こいつらは銅質は練れてまぁまぁ良いのですが製作は雑です。文字の彫りが極端に浅いので、見栄えと言う点では今までのもの以上に良くありません。いわゆる写真写りが悪いのです。枚数は1120枚・・・1ヶ月は覚悟です。

勁永広寛は銭譜では4種に細分類されています。本体の他には破冠寛(寛冠の左側が切れる)、破冠寛瑕寶(寛冠の右側が切れ、王の中画前方が欠画する)、破冠寛削尓(寛冠の右側が切れ、尓の縦画の跳ねがない)と言う具合ですが、美銭で無い限り判別は難しいマニアックなものです。これも広永と同じように背輪の際の仕上げに刀の入っている刔輪タイプがあるかもしれません。
 
勁永広寛(けいえいこうかん)
広永と同じ系統の書体ですが、文字の癖は強くなっています。
寛:別名跳足寛とも言われ、中央から曲線を描き分岐します。前足先端が浮き上がり、後足のふんばりは長く内跳寛です。
永:左右のつくりがあがりいわゆる昂水です。そのため狭永で、しかも爪が大きく癖字です。
通:広永に良く似ていますが、通尾の払いが波打ち跳ねあがります。
寶:広永とほぼ同じですが、後足が短く跛寶になります。
銅色:文銭に似ているがやや赤っぽい。彫りが浅く美銭は少ない。
背:すっきりとした細縁になる。やはり彫りは浅い。
勁永広寛破冠寛(破冠寛イ)
寛冠が寛点の直前で切れるもの。比較的分かりやすい位置なので目立ちます。

勁永広寛破冠寛瑕寶(破冠寛ロ)
瑕寶は寛冠が寛点の直後で大きく切れ、寶王の中横引前部が陰起するもの。拡大図でその差をご確認下さい。
勁永広寛破冠寛削尓(破冠寛ハ)
削尓といっても縦画の下部が削られているだけで跳ねがないわけではなく、ルーペで拡大しないとわかりません。寛冠の切れ方や位置にも差があります。
背刔輪?
画像で見ても美銭ぶりが分かると思います。背の彫りが深く、輪際がすっきりしています。はたしてこれを刔輪と見るかどうかはこれからの計測の課題です。

※これは手持ち品からとった画像です。あるいは母銭?・・・にしては内径は大きくありません。
大様厚肉銭
石川氏から送付された見本銭の1枚。分厚く大きくてびっくりしました。統計の中には入れませんが今までの最大のものです。
ただし、内径は通常の品と全く変わりません。

外径23.5㎜ 内径18.8㎜ 重量3.90g
次鋳銭
はっきり確認できたもの。外径は22.6㎜しかないのですが輪幅があって文字が縮小しています。

外径22.6㎜ 内径18.4㎜ 重量2.2g
 
2月8日
計測開始。まずは15枚を抽出。1枚異様に重いものあり。特異銭として選別。背はほとんどが細縁ですが、加刀痕跡らしきものは見出せず、また、破冠寛類もありませんでした。目が悪くなったために実は5000円でメガネを生まれて初めて作りました。悔しいけれど良く見えます。古銭専用の新兵器ですが、恥ずかしくて人前では使えません。
小さいものは磨輪で、内径は19㎜くらいで変化はありませんでした


【本日の結果:通算平均】

外径22.93㎜ 重量2.71g (累計15枚の平均値)
外径23.25㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.50㎜ 重量1.85g (過去の最小値)
 
2月9日
25枚を計測。平均値が大きく変動。最大径23.4㎜出現。それに破冠寛系2枚(破冠寛と破冠寛削尓)が出てきました。状態が悪くて見分けづらいです。
気づいたこと・・・背刔輪らしきものはあるが、内径がほぼ変わらず、刔輪というべきかただの輪がきれいに鋳だされたものとみるべきか微妙です。広永は背長郭が多かったのですが、
勁永広寛はなぜか背横郭が多いように感じます。鋳銭工の癖なのかも知れません。

【本日の結果:通算平均】
外径23.00㎜ 重量2.75g (累計40枚の平均値)
外径23.40㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.50㎜ 重量1.85g (過去の最小値)
 
 
2月11日
20枚計測。午前2時30分を過ぎました。瑕寶と破冠寛2枚が出ました。なかなか撮影に耐えられるレベルのものは出てきません。規格の変動はあまりなさそうです。下方安定といったところでしょうか?内径変化もほぼありません。
※いつものように肉厚の目立つやつらを狙いうちして重量を量りましたが、4g超過はありませんでした。銅色も目立つ変化は少なく、白っぽいものは別書体が誤って混じっている場合(つまり別種)がほとんどといった感じです。
規格の安定と言う意味ではかなり厳格のような気がします。背横郭が多いということも改めて感じます。これは鋳銭工が一定の手順を厳格に守っていたとも考えられます。(砂笵に置くときの母銭の向き)

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.74g (累計60枚の平均値)
外径23.40㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.50㎜ 重量1.85g (過去の最小値)
 
2月12日
寝しなに20枚計測。分厚いのがないかざっと探しましたが・・・ありませんね。3.9gが上限でした。今日の計測はやや偏っているかもしれませんが、長い目で見れば平均化されると思います。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.83g (累計80枚の平均値)
外径23.40㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.50㎜ 重量1.85g (過去の最小値)
背輪のスッキリタイプ(刔輪?)
刔輪が疑われますが数値差としてはっきりと出ていません。この手のものはやや背が深彫りで細郭になるため、あるいは母銭段階での研ぎ出し作業の差なのかもしれません。とはいえ、若干輪際を修正されたようにも見えます。
内径が大きいのではなくやや不整形の刔輪?なので数値化はむずかしいかも・・・。
外径23.05㎜、重量2.8g 背内径18.3㎜
厚肉重量銭
外径22.95㎜、重量3.9g 背内径17.7㎜
彫りが浅く内径計測に自信が持てませんが、背内径には差を見ます。研ぎ出しの差かもしれませんが・・・。
勁永広寛は比較的大きさが揃っているので、この重さは目立ちます。4gを超えたらきっと珍品でしょう。
 
2月15日
30枚計測。大きな変化なし。意外に製作はまとまっていて錯笵系はまだ出ていません。瑕寶や削尓も出てきません。この手の兄弟銭には私はあまり興味を惹かれませんので目が鈍っているのかも・・・。

【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.84g (累計110枚の平均値)
外径23.40㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.50㎜ 重量1.85g (過去の最小値)
やや濶縁の大型銭
外径23.4㎜、重量2.4g

 
2月21日
40枚計測して150枚に到達。しばらく出張と後始末で計測不能でした。出先にパソコンを持って行ったのでメールとオークションチェックなどはしていました。(病気ですね。)
ここまでのところ大きな変化は見つかりません。面内径はおおむね18.8~19㎜でほぼ一定です。あきらかな次鋳は見つかりません。背はおおむね細縁気味ですっきりしたものが多く、多少の肥痩はありますが目立つ変化は少ないもよう。背内径もおおむね18㎜前後で、内径の差は刔輪や加刀修正というより研ぎ出し作業の差のような気がしてきました。磁性はなく銅質は一定のようです。破冠寛の類は案外少なく、合計5枚しかありません。(破冠寛3枚、削尓と瑕寶が1枚ずつ)破冠寛は微細変化で兄弟銭のような位置づけなのか、それともシークレットマーク的な存在なのか・・・微妙ですね。それにしても良く気づいたものだと感心してしまいます。


【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.82g (累計150枚の平均値)
外径23.40㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.50㎜ 重量1.85g (過去の最小値)
大様広郭銭
ただし、大きさは23.4㎜です。上記の大様厚肉銭より大きく感じるのですが、画像を重ねるとやはりわずかに小さくなります。内径は18.8㎜で同じです。
末鋳磨輪銭
左は重量が3.7gと大きさの割りに異常に重く、密鋳を疑った品。右は石川氏から送られた次鋳とされるもの。
しかしながら画像比較で内径を調べると標準銭と内径はほぼ同じ。(右側が18.6㎜の内径ですが、文字や輪がつぶれているので・・・)したがってとりあえず末鋳銭とさせていただきました。
 
2月23日
次鋳の可能性を探すべく、汚い奴をつまみあげて計測。本日は20枚計測。磨輪最小様、最軽量が出ました・・・しかも破冠寛削尓のおまけつき。ただし青錆品ですので火中品かも。残念ながら今日も明確な次鋳は出てきません。内径はほとんど18.8㎜付近です。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.80g (累計170枚の平均値)
外径23.40㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
磨輪薄肉小様銭
外径22.3㎜、内径18.8㎜、重量1.5g
破冠寛削尓の書体です。薄っぺらという言葉がぴったり。
 
2月24日
30枚計測して200枚に到達。目標の6分の1にしかなっていませんが一区切りです。破冠寛1枚と23.5㎜の大様が出現。ただ相変わらず内径の小さいものは出てこない。分布統計を取ってみたら平均値を頂点とした山形がきれいに現れました。次鋳銭が見つかった他の銭種の場合は銭径に山の頂点が2つ現れることが多かったので、これを見る限りは次鋳出現の可能性は低いのではないかとも思われます。とはいえまだ6分の1ですし、探求を始めて間もないので結論は早いと思います。(内径は18.8㎜前後でほぼ統一状態です。)
大様(23.5㎜)
このような特集を組んでない限り絶対拾われない品物です。
重量は2.5gのほぼ標準銭です。

※圧力変形の可能性も・・・


【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.79g (累計200枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
2月25日
女房が海外出張から帰宅。ようやく父子家庭生活から脱出です。それでもって20枚計測しました。内径を概略測りましたが18.8㎜で一定です。

【本日の結果:通算平均
外径23.01㎜ 重量2.78g (累計220枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
2月26日
今日はとくに変わったことはありません。20枚計測。破冠寛は予想以上に少ないようです。


【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.76g (累計240枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
3月1日
仕事の大きな山を通過しました。あと二山くらい超えなければなりませんが、目処がついてきました。30枚計測。破冠寛1枚出現。これでこの類は8枚目。出現率は3%弱。本当はもう少しあるのかもしれませんが文字が擦れていて読めません。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.75g (累計270枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
3月2日
300枚に到達。これでも目標の4分の1強です。破冠寛瑕寶が1枚出現。ここまでの統計をグラフ化するとマッターホルンのようなきれいな山形が現れました。これはこの種の規格がかなり厳密に定められていたことも意味すると思います。始める前の印象ではもっとばらつくと思っていましたがこれは意外。次鋳は出てきません。新寛永通宝カタログでは内径18.8㎜~19.2㎜ということですが、ほとんどが内径は18.8㎜です。内径0.4㎜の差は出てきません。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.74g (累計300枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
3月4日
まもなく5日ですが、20枚計測。特異銭も無ければ次鋳らしきものもなし。本当に内径は18.8㎜前後しか出てきません。差異が0.1~0.2㎜しかない世界ならば手計測では次鋳の見出しは無理なのか、それとも存在しないのか?

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.73g (累計320枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
3月8日 
3日いや4日ぶりの計測になってしまいましたが30枚計測。ここまでくると大筋が見えてきましたが、少なくともこのサンプル集団に次鋳のようなものはないのでは・・・というところ。と、いうのも銭の形態が非常に整然としていて、グラフもきれいな山形になるからです。規格が統一されていて極端に大きなものや小さなものもないし、厚みも薄めにあわせられています。浅彫りのつくりは次鋳母にするには不向きで、ここにおいては古寛永的な鋳造は難しかったのでは・・・と思えるようになってきました。とはいえまだサンプル数は350枚・・・もっと調べてみなくちゃ・・・。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.73g (累計350枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
3月9日
喉荒れが痛くて5時に目が覚めました。老化現象でしょうか?20枚計測。
ここまでのところ破冠寛5枚、瑕寶2枚、削尓4枚の出現。破冠寛類の出現率は3%ほどになりますが、破冠寛は比較的見分けは簡単なのですが瑕寶、削尓の見分けがややあいまいです。と、いうのも状態が悪いものが多いことにあわせ、瑕寶とも削尓ともいえないものが出現しているからです。この手のものは鋳切れの延長線上にありますので細分類を躍起になって行うまでもないのかなぁ・・・と思うしだいです。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.73g (累計370枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
3月12日
30枚計測して400枚に到達!破冠寛が2枚出現。これで破冠寛7枚、瑕寶2枚、削尓4枚、出現率3.25%です。


【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.72g (累計400枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 

3月16日
30枚計測。破冠寛削尓らしきもの1枚。らしきもの・・・というのは尓が磨耗して見えないため。変化が無くてつまらないですね。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.70g (累計430枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 

3月19日
20枚計測。とくに変化ありません。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.70g (累計450枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 

3月25日
50枚計測で500枚到達。破冠寛が2枚出現。これでこの類は16枚になりましたがそのうち9枚が破冠寛本体。これは目立つのですぐわかります。削尓や瑕寶はいまいち判別しづらい変化です。分布図はきれいな山型でとくに重量分布は見事な左右対称分布です。これは規格が厳密に定められ管理されていた証拠ではないでしょうか?

【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.70g (累計500枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月1日
50枚計測。ここのところサボり気味ですが忙しいからしかたがありませんね。今朝は早朝から一気に計測しました。ぐらふはきれいな山形にいよいよ近づいています。この種の特徴ですね。ばらつきが本当に少ない。


【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.69g (累計550枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月4日
30枚計測。データ変化なし。ようやく半分くらいまできました。

【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.69g (累計580枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月7日
20枚計測して600枚到達!破冠寛1枚出現し、この手だけで10枚に。60枚に1枚程度の出現ですし、この変化は目立ちますので1種として十分だと思います。一方、削尓は5枚、瑕寶は2枚ですがいずれもあまり特徴がはっきりしません。この2手はう~ん・・・といった感じ。

【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.68g (累計600枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月8日
20枚計測。破冠寛1枚出現。石川氏がメールでおっしゃっているのですが、輪幅が広く広郭になるものはたいてい出来が良くおおぶりになるので、初出に近いものなのでしょう。一方、そうでないものは磨輪母からの産ですが、内径差についてはほとんどない状況です。あっても0.1~0.2㎜の範囲であると思いますので、ノギスの刃のあて方しだい・・・といったところでしょうか?計測値についてはここしばらく例外が出ていません。ちょっと退屈です。

【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.68g (累計620枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月10日
30枚計測。月末月初の請求事務が終わり仕事がとりあえず一段落。ここのところ計測作業はもっぱら早朝です。削尓2枚、破冠寛1枚が出現。目立つ書体変化は出ていませんし統計値はなかなか動かなくなってきました。計測前の集合体は3つのタッパーにいれています。明日からは最後のタッパーにとりかかります。なんとか今月中に計測を終えたいところです。


【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.68g (累計650枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月11日 ついに次鋳銭確認!
退屈な計測作業に、本日ようやく変化が!あきらめかけていた次鋳銭が満足できるレベルの状態で確認できました。勁永広寛は状態がいまいちで、内径計測に不向きなものが多く、また鋳造上のゆがみで縦径と横径に誤差のあるものも多いことから明確な次鋳銭は見出せていませんでした。本日見つかったものは、外径が小さいのに濶縁であきらかに文字が縮小しています。画像でも確認できました。659枚目の初検出です。ただし、この出現率は低すぎますので本当はもっとあるのでしょう。内径計測は非常に微妙なので0.2㎜程度の差異はある意味で誤差の範囲になると思います。その意味で、はっきり次鋳とできるものの存在は貴重なのかもしれません。
今回の発見を受けて、石川氏から送付されたサンプル(以前末炉銭とさせていただいたもの)を改めて検分しました。内径差が計測上0.2㎜ほどしかなく計測誤差の範囲としていましたが、結果は・・・外径が22.55㎜と極端に小さく、画像比較の結果はやはり次鋳で良いと判断しました。石川様・・・迷いましてごめんなさい。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計680枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
標準銭(比較用)
標準というより初出に近いもの。輪幅が広めで広郭になっています。

外径23.15㎜
内径18.8㎜
重量2.6g
次鋳銭
今回確認できたもの。外径は22.6㎜しかないのですが輪幅があって文字が縮小しています。今まで怪しいものはたくさんありましたが、計測上でここまではっきり出たのははじめてです。
実は寛冠に切れが確認できますので削尓の書体のようにも見えます。ノギスもきっちり入って計測が可能でした。

外径22.6㎜
内径18.4㎜
重量2.2g
磨輪小様銭(比較用)
次鋳として見間違いやすいもの。外径は22.8㎜あるので輪幅がとても狭くなります。内径は縮んでいません。

外径22.8㎜
内径18.8㎜
重量1.7g
末炉磨輪小様銭(比較用)
これも外径は22.8㎜あります。鋳つぶれ気味なのでこれを次鋳としたくなりますが内径は小さくありません。こんなにみすぼらしいのに重さは3.2gもあります。たしかに厚みもあるのですが、厚み以上に重くなっています。地金も柔らかく感じますのでおそらく鉛の配合比が多くなったためスレが多くなっていると思います。四ツ寶の本炉にはこのようなものが散見されます。

外径22.8㎜
内径18.8㎜
重量3.2g
 
4月12日 
朝から20枚計測して700枚到達!おめでとう、浩泉丸君よくやった!今回は仕事の関係もあって遅めですが着実に前進?してます。破冠寛2枚出現。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計700枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛の変種?
類似品は何枚か見ていますが、確証は持てません。陰起気味のものも多いし単なる鋳切れかもしれません。それに私は細かい手替りマニアではありません・・・と、書いたら大嘘だと言われそう。(こだわりはありながら大雑把な性格なのです。)
一種とすべきかどうかは迷うところですね。
いわゆる破冠寛本体は出現数も多く、加工に意図的なものを感じますので、一種として良いと思うのです。
 
4月13日
本日も朝から20枚計測。子供が小学校に行くようになり朝に少し余裕が出来てきました。
破冠寛2枚出現。このところやや出現率が増えています。破冠寛17枚、削尓8枚、瑕寶2枚・・・瑕寶は案外出てこない。グループ全体の出現率は3.75%です。

【本日の結果:通算平均】
外径23.02㎜ 重量2.68g (累計720枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月14日
出勤前に20枚計測。破冠寛1枚また出現。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計740枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月15日
本日は気合を入れて80枚計測。なんと破冠寛6枚、削尓1枚、瑕寶2枚出現。やはりサンプル集団に偏りが見られるようです。
破冠寛24枚 瑕寶4枚 削尓9枚

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計800枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
外径・重量別分布図
きれいな三角形状を示すように意外に規格は厳密だったようです。外径グラフの左側の裾野が広いのは後天的な磨輪が混じっているからだと思います。本銭規格は外径22.5㎜あたりが小ささの限界でしょう。
重量別平均外径
普通は右上がりになるのですがそうなっていません。
重量が重いものを意図的に削った・・・とも考えられます。
 
4月17日
出勤前に20枚計測。子供が保育園を卒業して生活パターンが変わりました。変化なし。

破冠寛24枚 瑕寶4枚 削尓9枚

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計820枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.30㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月18日
20枚計測。最小様出現・・・と言いたいところだが、盗銅磨輪だと思います。とりあえず記録には入れますが、正炉の加工とは思えません。もっとも以前の記録も怪しいもので、正炉の限界は22.5㎜くらいだと思います。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計840枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
 
4月19日
20枚計測して860枚まで到達。良いペースになってきました。外径が小さいものはでますが、次鋳は出てきませんねぇ。内径の0.2㎜大きいのはありましたが焼け伸びだと思います。破冠寛1枚出現。


【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.68g (累計860枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛25枚 瑕寶4枚 削尓9枚
磨輪最小様(外径22㎜)
これはもう盗銅ではないかと思います。ただし重量や内径は正規のものと同じです。
外径22.0㎜、内径18.8㎜、重量2.6g
譜外の破冠寛
偶然だと思いますが・・・

左:後大破冠寛
寛冠の後ろがごっそりないもの。

右:前後破冠寛
寛点の前後とも破れています。破冠寛本体の冠点後側が偶然鋳切れたものだと思います。
 
4月20日
20枚計測で880枚。やはり次鋳らしきものはないですねぇ。内径が若干小さそうなものはあるかもしれませんが差が出ない。破冠寛が1枚出現。これはもう入文みたいなものですね。


【本日の結果:通算平均】

外径23.01㎜ 重量2.68g (累計880枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛26枚 瑕寶4枚 削尓9枚
 
4月21日
20枚計測して900枚到達。終わりが見えてきました。次鋳は出てこないですねぇ。重量グラフをは富士山のような整った形に見えます。外径は後天的、人為的な手が加わりやすいのでグラフは多少崩れていますが、それでもほとんどブレが見られません。とくに大きい方の傾斜は急角度で、規格がきっちり守られていたことが分かります。これからみても上掲の厚肉大様銭の希少性は良く分かりますし、次鋳銭の外径が22.6㎜であることからこれもあまり出てこないものであることも予測されます。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.67g (累計900枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛26枚 瑕寶4枚 削尓9枚
外輪仕上げの不完全なもの
鋳ばりのある方向の最大外径(寛通‐永寶間)は23.75㎜ありますが、内径は17.75㎜ですので焼け伸びや焼け付きなどではありません。最小径(寛寶‐永通間)は23.1㎜ほどです。
鋳放しとまではいきませんが、鋳ばりの仕上げが不完全なのではないでしょうか?
 
4月22日
20枚計測。破冠寛1枚のみ。変動なし。


【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.67g (累計920枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛27枚 瑕寶4枚 削尓9枚
 
4月23日
20枚計測。とくに変化なし。毎日、出勤前の計測が習慣づいてきました。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.67g (累計940枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛27枚 瑕寶4枚 削尓9枚
 
4月24日
20枚計測。気になるもの1枚・・・細縁ぽいのですがよくわからない。計測してみると内径が微妙に大きそうに感じる・・・でもって画像計測。結論は・・・輪の立ち上がりのすっきり+銅色が明るいためすっきりしたものでした。残念。削尓らしきもの1枚。


【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.67g (累計960枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛27枚 瑕寶4枚 削尓10枚
 
4月25日
40枚計測し1000枚まできました。破冠寛は2枚出現。うれしいことに2枚目の次鋳が出現。1000枚で2枚目とはずいぶん少ないと思いますが、このサンプル集団のかたよりでしょうか?今回の発見物はいかにも末炉としか言えない風貌。大きさも22.45㎜しかありません。
ところで特に一種として分類はしていなかったのですが、文字が太く広郭気味のものと細字のものがあります。砥ぎの作業、ヤスリがけの作業の差だと思いますが、おおむね前者の方が作の良い物が多いと思います。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.67g (累計1000枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛29枚 瑕寶4枚 削尓10枚
太字と細字
画像にするとあまり差が無いような気がしますね。
次鋳銭
外径24.25㎜、内径18.3㎜、重量2.3g

こんな計測をしていなければ絶対拾わない!と、断言できます。次鋳銭は外径の小さいもので濶縁に見えるものを選んでいれば拾える確率が高いと思います。でも、これは本当に本炉銭なのかしら?
重量・外径分布図
相変わらず安定した数値です。今回の次鋳の22.45㎜が以下に少ない位置にあるか、このサンプル集団からの次鋳出現の期待値がが望めないかが分かると思います。

重量別の平均外径
これはあまり相関関係がなさそうですが、重い(厚い)銭の外径が意図的に磨輪されていることを示しているようにも思えます。3.9gはやはり異常値ですね。
 
4月28日
40枚計測。残り50枚くらいです。なんとかゴールデンウィーク中に終わりそうです。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.67g (累計1040枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛29枚 瑕寶4枚 削尓10枚 次鋳2枚
 
4月29日 ついに終了
35枚計測し、サンプルが終わりました。55枚は計測不能および誤混入の品。思ったよりばらつきがなかったのには驚きました。

【本日の結果:通算平均】
外径23.01㎜ 重量2.66g (累計1075枚の平均値)
外径23.50㎜ 重量3.90g (過去の最大値)
外径22.00㎜ 重量1.50g (過去の最小値)
破冠寛29枚 瑕寶4枚 削尓12枚 次鋳2枚
四ツ宝銭 勁永広寛のまとめ
平均外径23.1㎜。非常に安定していて23.4㎜以上、22.5㎜以下は稀です。小さいものには後天的な磨輪や次鋳銭が含まれています。次鋳銭の出現率は0.19%の2枚しかありませんでした。極端な軽量銭や重量銭も少なく、1.8g以下と3.4g以上はやはり稀です。出現しませんでしたが4g以上のものがあれば絶稀品だと思います。
破冠寛類の出現率は4.19%の45枚とまずまずの数。全体比で見ればおそらく文銭の入文レベルの存在率だと思いますが、破冠寛29枚に比べ削尓は12枚、瑕寶は4枚しか出現しませんでした。
磁性のあるものは皆無。銅色も保存状態によりますが大きな変化と呼べるようなものは少ないと思います。背郭はなぜか横長のものが目立ち、鋳造の癖が伺われます。また背輪は細いものがほとんどで、むしろ太めに鋳だされたものの方が少ないのですが輪際が不整形なものも散見され、刔輪と呼ぶべきものかは不明ながら母銭の修正を加えられた可能性もあります。
ただし、この点については背郭の横長になる癖がある点からも鑑みて、鋳造時の癖的なものも考えることから通用銭レベルでの判断は難しく、母銭レベルでの考察が必要だと思います。ちなみに母銭はとうとう出現しませんでした。(石川氏が選別済みですから・・・)
何度も書きましたがグラフの波形がいままでの四ツ寶銭の中で最もおとなしいには改めて驚きます。イメージ的には材質や規格はバラバラなんじゃないのかな・・・と思っていました。ただし、製作は安定しているものの、状態が良いとは絶対に言えません。もう少し状態がよければ破冠寛類や新種が見つかったのかもしれませんが・・・。
重量・外径分布図
ここまできれいな波形になるとは当初は予測できませんでした。

重量別の平均外径
異常値は除いてみましたが、おおむね右肩上がりですが、重いものはやや外径が小さくなる(磨輪される)傾向が見られます。それからもこの銭種がしっかり規格化されたものであることが伺われます。
 
 
新寛永通寶分類譜 古寛永基礎分類譜 赤錆の館
天保銭の小部屋 文久永寶の細道