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9.仙台石ノ巻銭の類 享保期以降推定 陸奥国牡鹿郡(仙台)石ノ巻 鋳造  
石ノ巻銭は背に仙の文字がある銭貨を代表銭として、かなりの長期間にわたり大量の銭を鋳造した銭座として知られています。鋳銭は銅だけではなく背千の鉄銭も有名で、その他にも無背銭も大量に鋳造しています。また、古くは猿江銭の仲間とされたこともある異書類も、存在量の東北地方偏在などの傍証からこの銭座であると推定されています。鋳造期は享保13年(1728年)以降という説が有力なのですが、正徳期鋳造開始説を唱える銭譜があるようにその内容は非常にバラエティに富んでいます。とくに後からこの類に加えられた異書の類は寛文銭なみの立派なものから粗末な末鋳銭まであり、書体の猿江銭との類似性からも享保13年以前からの存在の可能性を伺わせます。

背仙およびその無背銭類と異書に大別され、異書はさらに異書長通類と異書短通類に中分類されます。
 
仙台石ノ巻銭 【背仙およびその無背銭類】
マ頭通背仙            【評価 3】
仙台石ノ巻銭を代表する銭貨です。通頭がマ頭通で、しんにょうの折れが多い重揮通という独特の形状で分別は容易です。銅色は赤茶色のものがほとんどです。この類の最初期に少量つくられたものと思われ、産地荷札のように使用された思われます。制作は悪くないのですけど背仙がくっきりしているものは多くはありません。
重揮通背仙            【評価 6】
通頭がコ頭通になる以外は、前の銭と非常に良く似ています。ただし、銅色はやや黒味がかっているものが多いよです。背仙のものははいずれも無背銭100枚ざしの両端を留めて仙台鋳を示したものと言われています。
重揮通無背            【評価 9】
前銭と書体は似ていますが、実のところ型は全く別物です。通字の形状を見比べて下さい。銅色は赤茶系のものが多いようです。
重揮通無背            【評価 8】
仙台石ノ巻銭は大量に鋳造されたため細かな変化が非常に多く見られます。これはその一例で通字用画の右側柱が大きく欠落しているもので、通下やや永寄りの内輪にごく小さな凹みがあるのが約束です。
コ頭通背仙            【評価 5】
元文期とする銭書もありますが、制作、銭径から見ても同時期の元文期銭とはかなりの開きがあり、肯定しがたいものがあります。書体は大きく伸びやかになる反面、力強さがありません。通頭はコ通頭で普通のしんにょうです。背仙は最終画が跳ね、跳仙の通称もあります。銅色は黒茶系が多いようです。
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仙台石ノ巻銭類の拡大図
マ頭通背仙 重揮通背仙 コ頭通背仙
 
  
仙台石ノ巻銭 【異書短通の類】
異書短通 【評価 10】
異書の基本銭のはずですけど、大様銭も白銅銭もなくとても地味な存在です。通字用画が短くて寛冠の幅が狭くなります。短通類の中では一番寛足が長く、いわゆる高足寛になっています。また永フ画とく画の位置が高くなっています。
異書短通斜寶 【評価 10】
寶字がわずかに仰ぎ、また寛目が縦長でになります。
異書短通斜寶大様銭 【評価 7】
斜寶には母銭と見まごうような大様銭が存在します。銅質は黄色で、仕上げも立派で、文銭にひけをとらない出来ばえ。この類が正徳期までさかのぼるという説の根拠のひとつであり、少なくとも元文期銭にしてはありえない大きさだと思います。
直径は25o。
異書短通斜寶大様含白銅質銭 【評価 ?】
短通類にもごく稀に白銅銭が存在します。掲示品は母銭ではないかと思っているのですけど、勉強不足で類品を見ていないので何とも言えないところ。直径は24.9o。
異書短通斜寶白銅銭 【評価 1】
白銅銭。色調は純白に近いもの。私にとっても初見の品。
異書短通進冠(深背) 【評価 10】
寛の前垂れ部分がぐんと前に突き出る。寛の足の付け根がはっきりしない。書風はどことなく正徳期銭(佐渡銭や幻足寛)のものを漂わせているように思うのだが・・・。
なお、進冠には掲示品のように背が深彫りになったものが存在する。
異書短通進冠大様銭 【評価 7】
こちらも見事な大様銭です。古銭店などで間違って母銭として売っていることがあるので注意が必要です。この手のものは初期銭で、母銭のなりそこねか、祝鋳銭か、はたまたインフレ対策によるものかは定かではありません。とにかく、不思議なお金。
存在意義としてもっと評価されても良いとも思うのでsyが・・・。大型銭は必ず黄銅質になります。
異書短通進冠白銅銭 【評価 1】
純白銅質銭。短通の白銅銭は非常に少ないと思います。掲示品は深背です。
異書短通進冠寛(玉持断柱永) 【評価 8】
永柱の途中が玉状に切れるもの。
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