泉書探訪
 
【はじめに・・・】
本来、このようなHPを作成するに当たっては引用元を明らかにすべきなのでしょうがいい加減な性格なのでどこからの引用だか、聞きかじりなのかすっかり判らなくなってしまいました。このコーナーはそんな私のせめてもの罪滅ぼしとして、これまで参考にしていた文献を気ままに紹介してゆくものです。

※販売価格は改訂や消費税などの変遷によって変わりますので実際の価格ではありませんし、現在価格でもありません。
また、ページ数や拓図数はあくまでも目安だとお考えください。(版によってかわることもあります。)

評価は最大☆7つで行っていますが、あくまでも私の個人的な感想だとお考えください。はっきりいってきまぐれです。
希少度は 絶版本であっても古本市場に豊富にあれば低めに設定しています。
お勧め度は ①とっつきやすさ ②使用に当たっての利便性 ③主文献になりえるか などによって評価しましたが、実際の内容の豊富さとは関係ないものになっています。

マニア度は お勧め度では評価できないマニアならではの情報の網羅力、魅力を著したつもりです。

しかし、これだけ考えても例えば初心者向けの新刊参考書は評価が低くなってしまいます。調整を試みますがあくまでもこれら評価は参考値であることをお忘れなく!
 
※非常に熱心な文献コレクターのサイトです。
→ NUMISMATIC ROOM
 
 
【ジャンル:古寛永】
古寛永泉志(改定版) 編集・発行 増尾富房(穴銭堂) 
1976年 袋とじ製本 148P 706図 販売価格3000円
古寛永に関する泉書ではいまだにこれをバイブルにしている方が多いと思います。改訂版はピンクの表紙ですが、旧版は薄茶色だと思います。
古寛永の基本的分類(といっても非常に拓図が多く、初心者には難解ですけど)が一通り網羅され、泉譜あわせするにはこれ以上のものはないと言えます。私も毎日この拓図を眺め、ボロボロになるまで頭に叩き込みました。初心者にはちょっと難しいかもしれませんが、古寛永の入門書として今のところこれ以上の書物はないと思います。説明は簡潔で分かりやすく、的を射た内容です。発刊当時の状態のものは滅多になく、中古本でさえ入手難になってきていますが、古寛永を志す者は必ず入手しなければならないほどの名著です。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆ 
 
 
平成古寛永銭譜 編集・発行 山添春男
2007年 袋とじ製本 284P 2172図 販売価格7000円 
現在、もっとも入手しやすい古寛永の分類譜です。発行者は土佐貨幣研究会会長の山添氏。個人出版本ですが2000図を超える内容とずっしりとした厚みには圧倒されます。そんな意味で、ぜひエールを送りたい本ですね。細分類譜なので古寛永泉志に比べてもかなりの上級書に当たりますが、古寛永泉志や収集に連載された穴銭入門(古寛永編)に掲載されたものには、きちんと出典の番号が記載されて網羅されている親切設計。拓図がとても多いので、基本分類を行うための参考書というより、大分類確定後に改めて眺めて楽しむ副読本と考えるべきかもしれません。なかなか手ごわく、かつ読みがいがありますよ。入手方法はネット市場で検索するか土佐貨幣研究会にお問い合わせください。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
寛永通寶銭譜(古寛永の部)上巻 編著 谷巧二
2002年 袋とじ製本 付録余話付 販売価格5500円 205P
銭譜とありますが、前半はほとんど和同以降の防長の鋳銭事情の研究が延々と続きます。そして拓図はすべて長門銭だけ!
そうです、これは名は銭譜としていてもその中身は谷氏による、防長の鋳銭事情ならびに毛利家手本銭の研究であり、銭譜部分は分類のためではなく、手本銭研究はここまで進んでいるといった紹介だと心得てください。谷氏は四国貨幣教会の会長であり、古札や中国銭にも詳しい古銭のスペシャリストにして大研究家だと思います。これは立派な研究学術書・・・手本銭を収集研究する人には是非おすすめです。

別冊付録の余話も面白い!(私はこの内容が大好き!)
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
寛永通寶銭譜(古寛永の部)下巻
2002年 袋とじ製本 付録余話付 販売価格6500円 274P
前作の続きで、こちらは長門銭座以外のすべてを網羅しています。かなりの上級書で、谷氏独自の研究と考察に大胆に銭籍が移動させられているので、初めて読む方はちょっととまどうかもしれません。古寛永泉志で勉強した方は迷子になってしまいそうなのですが、谷氏の長年の研究の結果の結論としての移動ですし、研究の深さを感じます。これについては私の古寛永のHPにも言えることで、現状の古寛永の分類名と実際の鋳造地はどうもうまくかみ合っていないので、なんとかしなければならないのです。
拓図の多さは山添氏の平成古寛永銭譜と張り合っていますが、こちらは細分類と言うより再分類と言うべき内容でもあります。その再分類根拠を知るだけでも楽しく、付録の余話は読み物としても秀逸です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
久泉研究資料①~⑥ 編集 衛藤照久 発行 坂井博文(大分貨幣研究会)
1997年~2005年 袋とじ製本 
第一巻 古寛永 高田銭 水戸銭 仙台銭 
第二巻 古寛永 水戸銭 仙台銭
第三巻 古寛永 竹田銭 芝銭 坂本銭 吉田銭
第四巻 古寛永 岡山銭 不知降寶銭 不知長尾永銭
第五巻 古寛永 長門銭 鳥越銭
第六巻 古寛永 御蔵銭 松本銭 建仁寺銭 沓谷銭

九州貨幣研究会の別府大会のたびに発刊されている資料でありながら、その内容は第1級のものと言えます。徹底した数の計測値の掲載であり、計測値比較資料としてはひんぱんにお世話になっています。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
 
古寛永銭拓本集 編集・発行 山添春男
1996年 袋とじ製本 166P 約1600図
寛仙堂山添春男氏が還暦を前にして出版した記念泉譜。分類譜ではありますが説明文はなく、本当に拓影集です。個人作成の本であり、これが後の平成古寛永銭譜のベースになっていると思われます。関係者に配布したものなのですが収集を通じて短期間、販売したと思われ、私もそのとき購入したように思います。購入価格は3500円ぐらいだったと思いますが定かではありません。
古寛永泉志よりも拓図が多いので、古寛永泉志で分類した後に私はさらにこれを開いて楽しんでいました。そんな使い方をお勧めします。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
古寛永岡山銭泉譜 編集 山路泰生 吉備古泉協会
1973年 袋とじ製本 限定500部 156P 315図
特定分野に特化した分類としては、最たる泉譜だと思います。古寛永の岡山銭と言えば、比較的整った書体であり、微細変化はあるとは思いますが、長嘯子や良恕ならまだしも地味な雑銭までここまでやるかぁ・・・と思うほど突っ込んでいます。当時の岡山県内の古泉熱はすごかったことの証明にもなる一冊でしょう。
現在では谷氏の説や発掘事例など、銭籍移動も必要かと思われるものもあるかもしれませんが、そんなことはさておき、先人の意気込みを感じていただきたい。発行部数も比較的多いので古書界をさがせばきっと状態の良いものが見つかると思います。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
寛永通寶(古寛永銭)大分類の手引き 編集 赤羽根秀一 監修 原山一郎 
発行 古仙堂 
1976年 袋とじ製本 156P 
最近、書信館出版から古寛永のいろは・・・という本が出版されましたが、これはその先駆けと言うべき本です。古寛永の初心者を対象とする書であり、特徴としては専門用語の解説にかなりのページを割き、難しい字にはルビがふられていること。そして文字が大きくとにかく読みやすさを優先しています。
古寛永はとにかく難しくとっつきにくい・・・そこでなんとか初心者でもわかるように特徴を中心に解説したい・・・そんな意気込みがひしひし伝わってきます。
ジャンルとしては特殊で泉譜というより入門解説書であり、古寛永泉志をひもとく前の副読本であると考えた方がよろしいでしょう。私はこの本で御蔵銭の基本分類を覚えました。版元は今も駒込にある古仙堂さんです。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆
 
 
穴銭入門 収集事始記 古寛永銭のいろは 陽泉 松尾吉陽 編著
発行 書信館出版㈱ 
2010年 洋装製本 96P 販売価格2000円
編者「千木永さん」こと陽泉、松尾吉陽氏の古寛永収集記。古寛永初心者の千木永氏が、周囲の協力を得ながら難解な古寛永の収集を始めてゆく記録です。
どちらかといえば随筆的な内容なのですが、収集の苦労や失敗話を初心者目線から記述してあるのでなかなか微笑ましい内容になっています。
古寛永は難しくてとっつきにくいイメージがありますが、逆説的に言えばそれだけ勉強ができるジャンルであり、かつ以外にも安価で基本的収集ができる魅惑の分野でもあります。かくして初心者「千木永氏」は未開の荒野に繰り出して行くのです。はたしてどうなるやら。
希少度☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆
 
【ジャンル:古寛永・新寛永】
寛永通寶銭譜(再改定版) 編集・発行 小川浩(青寶樓)
1972年(初版1960年・再版1967年) 四つ目とじ和本外箱付 186P 888図
販売価格3000円
古寛永・新寛永の代表銭を載せた小川青寶樓渾身の一冊。古寛永と新寛永分類はこれ一冊で足りるともいえます。泉譜としての完成度が高く、古寛永についてはその後に古寛永泉志が出るまでは追随を許さなかった内容でした。新寛永についても細分類が掲載されていて今見ても役に立つ内容です。ただ、一つ難点を言えば、青寶樓独自の研究と感で、元文期の不知銭にも銭籍を与えていて、手引で学んだ私にはどうしてもこれが馴染めない一面でした。また、説明文はごく簡略なので初心者にはかえって判りづらいかもしれません。とはいえ内容は一級品。実用的で眺めても楽しい分類譜です。古本市場にはよく出てくるようで、外箱付、和装紐とじ・袋とじの装丁はこれぞ高級銭譜(実際は求めやすい価格であったと思いますが)といった主張を存分に醸し出しています。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
大島延泉氏寄贈 寛永通寶弐百撰 日本貨幣協会 (大島延之)
1997年 袋とじ製本 62P 200図
追悼記念泉譜でもあり、かつ日本貨幣協会の40周年記念泉譜でもあります。大判で銀色の和紙の装丁は豪華な印象を受けます。内容は大島氏が昭和41年日本貨幣協会に寄贈した2000点あまりの寛永銭の中の選りすぐりです。古に習い寄贈にあたりすべての古銭に小刻印を打っていますので、もしこれが流出したらすぐにこの原品だとわかる状況です。延泉氏といえば明和俯永面背刔輪の発見が名高く、当然のことながらその原品も拓の中に見ることができます。
本業は飾り職人であり、晩年は千葉県にお住まいになられていたようですし、市原市との市境にあった誉田2丁目地域の千葉市編入運動の中心人物であると知りました。私の家のかなり近所なので驚いております。
希少度☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆
 
九州貨幣協会 創立四十周年記念泉譜 発行 大分貨幣研究会
編集責任者 衛藤照久 発行責任者 坂井博文 
2007年 袋とじ製本 100P 頒布価格4000円
記念銭譜は数多くありますが全編が寛永通寶のみというのが大分貨幣研究会ならではのこだわりと言いますか、遊び心でしょう。さすがに全国から選りすぐられた拓本の寄与があったようで、寛永銭マニアにとりましてはなかなか楽しい泉譜に仕上がっています。
記念泉譜というジャンルにしては個性が強すぎると思う方もいらっしゃるでしょうが、私はこのような泉譜があっても良い・・・と拍手喝采で迎えた口です。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:新寛永】
新寛永通寶図会 編集・発行 工藤裕司 ㈱ハドソン・東洋鋳造貨幣研究所
1998年 洋装製本 140P 736図 販売価格5000円
ハドソンは北海道を拠点としたアミューズメント&ゲームの会社。そんな会社がなんと古銭業界に進出した・・・それはまた驚きでした。ややマニアックな内容ながら、当時の新寛永通寶分類の最先端を行っていた記念碑的な本でした。とりわけ内径計測による細縁銭・次鋳銭の存在や文銭や密鋳銭類の細分類を広く収集界知らしめたことは、古泉界を活気づける結果になりました。私にとっては収集意欲に火をつけた思い出の泉書でもあります。名前は図会と古風ですが洋装で光沢紙を使っていますのでなかなか丈夫。これもボロボロになるまで読みふけました。なお、編集・発行人は工藤氏になっていますが実質的な編集作業は当時の研究員の石川諄・増尾富房氏などがかかわっていたと思われます。新しい割に意外に入手難。見つけたら即購入をお勧めします。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆ 
  
※実質的な編集者の石川諄氏による「新寛永通宝収集リスト2009」なら、ほぼ同じ内容のもので3000円程度で購入できます。(大和文庫のサイトなどで販売中)
 
喜寶古希記念 寛永銭譜 編者 木田利喜男 発行 書信館出版㈱
2015年 洋装オールカラー製本 93P 460図 販売価格5400円
新寛永通寶収集家として名高い木田利喜男氏の個人記念泉譜ながら、オールカラー+拓本により再現している意欲作です。画像の多くは2004年の3月から収集誌上に連載されていた貨幣クローズアップ寛永通寶の画像を彷彿とさせるものばかり・・・たぶん、同じ画像を使用したと思われます。
無駄な解説は一切なし・・・これは新寛永の絵本であり、自分で学び想像して楽しむものだと思います。上級者ならばこれと同じものを絵合わせのように集める泉譜合いを試みるのも良し、一人寝床で眺め夢を見るのも良し・・・楽しみ方は人それぞれです。何気ない雑銭から見たことのないような珍品・奇品のオンパレードです。
希少度☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆ 
 
穴銭入門 寛永通宝-新寛永銭の部- 静岡いづみ会編 書信館出版㈱
1992年 洋装製本 162P 885図(改定第3版) 販売価格3500円
初版発行から20年が経過しましたが、改訂もされ未だに色褪せぬ内容です。従来の泉書がどちらかといえば拓図を中心とした内容であり、説明文が初心者にはややわかりにくかったのに対し、この書は製作や銅色にまで言及していて、また、由来についての記載もある上に、母銭と子銭の比較拓図の掲載もあって本当に親切な内容です。新寛永を志す者は必ず入手しなければならない泉書であり、この先に穴銭収集がある限り存在し続けるべき入門書・良書でもあります。
なお、3版は2版以前と内容が若干異なり、第2版までにあった打印銭や試鋳銭らしきものが省かれ、代わりに安南寛永や密鋳銭がかなり増強されています。余裕があれば2版以前もご入手することをお勧めします。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆ 
収集誌1988年4月から1992年5月までに連載された「静岡いづみ会編 穴銭入門 古寛永の部」はいまだに製本化されておりませんが、古寛永の分類研究としては最も充実しています。総ページ数で200P弱の内容になると思いますが、古寛永収集をされる方はぜひ一度目を通すことをお勧めします。
 
新寛永銭鑑識と手引 編集 小川吉儀 
発行 陸原(太田)保(万国貨幣洋行)
1957年(初版) 四つ目とじ和本 108P 350図 販売価格1200円(第5版)
私がはじめて買った専門泉譜。第5版は昭和48年に出ていますが、泉書でそこまで版を重ねるのは大ベストセラーと言えます。これを購入したのは中学生頃で、寛永銭1枚10~20円ぐらいで買っていたので、かなりの思い切った出費だったと思います。拓図に解説文、そして位付が載っている泉譜の代表です。一方で、たとえば文銭では(繊字)小文は載っていても狭文は解説文の中にしかないなど省略も多々見られますので、拓図のない手替わりに想像力をたくましくして追いかけた思い出があります。現代ではこれより判りやすく入手もしやすい解説書がありますので、あくまでも補助的な泉譜にすぎませんが、ブームをつくった記念碑的な泉譜として名を残すものであると思います。
希少度☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆
 
新寛永拓影銭譜(復刻版) 編集 高草敬介(虎泉洞) 
改訂・発行 竹田四郎
1981年(復刻版:原版は1966~1969年頃) 四つ目とじ和本 100P 506図
原本は昭和40年頃から同好の士の間だけに頒布されたガリ版刷りのミニ泉譜で、岡山の高草氏が作成したものだと序文にあります。本泉譜は復刻版と銘打ってありますが、内容は竹田氏によって改作が試みられています。すべて手書き文であり、コピーも粒子が粗くやや読みづらいのですが、解説が的を射ているのと、従来あまり顧みられなかった、大様銭、磨輪銭、銅替りなども網羅されていて、手引きで感じた物足りなさが解消されている一冊です。ただし、原本も30部程度しか作られておらず、この復刻版も手作りコピー製本なので相当な希少本だと思われます。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
新寛永拓影集 編集・発行 竹田四郎(竹泉堂) 
1984年 袋とじ製本 166P 580図 
上記、新寛永拓影銭譜が好評だったためその改作を竹田氏がつくったもの。そのため、裏表紙では改訂版とうたっています。1Pあたりに拓図を4枚掲載して解説量をぐっと増やしています。例によって銅替りや大様、磨輪、手替わりなどにも言及していて、個人的にはとても好きな泉譜でなかでも手引ナンバーとの比較や大様のサイズを明記しているのがうれしい。一方で、なにぶん希少な資料なので汚すのが怖くて最近はあまり読めません。こちらも解説文はオール手書きコピー。手作り感は満載なのですが、レイアウトなどの配置が上手で非常に読みやすい逸品です。完成度は非常に高く、見つけたら絶対に見逃さないで購入することをお勧めします。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
新寛永拓影全集(ワープロ版) 編集・発行 竹田四郎(竹泉堂)
1988年 和装袋とじ製本 160P 574図
こちらも巻末では改訂版をうたっています。3部作の中ではもっとも製本技術が高く、表記にある通りワープロによる活字製本になっています。印刷も明瞭で配列なども改めていて泉譜としての完成度は非常に高い。しかし、希少さに加え美麗本なので前作以上に私は怖くて開くことができないでいます。
真贋見分け、書体特徴に関する言及は穴銭入門に勝るとも劣らず、いわゆる泉譜合いの完全収集を目指す場合にはお手本となる一冊だと思われます。個人で作成した新寛永泉譜としては最高傑作でしょう。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
新寛永泉志 編集・発行 増尾富房(穴銭堂)
1986年 袋とじ製本(限定100部) 84P 469図
古寛永泉志刊行から10年、手引き作者の小川吉儀氏に勧められて増尾富房氏が作成した新寛永の分類譜です。巻末に限定100部、「後日活字本仕上り候節は此の書と相引換申上げる者也」と手書き文字が印刷されています。表題はもちろん、中の解説もすべて手書き文字で、1Pあたり約8図の拓が掲載されています。そのため、この種の分類譜としては超コンパクトに仕上がっており、製本技術の向上のためか厚さも1センチありません。でも内容は豊富で、拓も明瞭、解説も適格と言うことなし。この泉譜が実用的には最高だとおっしゃる方もいます。残念ながら活字版を見たことはなく、100部の試作で終わってしまった可能性が高いのですが、一見の価値ある泉譜です。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
新寛永通宝カタログ 編集・発行人 白川昌三
1987年 初版 販売価格1000円 144P
1990年 再版 販売価格1500円 148P  洋装製本
私がこの文献の存在を知ったのは意外に遅く、日暮里の隆平堂さんの店頭で非売品でした。拓図と簡単な説明のカタログでしたが、手替わりが載っていることに加えて母銭と通用銭の内径、外径がひとつひとつ記入されているのがなんともうれしい一冊です。泉譜としてはもっと使いやすいものはあるかもしれませんが、この内外径計測の母子比較ができる・・・というのがこの本の最大のポイントになっています。
それから古書サイトやネットオークションで探しまくり、2タイプの表紙のものをGETしています。白川さんは現役の古泉家で、つい先日も「寛永通宝 正字勁文の巻」という小冊子を上梓されました。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
寛永通宝 正字勁文の巻 編集・発行人 白川昌三 発行 若富士社 
2012年 販売価格2000円 40P カラー洋装製本
1987年の新寛永通宝カタログ発行から35年の沈黙を破って発行された細分類譜です。正字勁文の巻というからには当然のことながら続編が出ることが期待できます。
小冊子ながら、前頁がカラー印刷であり、紙質もカタログ用の硬質なつや消しの上質紙を使用しており、意欲が見える一冊です。分類は兄弟銭を中心にあらゆる分類ポイントが記載されており、文銭の耳より話と並び文銭細分類研究を行う方に関しては必読の書でしょう。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
新寛永通寶 文銭カタログ 編集・発行人 白川昌三 発行 若富士社
2014年 販売価格2500円 66P 259図 カラー洋装製本
正字勁文の巻から2年、その続編が出た!・・・と思いきや、続編と言うより改訂補強版+αといったところでしょうか?前作に加え、文銭全体の手替わりについての研究記述があります。
ここまでくるともう執念すら感じられる力作。現時点においてここまで細かく手替わりを精査したものは、収集誌に文源郷氏が連載したものぐらいしか記憶がありません。
この完収を目指すには・・・20年はかかるのではないかしら?文銭マニアは感染覚悟でお読みください。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
 
新寛永通寶図解譜 編集・発行人 白川昌三 発行 若富士社
2015年 販売価格3500円 160P 436図 カラー洋装製本
ここ数年、突然長年の眠りから覚めたように泉書を発行している白川氏の第4弾は、新寛永通宝カタログの再構築でした。書体をトレースして拡大。基本図解として掲載説明する工夫を取り入れています。書体変化を観察・分類する文献としては最高のアイテムと言えます。
新寛永通寶の収集入門のための文献として自信を持ってお奨めできるものだと思います。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
 
文銭の耳より話(第1作~第5作) 米田実
1992年~ 洋装製本
文源郷米田氏と言えば、寛永通宝文銭の細分類に命を懸けた研究者。第一作は入札誌鈴鹿に掲載していたものを補正して収録したものだそうです。流文手、天狗寛永の手替わりから、縮字系の書体の違いなど文銭マニアのためのマニアックガイドになっています。さらに2、3作は「銭体ブロック分類図法」を紹介し、濶縁銭や細縁銭などの定義・分布を紹介。4作は島屋文特集であり、第5作の巻末の文銭事始めは、文銭書体の見分け方の基本が載っていて、これ、私が次にHPに書きたかったことなんですけど書いたらパクリ盗作になってしまうかも。もちろん手替わりはたくさん。小冊子ながら読みごたえは十分です。現在、文源郷氏は収集で連載をしているので小休止中ですけど、その記事とまとめて出版されるんじゃないかしら。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆

 
久泉研究資料⑦背文銭 編集 衛藤照久 発行 坂井博文(大分貨幣研究会)
2007年 袋とじ製本 160P
久泉研究資料と言えば古寛永の資料として名高いのですが、第7巻は新寛永・・・それも背文銭に特化した資料です。前述の古寛永の部と同様に徹底した数の計測値の掲載であり、計測値比較資料としては第一級の資料です。文銭のことで母銭か通用銭かを聞かれて迷ったら私はまずこの資料を開いて基本サイズを確認します。細分類のポイントが書かれているわけではありませんが、他と比較する作業においてはこの本時書かれているデータは本当に役に立ちます。分類資料ではなくあくまでも研究資料なのですが、役に立つことはお約束できます。文銭マニアにはおすすめの一冊です。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
 
寛永文銭新分類草稿 三鍋昭吉(富山貨幣研究会)
1987年 袋とじ製本 34P 83図 無償配布?
はじめて富山貨幣研究会のお店に行った時の印象は鮮烈でした。文銭をこんなにこまかく分類している・・・と、それから間もなくこの本をタダで頂戴しました。富山貨幣研究会の創立20周年の記念研究発表です。夢中で読みましたね。三鍋氏独自の呼称がついていますが、原稿分類に当てはめることも可能ですし、なによりわずかな書体の癖を見逃さない姿勢に感銘を受けました。
私にとっては練習になった一冊ですし、それから富山貨幣研究会さんのお店には(最近はあまり買っていませんが)ずいぶんお世話になりました。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆

 
第28回九州貨幣協会別府大会 研究発表要項(ユ頭通ども)
東九州貨幣研究会 1995年 洋装製本64P 編集責任者 坂井博文 発行責任者 大野景明
タイトルで分かるように島屋文系銭の徹底比較(衛藤照久氏)と背文銭分類譜(安達薫氏)と発表会員愛蔵の品の展示の愛泉譜(文銭ばかり)と、これでもかという徹底した内容です。加治木洪武通寶図譜(坂井博文氏)も九州のマニアならではの力作でこれだけで加治木洪武通寶の分類ができてしまうほどの内容です。文銭関係の資料は後の久泉研究資料にそのまま引き継がれていると思いますが、研究発表としては素晴らしいの一言。絶賛されるべき労作で一見の価値のあるものだと思います。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:文久永寶】
文久永宝分類譜(復刻版) 編集 小林茂之(細道の会) 天保堂発行
発行年不明 袋とじ製本 72P 販売価格3500円
新しい本の割に奇観本です。この本は細道の会「恋泉」旧号に掲載されたものを集めて再編集したものだそうで、系統だって並んでおり分類は非常に分かりやすく、文久銭の細分類を目指すのなら絶対入手したい一冊です。しかし、もともと文久永寶を収集するマニアは少なく、そのため発行部数そのものがあまりないので、かなりの入手難だと思われます。私は偶然ネットでこの存在を知り、猛然とアタックしてついに入手に成功しました。正確には数えていませんが拓図は200近くあります。文久収集を志す方は見つけたら絶対に逃さない気持ちでいてください。個人的には再版あるいは収集での再連載を願う内容です。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
文久泉譜 著者 相澤平佶(南柯) 巌南堂書店
1967年 洋装ハードカバー製本外箱付 106P 137図 販売価格1000円
序文・あとがきにもある通り、文久銭の専門書がこの世に存在しないため、筆者が手探りではじめた力作です。その意味では分類の系統だてなどがあと一歩と言った感もあるのですが、文久童山本右衛門氏もなしえなかった泉譜編纂事業を短期間で達成した点を含め、歴史的な文献の一つと言えると思います。
大珍品の小字の類がなかったり、分類名現代のものとは異なりますが、文久永宝分類譜が入手難なのでその代替品として大いに役立つものでしょう。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆ 
 
文久永寶(BONANZAミニ入門1) 発行者 大井雅夫(ボナンザ)
1974年 洋装中とじ簡易製本 64P 56図 販売価格150円
収集分類の秘伝を伝授・・・という意気込みでボナンザ誌が銘打って発売したミニ本。相澤本を基本として対比していますが、相澤本に掲載されていない手替わりもたくさん載っています。1974年は収集誌との競合がはじまる直前の頃であり、コインブームも成熟期だったと思います。大量発刊されたようですが意に反して売れ行きは芳しくなかったようで私の入手品も古銭店のデッドストックです。しかし、こんなに小さくても十分使えますので、文久永宝分類譜入手までのつなぎにどうぞ。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆
 
 
文久永宝周遊会1 編集責任者 坂井博文 文久永宝周遊会
2018年 洋装製本(和風) 250P 240図 販売価格6500円
唐松堂 坂本浩児氏の呼びかけで始まった文久永寶に関する研究会は、九州全土に飛び火して、ついには文久永宝周遊会として全国規模にまで拡大しています。私は坂井氏の呼びかけに何気に文久の直永類を送付したところ、会員の末席に入れられておりますが文久の細分類は未だにど素人級。なんとなく気に入ったものを集めている程度なので恥ずかしいったらありゃしない。この泉譜はその研究会に出品された240枚の珍品奇品が一堂に会したマニアのための記念泉譜です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆ 
 
【ジャンル:天保通寶】
天保通寶と類似貨幣カタログ(本編) 編集 天保通寶研究会 書信館出版㈱
2007年 洋装製本 117P 281図 販売価格3000円
実質的な著者は天保通寶四天王のひとり、板井哲也氏です。この泉譜は中級者クラスのための分類譜であり、書体の違いを特に重視した収集を目的にしていると思います。なかでもこだわりは薩摩広郭の細分類。この微差が分かるようになるには時間がかかるかもしれませんが、難しかったら読み飛ばしてもかまいません。私にとっても収集視点が変わった気がしました。A5版サイズは携行にとても便利で、瓜生氏の当百銭カタログかこれを古銭会に行くときによく持ち歩きます。最近、天保通寶の人気が高くなったのはこの本と無関係ではないと思います。初心者用の基礎編(32P 520円)もあります。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆
 
天保通宝・琉球通宝 当百銭カタログ 瓜生有伸(天保堂) 天保通寶研究会
1995年 洋装製本 179P 450図 販売価格3000円
A5版の小さな泉譜ながら天保泉譜をはるかにしのぐ450図も掲載されているなんて誰が想像するのでしょうか?したがってこの泉譜にしか掲載されていないものもあり、例えば細郭手異書体などはこの泉譜が手元になかったら気が付かなかったかもしれません。
説明文は極簡潔にポイントだけ記入されていますが判りやすく、何より銭文径などの計測値が掲載されているのがありがたいです。少し前までは古銭店でよく見かけたのですが最近はほとんど見なくなりました。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆
 
天保泉譜(複写版) 編集 勢陽古泉会 発行(複写版) ㈱古仙堂
1974年(複写版:原本は1956年) 洋装袋とじ製本 116P 307図 
販売価格3000円

私が初めて購入した天保銭の専門譜であり、内容的にも非常に充実していて今でも使えますし、学生時代の愛読書と言って良い存在でした。原本は翕霞 大橋義春氏を中心に編集が行われたもので、勢陽古泉会5周年と佐野英山翁の喜寿を記念して出版されたものでもあります。原本は奇観本でありますが、複写本は広く流布していて、天保通寶収集ブームの火付け役になったともいえます。
出版元は東京駒込の古仙堂さんで、もしかすると今でも店頭で購入が可能かもしれませんし、ネットで検索すると古本はたくさんあります。添付資料も多いし、なにより不知銭の拓図が多くて楽しい。現代基準に比べて若干銭籍の変化はあるものの、入手しやすく分類に使って良し、眺めても良し、とてもバランスの良い内容です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
大橋義春・当百銭研究分類譜(復刻版) 編集 大橋義春
発行 瓜生有伸(天保堂) 
1985年 袋とじ製本 268P 630図 
販売価格6000円
原本は昭和13~19年にかけて200部ほど制作された私家泉譜であり、それを瓜生氏がコピー製本したものです。この原本は天保泉譜の底本になっているというのがもっぱらの評判ですが、天保泉譜にはない細分類などもあって眺めて面白い内容です。ただし、解説は大橋氏独特の毛筆で書かれていますので、慣れないと目が疲れてしまうという難点があります。あくまでも私家本ということで所有品の細分類と展示が主眼でありますので合理性を追求した最近の分類譜とは少し違うおもむきがあります。それでも古の研究家がライフワークとして手作りした力作ですので、一見の価値は十分にあると思います。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
  
 
天保銭雑事(コピー版) 編集 大橋義春
袋とじ製本 505P 発行1985年以前(推定)
当百銭研究分類譜発刊以前のもの。おそらく当百銭研究分類譜の元稿になったものと思われます。全体に空欄が多く配列も未整備。ただし、ページ数は非常に多く随所に挿話的な資料添付も見られます。
この本は南部古泉研究会のS様から購入したもので、天保仙人情報によると都内の古泉家M氏による原本のコピー版のようです。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆

※増尾富房氏の私家本(無許可コピー版)
新訂天保銭図譜 編集・発行 小川浩(青寶樓)
1975年 四つ目とじ和本外箱付 120P 239図 販売価格5000円
昭和10年に原本が世に出ていたものを、改定編纂したもの。同時に銭籍を大幅に移動させています。
ご存知、青寶樓小川浩氏の代表作といって良い泉譜で、改定によりライバル泉譜に対抗して細分類に言及して拓図をを大幅に増やす泉譜が多い中、この泉譜は流されることなくむしろ拓図を絞り、ゆったりとした配列を実現しています。ここにある分類が現在の天保通寶の基本的分類になっていますし、天保仙人も本譜を最も多用しているようです。一方で贋作の噂のあった海南之券の拓図を外したり、薩摩広郭深字を広島鋳と仮に定めたり、グリコ天保を紛れ込ましたりと、大家ならではの英断と洒落も見受けられます。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆
  
天保通寶鑑識と手引 編集 小川吉儀 発行 陸原(太田)保
(万国貨幣洋行)
1969年 四つ目とじ和本 56P 134図
寛永通寶鑑識と手引の姉妹本です。版数も多く古本市場にもっとも存在する泉譜のひとつだと思われます。この表紙の黒いタイプは1969年版で古本市場で調べると1962年、1966年、1971年、1973年まで確認できました。表紙は版によって色が異なり、銀色、茶色などもあったと思います。
各藩の代表的な分類が掲載されているだけですが、細分類はともかく大分類を行う分には十分な内容だと思います。ただ、さすがに現在の分類研究とは乖離してしまうと思いますのであくまでも補助的な泉譜だと考える方が妥当だと思います。
希少度☆ お勧め度☆☆ マニア度☆
 
英泉村上英太郎 天保通寶研究分類譜 全六巻
1998年 四つ目とじ和本 外箱入り 非売品 限定60部 1766図
村上氏が平成10年10月10日に、収集の集大成にと蔵品の2800品あまりのうちから選び出した極上品の拓本集。入手に至った時のエピソードがメモとして記述されています。私の今のコレクションの中にこの譜原品がたくさん紛れ込んでいます。
美術品ともいえるほどの上質和紙にしわしわ加工の入った上品な白銀色の表紙。私の泉譜収集品の中でも最も価値のある品だと思います。ここまでくると開いて眺めるのももったいなく、普段は宝物としてビニール袋に入れてしまってあります。
ただ、問題があり、我が家の馬鹿猫がなぜかこの本の紐にひどく執着して紐をかみ切りに来るのです。この馬鹿猫がいるかぎり、この泉譜は安心して机の上で開けません。できれば復刻版が出るのを望みます。持っているだけで自慢できる逸品です。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
不知天保通寶分類譜 編集 瓜生有伸(天保堂) 天保通寶研究会
1978年 袋とじ製本 販売価格各5500円 限定300部
上巻(細郭手241図・中郭手64図・広郭手143図) 219P 
下巻(長郭手526図)213P 別巻(その他520図)202P
この本は天保通寶研究会の15周年記念事業として上梓されたもので、分厚いうえに3部作で拓図はざっと1500はあろうかという力作です。天保通寶の不知銭に関する文献としては今でも他の追随を許さないものであり、最高にマニアックな内容ながら、図を眺めているだけで楽しくなる逸品です。天保通寶の不知銭、絵銭収集をやるならまず目を通しておきたい文献ですが、一度入手した方はなかなか手放さないのでかなりの希少本だと思われます。贋作や覆輪刔輪などの手法関する研究も面白い。読んで良し、使って良しで個人的にはお勧め度MAXの本です。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆ 
 
琉球通寶銭図譜 編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1984年 袋とじ製本 85P 販売価格4000円
泉譜部分は38Pで残りは研究論文が続きます。一つのジャンルに絞った泉譜はなかなか構成が難しいものですが、小品ながらうまくまとめています。琉球通寶銭は薩摩藩がしぶる幕府を剛腕で説き伏せて発行許可を取り付けたもの。背景には当時の絶対的特産品のサトウキビの存在があったそうです。
細分類譜といえばそれまでですが、代表銭を集めて満足していた私の闘志を再び燃やしてくれた泉譜です。ジャンルが限られているため発刊部数はあまりないと思いますが、丹念に探せば売れ残りは見つかると思います。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
幕末諸藩 天保銭の鑑定と分類 編集 瓜生有伸(天保堂) 天保通寶研究会
1983年 袋とじ製本外箱付 146P 販売価格4500円
文字通り、天保通寶を見分けるための秘伝と言うべきコツが随所に記されています。真贋鑑定のポイントなど当時の最先端情報が盛りだくさんですので読み物としてもなかなか楽しいものがあります。
例えば石持桐極印の形状違いの研究や、福岡離郭についての細分類、背異と繊字の違いなど、判っているようで判らないことが丁寧に解説されていますので大変勉強になります。補助的な参考文献でありながら、天保通寶収集を志す者にとっては最高の情報源だと思います。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
天保通宝母銭図録 編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1988年 袋とじ製本 161P 販売価格6000円
天保通宝研究会創立10周年を記念して出版された、母銭にほぼ特化した研究譜です。母銭のサイズが記載されていますし、また、ほぼ見ることのできないであろう国内の大珍品を想像できるのは素晴らしい。したがってこれも分類譜ではなく、研究読本であり、記念泉譜でもあり、眺めて楽しむ本です。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
天保通寶銭分類譜・天保通寶銭の研究 編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1992~1995年 配本 毎号2巻(天保通寶銭分類譜・天保通寶銭の研究)×9回 袋とじ製本
序文によるとこの小冊子は、瓜生氏が発表した「天保銭百話」(昭和53~56年:ボナンザ)ならびに収集や月刊天保銭に掲載された小論文などをまとめたものということで、一部は當百銭カタログや不知天保通寶分類譜など瓜生氏の手掛けた出版物にも掲載されています。また、天保通寶銭の研究は1996年3月1日に製本化され発売されていますが、天保通寶銭分類譜は未だに製本化されていない幻の泉譜です。と、いうのもこの配本事業が完了した翌年に瓜生氏が急逝されているからで、次に掲げる天保通寶銭の研究が瓜生氏の最後の出版物になります。配本は平成4年~平成7年までの9回18冊。この配本の編集が瓜生氏最後の大仕事でもあったようです。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
天保通寶銭の研究 編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1996年 袋とじ製本外箱付 販売価格5000円
天保堂瓜生氏が天保銭事典上梓後にボナンザ誌上などに連載していた記事などをまとめた天保通寶研究書。泉譜ではなく歴史研究書であり、それもかなり詳細な内容までつっこんで調べられています。
天保通寶誕生までの紆余曲折、各藩の天保通寶密鋳の動きや鋳造許諾を得るための工作など読み応え十分です。この本を出版した月に瓜生氏は亡くなっていますので氏の最期の出版物になりました。
なお、同じ名前の小冊子が天保通寶分類譜という小冊子とともに1992年ごろに天保銭会会員に配布(販売)されており、この本の原本のようです。(九州のS氏のご厚意により、全巻そろえることができました。)
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
天保銭事典 編集 瓜生有伸(天保堂) 天保通寶研究会
1976年 洋装ハードカバー製本外箱付 
瓜生氏の研究の集大成の一冊。泉譜でもあり、研究書物でもあるこの一冊には、それまで瓜生氏が調べ上げた天保銭に関する研究がぎっしり詰まっています。銭図も多く、例えば本座銭に関しても大様、磨輪、背ずれなど鋳造上の変化についても言及しており、さらに金属配合比率や重量についてなど、製作面から見た天保銭に関する研究はとても参考になります。印刷部数も多かったと思われ、古本市場を探せばほぼ確実に入手できる状況です。瓜生氏の視点は、書体変化より製作変化や背景を重視している傾向にあり、その意味で入手して損はない文献です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
英泉還暦記念泉譜 編集 村上英太郎
1996年 四つ目とじ和本 68P 60図
村上氏の還暦記念泉譜です。これは完全な個人泉譜なのですが、天保通寶や秋田の加護山銭のいろいろが掲載されてなかなか楽しい内容です。サイズもA4より一回り長く、薄く上質な和紙を糸でつづっており、高級感たっぷりです。村上氏は名古屋の三納氏、東京の日馬氏(天保仙人)、青森の板井氏と並び天保通寶四天王と呼ばれる存在です。数度しかお話ししたことはないのですが、私にとってもあこがれの神様的存在。これは記念泉譜なので眺めて楽しむ文献ですね。必須文献ではありませんが私にとっては大事なコレクションアイテムです。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
天保銭 編集・発行 天保通寶研究会(天保堂:瓜生有伸) 
1977年創刊 現在保有分:7、8号、10号、12~30号、36~59号(1992年2月)
本来は入札誌ながら天保銭の研究・資料をうたっている通り、天保通寶に関するあらゆる資料・情報を網羅した総合雑誌で、今、一番欲しいと思っている資料です。
瓜生氏の天保通寶に関する知識がちりばめられ、また、会員の方々が出品される珍品、稀品の数々など見ていて飽きない内容です。瓜生氏は1994年に病に倒れておりますので、順調ならば80号以上を重ねているはずで、一つのジャンルでこれほどまで極めた研究家は他には見当たりません。
1号から10号までは合本になって出版されているはずですが、可能なら11号以降も合本にして発行して頂きたかった名作入札誌です。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
※求む 11号 31~35号 60号以降
 
覆刻版 天保銭 第1号~第10号合本 天保通寶研究会編
(天保堂:瓜生有伸)
1987年  袋とじ製本 販売価格6000円 305P
この本は昭和47年6月、9月に刊行された天保1号、2号と、しばらく休刊後の昭和52年7月から刊行された月刊天保銭の1~10号の復刻版合本です。「復刻」の文字が「覆刻」になっているのは、覆輪天保銭を意識したものなのかと思いましたが、巻末が「複刻」になっていますので単なる誤植かもしれません。当時の最先端の研究がこの誌上に掲載されており、いわゆる瓜生理論はここで醸成されたと思われます。
巻末には入札の結果も掲載されていて、当時のトレンドも良く分かります。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
哲泉古希記念 薩摩藩鋳銭 広郭分類譜 発行者 板井哲也
2012年 A5版 洋装製本48P 83図 販売価格1500円
板井哲也氏は青森県在住の天保銭収集家にして研究者で、現代における天保銭四天王(三納氏・村上氏・板井氏・日馬氏)のひとり。そのライフワークとして取り組んでいるのが薩摩広郭の細分類です。その微細変化の追及姿勢は近年の文銭分類に勝るとも劣らず、私もついてゆくのが大変なレベルです。その精神は天保通寶と類似貨幣カタログ(本編)にも引き継がれていますので、それが気になる方は是非読むべき本でありますが、そんな微細変化どうでもよいと思う方にはお勧めできません。その意味でマニア度MAXな本です。
希少度☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:幕末地方密鋳銭関係】
南部當百銭の謎 編集・著作 工藤英司 発行 日高見文化研究会
1996年 洋装製本 185P 販売価格3800円 (巻末 南部當百銭図譜)
練馬雑銭の会会長の工藤氏の研究による、郷土の当百銭鋳造(密鋳)のなど真実究明の書。
新渡戸仙岳の研究の再考察や山内天保、浄法寺天保についての分析など盛りだくさんの学術書。そのあまりに高度な論に、正直浅学な私の頭の回線はショート寸前ですが、とにかく内容が深く、そして重い。ついでに氏の郷土に対するたぐいまれなる愛の深さも感じます。
泉譜もありますが、どちらかといえば学術書。大学の講義にも出てきそうな内容です。歴史ロマンをたぐりながら、謎をひもとく貨幣史推理の探究書だと思って頂きたい。とにかく内容の濃さではトップレベルです。ただし、かなり存在数は少ないのではないかと思っています。なお、工藤氏は早坂昇龍というバリバリの現役作家であり、地域の歴史にも非常に詳しい人物です。

希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
南部貨幣史 著者 水原庄太郎 発行 南部貨幣研究会
1969年 洋装製本224P 限定500部 
南部藩所領に限った貨幣史の研究本で、幕末地方貨はもちろん、天保通寶や寛永通寶の密鋳銭や絵銭に関する鋳造資料がふんだんに掲載されています。
この地域については密鋳の歴史は避けて通れない内容です。したがって贋作に関する情報や当時の時代背景などが詳しく書かれている本書は第一級の資料です。当時の古銭書としては光沢紙で200P以上と言う意欲作。個人的には東北地域の貨幣研究を行う場合には必読の書のひとつだと断言できます。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
浄法寺鋳放し銭集 編集 阿部伊佐雄
2006年 袋とじ製本 手書きカラーコピー製本 35P 販売価格1700円
浄法寺銭と呼ばれる一連のものについて、タイプ別に分類して掲載しています。ご存知かと思いますが浄法寺銭には母銭から受け継がれた共通の特徴が随所にあります。それらの特色をクローズアップして写真紹介しています。個人作成の泉譜であり、薄手の冊子ですが、浄法寺銭を分類するうえではかなり役に立ちます。なお、浄法寺と言って時代の降った、絵銭に近いものものもあると思います。この泉譜はあくまでも分類を主眼としているようですので、ポイントの指摘はあるものの解説文などはほとんどなく、厳密な真贋についても言及していませんがその点を理解の上でご購入・ご活用ください。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆
 
みちのく合同古銭大会抜粋資料(無名)
加護山一文銭(その2)・当四文政正字・当四文政正字無爪永・仿鋳銭入門(その2) 
袋とじ製本 35P 

タイトルも作者のお名前も入っていない資料ながら、これは秋田貨幣研究会の菅原直登氏の研究と思われるものが記載されています。内容は加護山銭・文政正字の兄弟銭、そして江刺銭の細分類についてです。江刺に関する貴重な資料でもありますが、巻末の解説にあるようにこの資料はごく一部の関係者に配布されただけのようです。この研究資料をもとに私にHPでは江刺銭の細分類研究譜が構成されています。
資料としては間違いなく超一級品のもの。手に入れることは難しいと思います。

希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
南部密銭史 著者 菅原秀幸 岩手文庫
1986年 洋装ハードカバー製本 164P 販売価格1400円
これは古銭文献ではなく、岩手の郷土史研究書です。幕末における東北の深刻な銭不足と、それにともなうハイパーインフレ、藩の無策ぶりまでが詳細調査のもと書かれています。当然のことながら密鋳は最悪死罪にもなる重罪なのですがそれでも命を賭して密鋳に手を染めなければならない当時の混迷ぶりが伺えます。古銭書としてではなく歴史文献、密鋳銭研究の参考書としてお使いください。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
 
南部古泉研究会 南部銭誌 第二輯 著者・編集 南部古泉研究会
1975年 袋とじ製本 55P
南部古泉研究会の創立2周年泉譜で内容は密鋳銭のオンパレードです。南部銭に魅せられた方々の強烈な個性と研究意欲が詰まった小冊子です。
拓図には江刺・浄法寺・八戸・大迫だなど推定鋳造地が記載されていますが、浅学な私には雲をつかむような話。やはり蛇の道は蛇といいますか郷土研究者の方々には到底かないません。
東北の密鋳銭にとりつかれて数百枚集めてもいまだに分類が完了しない私にとって貴重な資料であります。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
  
 
秋田貨幣史 著者 佐藤清一郎 みしま書房
1972年 172P 洋装製本 
佐藤氏は昭和34年に「秋田通貨変遷史」を自費出版されているそうで、この秋田貨幣史は視点を変えて秋田の貨幣を通した歴史書を目指したもの。なかなか本格的な内容であり、歴史マニアの心をとらえる作品です。天保・寛永マニアの私は加護山の鋳銭の様子にくぎづけで、砥石や錫の入手に苦労した結果の秋田の赤く、粗いやすり目の銭容がこの本からも確認できます。あくまでも補助文献で、読み物です。歴史探究が面倒くさい方は飛ばして結構ですが、私はこんなものも好きですね。古本の数は結構あると思います。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
東北・北海道の貨幣 編集 工藤裕司(㈱ハドソン・東洋鋳造貨幣研究所)
1994年 洋装写真製本 152P 販売価格5000円
この本は1993年に開所した方泉處が行った東北・北海道の貨幣展の御礼報告であり、補遺であり、記念誌でもあります。拓本ではなく写真であるところが目新しく、私にとっては加護山や踏潰銭を見るのが楽しい本です。難を言えば白黒なのと、粒子が粗いので拡大しても砂目の様子が分からないこと。せっかくここまでやったのだから砂目のカラー拡大写真が欲しい。33Pにある盛28-4 濶永(広永)母とあるものと、私の所蔵銭の輪の瑕の位置が一致したことを発見した時には興奮しました。 → 特別展示室(1) なくても何ら困らない泉譜ですけど、ぼんやり眺めていて楽しい泉譜です。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
豊後国岡藩貨幣の歴史 著者 橋詰武彦 九州貨幣史学会
1981年 洋装簡易製本 限定200部
この本は頂きものです。橋詰氏は当時、九州貨幣史学会の会長であり、岡藩の貨幣鋳造の資料を後世に残すためにこの文献を発表したものと思われます。岡藩は豊後国最大の藩とはいえ7万石(関ヶ原当時は4万石、最終的には実質9万石程度)の小藩ながら、鋳銭の歴史がある藩です。関ヶ原の戦いにおいて東軍に属したため、所領を安堵されています。参考文献としては目新しい点はないのですが、当時の歴史的発見(岡天保の発見)を後世に残そうとしたものです。しかしながら、その後古寛永竹田銭が斜寶の松本移籍により空席となり、類似貨幣カタログにおいても、岡天保がなくなるなどやや悲運な点はあります。今後、古寛永においてもう一発見あればおもしろいのですが・・・。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆
 
可部南原屋贋金造り事件 著者 中野修作 可部カラスの会
2008年 洋装製本 91P 非売品
この本は広島県可部のまちづくりグループ、可部カラスの会の方々が作成した小冊子です。中身は物語仕立てですが、非常に良く書けている内容なので感心しました。当時の密鋳の状況が克明に伝わってきます。事実の羅列なので、広島で密鋳天保が作られた事実は判るもののそれが何であるかまでは示されていません。しかし、平易な文章で密鋳に至るまでの経緯、後始末のバタバタ劇など読んでいて面白い。実は私もこのような郷土の歴史の書を商工会議所青年部や青年会議所で作成したこともあるんですよ。簡単に読めてそれでいて勉強になります。鋳銭の様子などは判りやすく秀逸です。古銭参考書、あくまでも読み物としてお楽しみください。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆ 
 
還暦記念泉譜 銅山通寶 著者 籠山閣 菅原直登
2012年 和装上製本 カラー光沢紙仕様 カバー付 非売品(3000円での頒布あり)
タイトル通りの個人記念譜ながら、ジャンルは地方貨幣あり、島屋文ありと一定していません。すなわちこれは菅原氏の好きなものを集めた、掲示するだけでなく、研究分類の報告書であります。
和装の上製本(閉じ糸が特殊)でありながら、光沢紙仕様にしたのは色合いを再現するため・・・つまり著者のこだわりでしょう。写真も大きくとても贅沢なつくりになっています。
記事のなかでは後半の江刺、踏潰などの寛永銭についてはそれだけで泉譜になるような豪華さ。その他、島屋文、加護山原母銭、秋田鍔銭や銀判類タイトルの銅山通寶など豪華な菅原ワールドが展開されます。研究あり、収集品掲示ありで個人の記念譜としては遊び心満載です。私的にはこのような泉譜は大好きですね。ただ、困ったことにあまりの美しさに開いて読めません。本当に困った。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆
 
琉球通宝半朱銭の分類研究 著者 博天堂 横山譲治 公泉童 三崎見仁
2019年 袋とじ製本 45P 販売価格1200円
手変わりがないと言われ続けてきた琉球半朱にスポットライトを当てた研究分類泉譜。琉球半朱に母銭クラスの大様があるのも3度写しの大濶縁銭があるのも刔輪銭があるのも全く知らなかった。内径の大きさに至っては6段階もあるなんて驚きの連続です。この研究には膨大な数の半朱を見たはず。研究の発端になった谷口氏に至ってはは500枚の半朱から手変わりを選り出したとか・・・。目からうろこの一冊です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
 
江刺銭拓泉集 南部古泉研究会編
1992年 袋とじ製本 8P 非売品
南部古泉研究会の久我洋一氏の新築祝いのために、南部古泉研究会の奥井勇氏、川村庄太郎氏、阿部伊佐雄氏、昆和男氏、、柴田守氏、栃内元衛氏、佐藤耕太郎氏が集まったそうで、このミニ泉譜は川村氏の発案で作られた「江刺鋳銭誌」だそうです。川村庄太郎氏の所持品の中から寛永通宝24種、絵銭3種が掲載されています。江刺の一文銭は貴重ですね。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
 
【ジャンル:密鋳・贋作】
日本古銭贋造史 編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1986年 袋とじ製本外箱付 173P 販売価格6000円
これは泉譜ではなく、古銭の密鋳と贋作に焦点を絞った参考書です。贋作といってもその作品そのものではなく、贋作者の背景などに焦点を絞り調べているのが面白い点です。とはいえここ記述することができたのは、当時現役ではない昔の贋作者たちであり、その意味では消化不良な一面もあるのですが、加賀千代、福西、ラムスデン、小田部などについて詳細記述がありますので、読み物としてはとても面白いものに仕上がっています。願わくば近代の贋作者の作品そのもの(鑑識ポイント)にもっと焦点を当てた資料も欲しいと願っています。古代~近世の贋作研究には必須の一冊です。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
福西泉泉譜 編集・発行 鈴木正敏
1998年 和装四つ目製本 15P
贋作泉譜とはきわめて異色・異端の譜です。日本古銭ではありませんが、平成16年に椿井琢光氏が真贋対象譜を出版しましたが、極めて勇気のあること。このような運動が広まれば良いと思っています。鈴木氏は福西が贋作者になってしまったのは不本意であったというスタンスですが、加賀千代と手を組むなど利用されていたとはいえ商売として贋作品を流布させてしまった罪は大きいと思います。
この泉譜に載っている品の多くは、加賀千代とともに販売リストを使って売りまくったもの。時々インターネットなどでも出ていますので参考になります。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
 
【ジャンル:絵銭】
絵銭譜(乾・坤) 編集 小泉健男 発行 太田保
(ワールドコインサービス)
1966年 四つ目とじ和本 ビニールカバー外箱付 乾102P 坤87P
田中啓文の「絵銭の限界」論=「絵銭は貨幣ではないので、贋作との境がつけられない・・・だから絵銭収集にはおのずと限界がある・・・といった主旨」によって、銭幣館時代の収集界ではやや異端視されはじめていた絵銭にもう一度収集家の目を戻させた作品。絵銭の基本分類はいまだにこの泉譜に負うところが大きいと思います。これによって絵銭収集に火がついたことは言うまでもありません。
なお、この本の内容を再編集し、廉価版カタログとした「絵銭の相場」は、6年後に陸原(太田)保(万国貨幣洋行)名で出版されています。(定価は当時750円)絵銭収集をされている方はこのどちらかは必須本だと思います。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
昭和絵銭図譜(前編・中編・後編) 編集 八橋喜代松(兵庫貨幣会)
1966~67年 四つ目とじ和本 ビニールカバー 前編110P 中編110P 後編87P
兵庫貨幣会の八橋(やばせ)氏が収集人生の集大成として残した絵銭譜です。楽しむことを主眼とし、価格相場については記載せず、全国の古銭収集家に声をかけて拓本をもらいながら編集していったもの。作者曰く、作銭あり新作ありの玉石混交なのですが、それもまた面白いものです。ジャンルも絵銭だけではなく上棟銭や記念銭まで網羅しています。昭和泉譜を意識したとあるように配列などもその雰囲気を伝えています。高度成長時代であったためか紙質が酸性紙っぽく、印刷もやや悪いようです。
前編発行は絵泉譜より半年ほど早かったものの、順次編集発行であったため後編が出たのが67年末・・・そのため結果的に絵銭譜の後塵を拝してしまったようですが、なかなかの力作・珍本です。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
 
絵銭の相場 編集 万国貨幣研究会(陸原保) 発行 万国貨幣洋行
1972年 洋装製本 197P 販売価格750円
編集者の陸原保氏とは太田保氏と同一人物。絵泉譜の版権を買い取ったのでしょうか。拓図は同じなのですが小泉健男氏の名前はどこにもありません。この本は上記の絵銭譜の普及版であり、当時の相場価格を記入した絵銭カタログです。柄泉譜が豪華和本だったのをこの本は廉価普及版に改めています。したがって内容は価格表示と巻末の解説以外はほとんど絵銭譜と同じ。むしろハンディタイプであるので使いやすいかもしれません。とくに巻末の用語解説と贋作者解説については判りやすく参考になる文件です。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆
 
日本の絵銭 編集 赤坂一郎
1994年 洋装写真製本 149P 販売価格4300円 
これは泉譜というよりも写真集です。その昔、カラーブックスという本があって、「日本のコイン」とか「世界のコイン」とかいうシリーズを持っていたのを思い出します。写真でしか判らない絵銭の質感が出ていて、コレクターにとってのアイドル写真は白黒の拓よりうれしい?・・・変態的な喜びなのかもしれません。変態としてはカラーのアップ写真がもっと見たい、実物を触りたいのですが、贅沢は言えません。赤坂氏は下町古泉会を主催されている絵銭界の第一人者。協力者に絵銭譜作者の小泉健男氏や極楽殿の野村志郎氏がいらっしゃるなど、内容の充実は約束されたものでした。とにかく眺めて楽しみましょう。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
畫銭譜 上下編(天保堂復刻版) 著者 編集・発行 養眞亭(馬島杏雨)
発行年・販売価格不明(原本は明治30年)
立派な製本ながら、発行年、印刷所も発行人も定価さえも記入されていません。企画段階でお蔵入りになったものなのか、それとも一般販売しなかったものなのかは定かではありません。古い絵銭譜ながら、私の集めている寛永通宝型の絵銭がたくさん掲載されているのがうれしい一冊。
あくまでも現代では参考補助文献にすぎませんが、当時の泉譜内容を忠実に復刻しています。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆

 
復刻版昭和泉譜(日本絵銭類) 編集 平尾聚泉 発行 瓜生有伸(天保堂)
1987年頃~ 袋とじ製本 全10巻?(原本は4巻) 販売価格4500円
昭和泉譜は平尾賛平氏のライフワークとして昭和6~15年までの間、三上香哉氏によって編纂された総合泉譜です。昭和泉譜のそのものは拓図中心のレトロな分類譜ですし、古本市場をさがせばすぐにでも手に入るほど数が豊富なのですが、私はこの復刻版(寛永・天保の類)を求めてやみません。(復刻版は希少)と、いうのも原本にはなかった解説文が随所にあり、また、昔の泉家の紹介記事もあってなかなか楽しいのです。ネット市場で探してなんとか絵銭の部は入手できましたがあとが全く続きません。バラで買うのならピンポイント買い、あるいはまとめて買っても良いのでどなたか売ってくださいませんか?絵銭類にはなかには当時の作銭らしきものも混入していると思いますがなかなか楽しい。
希少度(復刻版)☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:錯笵銭・上棟銭・記念銭】
銭幣の華 編集・発行 石川諄(銭幣學社)
2006年 洋装製本 96P 951図 販売価格1200円
錯笵銭や加工銭など偶然あるいは意図的に変化した銭の数々の拓図集です。錯笵は製作を知る良い資料なのです。なかには火中品やら有名な加賀千代の贋作も入っていますが、2品とない変態ぶりを楽しむことができます。錯笵を求めるようになると、収集熱も邪道・末期状態でして、贋作に引っかかりやすくなります。そう、錯笵は贋作の宝庫なんですね。それも楽しい?・・・病気ですね。ならばこの本はお勧めです。邪道の道もまた極めてみるのも一興です。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
社寺福銭・上棟銭・記念銭・代用貨銭譜(初巻) 編集 長谷川恵泉
2006年 洋装袋とじ製本 95P 販売価格3500円
2015年 第2巻発行   112P 販売価格3500円
社寺福銭の類はメダル的なものが多く、古泉界においてもゲテモノ的扱いにあるケースも多いのですが、あえてそれに踏み込んだ泉譜です。この手の泉譜には坂本成弘氏の寺社福銭記念銭拓影集(1985年)というものがあるのですが、それには掲載のない古い上棟銭の類の拓掲載があるのがこの泉譜です。上棟銭の類についてはなかなかいわれが残っているものが少なく、単なる刻印銭として捨て置かれていることが多いと思います。マニアな私は古い上棟刻印銭もも収集対象にしておりますので、このような文献の存在はとてもありがたいのです。できれば次巻は古い上棟銭や刻印記念銭をたくさん掲載して頂きたいのと、判る範囲でいわれも知りたいものです。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
 
【ジャンル:安南手類銭】
穴銭入門 手類銭考(上巻・中巻・下巻) 編集 富永昌義 
発行静岡いづみ会
2002年(上巻・中巻)・2006年(下巻) 袋とじ製本 販売価格3000円
上巻150P 中巻161P 下巻137P 総計448P(連番) 続巻は未発行
三浦氏の名著「安南泉譜」を受けて、その改作を目指した静岡いづみ会の富永氏の力作です。安南銭はとにかく銭文、製作ともに雑多を極めていて、同じ鋳造場所でも異なった銭文のものが同時鋳造されたのではないかと思えるほどカオスの世界です。ベースは「安南泉譜」にそっていながらも独自な見解も盛り込んでいます。とにかく拓図がめちゃくちゃ多く楽しい。しかしながら下巻発刊以来5年以上経過して続巻発刊の報告を聞かない。下巻のあとがきを読むと健康を害し人に託すようなことが書かれているではないか!私は続巻・・・とくに手類寛永が読みたいのです。安南銭収集家には必須の一冊です。私の蔵品も密かに載っています。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
安南泉譜 手類銭部(増補改訂版) 編集人 三浦清吾
1976年(初版は1963年) 四つ目とじ和本 箱付 110P
吾泉・三浦清吾氏の永遠の名著であり、今でもこれをバイブルにしている方もいると思います。この本ではじめて永利手寛永を見たとき、私はめちゃめちゃ感動しました。
寛永の名文が入っている拓図はこの永利手ぐらいなのですが、安南寛永を入手した時に書かれている〇〇手の名前に応じて、この泉譜を食い入るように調べました。安南寛永は昔は完全なゲテモノ、雑銭扱いでしたが、最近は数を見かけなくなり珍銭扱いされることもしばしば見られます。このブームを仕掛けたのはひょっとして私かもしれません。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆
※寛永銭の拓図はほとんどありません。
 
 
【ジャンル:泉談・研究】
銭幣館(第一巻~第四巻) 田中啓文著 編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1988~1989年 袋とじ製本 販売価格4500円
銭幣館こと田中啓文が、自身のコレクションを日銀に寄贈した後、旧貨幣誌に寄稿された論文や思い出などをまとめて小冊子として頒布したもの。昭和25年から29年(44号)までは本人名で発行、啓文が病に倒れた45号以降は小川青寶楼がその意志を引き継いで昭和31年の56号で終刊となるまで続きました。初期の原本は粗末な紙(風船爆弾に使用された紙らしい)へのガリ版刷りらしく、非常に素朴なもの。本書は小川青寶樓が所有していた原本をもとに、瓜生有伸氏が活字再編集して全四巻で再版刊行したものです。随所に田中啓文語録と言いますか、歯に衣着せぬ言動も見られ、当時の古泉会の風潮・勢力図が感じられます。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
東洋貨幣協会 復刻貨幣 再編集・発行 瓜生有伸(天保堂)
1980年中頃~ 袋とじ製版 全44巻 外箱付 販売価格229000円
戦前の東洋貨幣協会が発行していた貨幣の記事をジャンル別、年代別に再編集して出版した意欲作。全44巻では229000円以上になるという高額商品なのですが、欲しくても今は手に入れること自体が難しい。私は第5巻古寛永の部、第6・7巻新寛永の部(一)(二)、8巻天保銭類・上棟銭類の部、9巻近世後期貨幣類・贋造貨幣の部、10巻地方貨幣類の部(一)、12巻絵銭類の部のみ入手しています。
オリジナル版をコピーしていますので旧仮名遣いで図版に一部歪みもありますが、古の興味ある記事満載で飽きません。当時の人間関係を知る上で全揃い読んでみたいと思うものの、高額ですし、置き場もないし、売り物もめったに出てきません。販売時はバラ売りしていたようなので欲しいものが出たら即買い。全巻そろいは希少です。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆ 
 
古銭(復刻版:第1~9巻) 編集 下間寅之助 ㈱国書刊行会
1990年 洋装ハードカバー製本外箱付 限定300部 販売価格一冊5500円
この書は大正9年から14年まで古銭雑誌社から刊行された「古銭」96冊を再編集したものです。下間寅之助は虎僊樓の名で親しまれた大正時代を代表する古銭商で、彼を尊敬した小川浩が青寶樓と彼の画号の一部を拝領したのは有名な話です。古文体で読みにくい内容ですが、随所にはっとするような内容がみつかります。古銭商たる者、自ら情報を収集家に流して業界を盛り上げる努力をすべきだと思います。その意味では今の古泉界はやや閉鎖的で、情報も秘密裡で流れず、贋作も排除できないばかりか、贋作者そのものも収集界から排除できない状況です。天国の寅之助は大いに嘆いていることでしょうね。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
(復刻版)桃山泉談会誌 菅谷信・呉振強・ 王貴箴 編 遼瀋書社
1992年 洋装ハードカバー製本465P (発行部数800部:中国販売価格80圓)
桃山泉談会誌は大正14年~昭和9年までに発行された手製の桃山泉談会誌をまとめて復刻したものです。桃山泉談会は京都における古銭会ですが、荒木豊三郎氏、塚本無隣庵氏、中島泉貨堂氏などが発起人になって年6回のペースで開催されたようです。中には銭幣館氏や三上花林塔氏、野崎静修軒、平尾賛平氏なども参加しており、かなり突っ込んだ泉談も見られます。
この本は日中国交正常化20周年を記念して、中国で企画・復刻印刷されたもの。原本は手製・非売品であり、日本貨幣協会を代表して訪中した菅谷信氏(菅谷金銀堂)も初めて目にするものだったようです。著作権問題もあって古銭書の復刻はなかなか難しいものがあるようですが、日中関係は尖閣諸島問題から暗い話が多いし、泉界活性化のためにはこのような手もありかな・・・と思います。
希少度 ☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
愛泉家雑記 知命泉譜・壱 日本古貨幣の部 編集 鳳凰山 神野良英
2020年 洋装写真製本104P 販売価格2000円
収集誌上に掲載されていた「皇朝銭雑記」「鐚銭雑記」「寛永銭雑記」をまとめたもので、ジャンルとしては古銭エッセイなんでしょうけど、見識が深いし読み物としても面白いのが鳳凰山氏の力量でしょう。で知命泉譜とのことで、「壱」ということはいずれ「弐」「参」も出てくるかな?
著者の神野氏はとにかく穴銭全般の知識が深く、とにかくすごいんです。日本を代表する若手古銭家です。
希少度 ☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆ 
 
 
日本貨幣協会 貨幣 編集・発行 日本貨幣協会(非売品)
日本で最も権威ある貨幣の総合研究誌(会報)です。貨幣に興味のある方は年会費を払えば入会でき、この会報をもらうことができるそうです。私は現在会員ではありませんが、ネットオークションなどに出たものや無償配布されたものなどを少しずつ集めています。内容は非常に高度でめったに見られない珍品拓を拝見したり、最先端の泉談記事などを楽しませていただいています。会合出席は無理なのですが、そろそろ入会しようかしら・・・入れてくれるかなあ・・・。(入会しました。)
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
銭貨 編集人 増尾富房 発行 穴銭堂
1969~1982年(昭和44年12月~昭和57年9月137号) 
1976年10月まではB5版、以降はA5版
銭貨は隷泉増尾富房氏が年会費3000円で発行していた穴銭の入札誌ですが、内容の充実ぶりは見事で情報誌として活用された方も多いと思いますのでこの欄に移しました。
よくぞこのような内容の小冊子を毎月発行できたなぁ・・・と、私は感心してしまいます。お金の面ではずいぶん苦労された方とは聞いておりますが、これだけのものを安い年会費で作っていたら当然でしょう。しかし、すごいですね。13年間、137冊も続いて最期は突然の終刊・・・そしてすぐに「銭幣」として復活します。ふまれてもふまれてもなお春の草・・・とは増尾氏が引用した詩ですが、なるほどたくましい。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆
 
銭幣 編集人 増尾富房 発行 穴銭堂
1982~1992年(昭和57年11月~平成4年6月93号) 79号以降は隔月発行
どのような事情があったか詳細不明ですが、銭貨が9月号で突然終刊になったあとに、手作り風雑誌として銭幣は復活。そのまま93号まで続きます。おそらく増尾氏が経済的事情から閉店に追い込まれた跡、在庫品の放出を兼ねて再開したものと思うのですが、根強い人気があったようで、次第に勢力を盛り返した感があり、印刷も立派になってゆきます。10年間93号まで続いた後、平成4年に北海道に方泉處がオープンする際、増尾氏が顧問として雇用されたため終刊になりました。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆
 
銭貨情報 編集人 増尾富房 発行 穴銭堂
1997~1999年(平成9年5月~平成11年5月24号) 
北海道に渡った増尾氏は平成9年(1997年)に社員としては解雇されたようで、増尾氏の名前はその年を最後に方泉處誌上から消えています。方泉處が閉館解体される3年前のことです。そこから増尾氏は再び、古銭販売と出版業に戻ります。背水の陣で臨んだ増尾氏ですが、印刷した出版物が全く売れず、おそらく自己破産せざるを得なくなり、平成11年5月に終刊を迎えます。銭貨から数えて足かけ30年、254号・・・一人の古銭家の出版としては出色の記録でしょう。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆
※上記の銭貨~銭貨情報は文久永寶を寄贈して下さったH氏から頂戴したものです。
 
古泉 編集者 小川浩  発行 日本古銭研究会(20号まで)
   編集者 野村志郎 発行 東亜貨幣協会 (21~48号)
1968~1972年(1~20号)1973~1978年(21~48号)
もとになったのは田中啓文の銭幣館の事業を引き継ぐ形で、後進育成のために戦後にはじめた同人誌。日本古泉研究会の発行で24号まで続いたと聞きます。それを復刊する形で昭和43年にはじまりました。背景には郡司勇夫氏が実効支配する日本貨幣協会と距離を置きたい小川の心情があったと思います。多々5冊しか入手していませんがきっちり48Pに編集され、小川の几帳面さが伺われます。20号までは小川の単独編集でしたが、21号以降は東亜貨幣協会を立ち上げ手小川は退き、組織的な運営に移行しています。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:総合カタログ・収集手引】
日本貨幣収集事典 編集 石原幸一郎 発行 原点社
2003年 洋装ソフトビニールカバー製本 324P 販売価格2000円
非常に地味ながらこの本はその昔、金ぴかの大判が表紙にたくさんならんでいた「貨幣手帳」の20年ぶりのリニューアル復刊です。日本貨幣のあらゆるジャンルが網羅されているわけですから、当然ながらすべての分類にまでふれられるようなものではありません。しかし、私はこの本を非常に高く評価しています。と、いうのは鑑定ポイントから、発生の経緯まで枝葉の話にまで及んでいて興味が尽きないのです。随所にある挿話も面白い!すなわち、これは貨幣の歴史研究の入門書です。断言します、絶対読んでおいて損はありません。

希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
日本の貨幣 収集の手引き(青表紙) 編集・発行 日本貨幣商協同組合
1998年版 洋装製本 196P 販売価格1200円
日本貨幣収集事典と双璧ともいえる、収集入門の手引きです。日本貨幣収集事典より若干内容が平易だと思いますが、内容は濃く、各所に勉強になるようなポイントが出てきます。現在でも版を重ねていますので入手しやすく、日本貨幣カタログを購入するような初心者を卒業したら是非、この本をご購入ください。
分類のポイント、歴史的背景とその資料なども豊富。読み物としても面白いし、内容が豊富なため研究参考資料としても使えます。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
日本の貨幣 収集の手引き(赤表紙) 編集・発行 日本貨幣商協同組合
2010年版 洋装製本 212P 販売価格1300円
日本貨幣収集の手引きが全面的にリニューアルしていました。内容はカラー画像を増やし、オークションの落札結果とともに近年の人気商品の相場を公表しています。
1998年版とは内容がガラッと変わっていますし、泉談といえる各種のエピソード、挿話も新しくなりましたのでできたら2冊を比較しながら読むと面白いと思います。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
日本貨幣カタログ 編集・発行 日本貨幣商協同組合
洋装製本(写真は2003年版) 販売価格1500円(2013年版)
日本貨幣カタログはもともと万国貨幣洋行の太田保氏が企画出版し、そのアイデア版権を日本貨幣商協同組合にゆだねたもの。生まれて初めて買った貨幣関係の書籍がだぶんこれだったと思います。画像のものは2003年度版ですが、昔に比べてずいぶん分厚くなり現行コインから穴銭・・・それも上棟銭や絵銭まで網羅しているのでなかなか楽しい。色彩も豊かで、もう価格譜というより小さな百科事典です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆
 
古貨幣図録 昭和泉譜 第一~四巻 編集・発行 平尾聚泉 
(歴史図書社)
1974年(復刻版) B5版洋装ハードカバー製本外箱付 
販売価格42000円
 第一巻 日本銭 第二巻 古文銭・中国歴代銭(上)
第三巻 中国歴代銭(下)第四巻 朝鮮銭
編集者は平尾聚泉(賛平)氏となっていますが、実質は三上香哉氏が編集したことで知られる総合泉譜です。元本は「新訂昭和泉譜」の名で昭和6年から昭和15年までかけて編纂が行われたものですが、分散刊行の奇観本であり、市場で良く見かけるのはこの歴史図書社版のものです。内容は実にレトロな泉譜で、個々の解説文は少ないものの、いわれなどの記述もあり貴重な資料です。前書きにあるように青寶樓小川浩氏がこの名著を国別、時代別にまとめたものを歴史図書社が刊行したものです。現在とは多少名称分類が異なるものの寛永銭類などはほぼ完成された形になっています。
希少度☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆
 
古銭と紙幣-収集と鑑賞- 著者 矢部倉吉 金圓社
1973年 洋装写真ハードカバー製本(一部カラー) 477P 販売価格1200円
私にとっては何とも懐かしい一冊です。当時としては高額な本でしたが、あこがれの古銭がカラーで見られるので何度も読み返してボロボロになっています。今読むととファンタジー系の金銀貨がかなり掲載されているのですが、少年の夢を膨らますのには十分な内容でした。当時は島銭にあこがれていて、天五天五は欲しかったなぁ。また、、ここに掲載されている寛文様が自分のものになるとは思ってもいませんでした。
希少度☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆
 
増補改訂古貨幣価格図譜 編集・発行 小川浩
1979年 四つ目とじ和本 206P 販売価格3800円
増補改訂とありますが、1956年に昭和古銭価格図譜(全)の出版がありますので、それから昭和古銭価格譜と続くシリーズものの一冊です。似た体裁のシリーズ本に陸原(太田)保氏の東洋古銭価格図譜があり、これらがコインブームをけん引したと言っても過言ではないと思います。
小川氏は1964年に日本古銭の百科事典と言うべき日本貨幣図史(全10巻)も刊行されており、古銭書出版で昭和を支えた四巨人・二社(小川・陸原・増尾・瓜生とボナンザ・収集)と言えます。
これはあくまでもカタログ本ですので、無理に求める必要はない資料ですが、青寶樓マニアには記念すべき一冊だと思います。
希少度☆ お勧め度☆ マニア度☆☆
 
東洋古銭図録(上巻) 編集・発行 増尾富房(穴銭堂)
1977年 袋とじ製本 100P 販売価格3000円
この譜には説明がまったくありません。それこそ昔の泉譜の体裁に近く、とにかく代表的な銭の種類をこれでもかというぐらい掲載しています。ページによっては20図ぐらいありますから少なく見ても1600図ぐらいは拓図がありそうです。いわゆる泉譜合いを楽しむための書で、総合的な穴銭カタログです。
日本銭と安南銭を網羅していて、鐚銭や琉球銭、島銭、文久銭まで(代表的な手替わりですが)載っているのはありがたかった。東洋古銭図録(上巻)と銘打っていますが、下巻は出ていないと思います。そのかわり皇朝銭史、中世銭史が同じ黄色の装丁で小さく(東洋古銭図録)とありますので、これがシリーズものなのでしょう。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆ 
 
穴銭カタログ日本 編集・発行 石川諄(銭幣學社)
2012年 洋装ハードカバー製本 448P 販売価格11600円
元方泉處の石川氏のライフワークともいえる泉譜。皇朝銭から鐚銭、寛永銭、地方貨から絵銭・・・はたまた悦銭(絵銭の写し・戯作銭)まで日本穴銭全てにわたる意欲作です。基本的にカタログですから分類説明より拓の紹介と、相場紹介が中心。細かい変化よりも古拓を活用して、原母銭や彫母銭、試鋳貨などまず現代の泉譜ではお目にかかれないようなものもあるのが楽しい。そして随所に石川節ともいえる解説が載っています。こんなものもある・・・と眺めて楽しい本です。なかでも絵銭の充実は専門書をしのぐ収録数です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆ 
 
古銭と歴史 還暦記念泉譜 編集 山添春男
1998年 洋装製本 135P
個人の収集品を中心につくったと思われる記念泉譜ながら、記念泉譜にありがちな所有品展示型ではなく、総合泉譜としての体裁を保っていおり、これは痛快にして秀逸なものです。寛永銭などはそのまま分類泉譜として使用できる実用書にもなります。また、天保銭の部でも玉塚天保や天保型絵銭のアラカルトなど読んでいても実に楽しい。収集初心者にも読める内容ですし、珍しい品の掲載も多いので中級者以上でも楽しめる内容だと思います。あくまでも記念泉譜なのでお勧め度は高く設定できないのですが、記念泉譜ならこんなものを私も作ってみたいですね。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆
 
穴の細道 編集 安達岸生 発行 頌文社出版㈱
1971年 洋装ハードカバー製本204P
穴の細道はボナンザ誌上に呑泉こと安達岸生氏が4年余りにわたって連載した、穴銭全般の入門書です。内容は中国銭から日本の鐚銭類までに及び、地味な穴銭にもこんなに面白いものがあるという紹介でした。これにより私は源氏名銭の存在を知り、符合泉志や古泉大全丙集、清朝銭譜まで購入し、一時は中国銭全般にまで守備範囲を広げることになります。とにかく毎日のように読みましたので背表紙は破れ、水濡れによってしわしわですし、すべての蔵本のなかで一番汚く悲惨な状態で、うっかり食卓上に放置しようものなら、確実に女房に捨てられてしまいそうな風貌です。穴銭全般の入門書であり、私にとっても記念の一冊です。
※寛永銭、天保銭は掲載されていません。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
大英博物館所蔵日本貨幣カタログ 編集 大英博物館
2010年 洋装カラー製本 218P(A4版サイズ)
行方不明だった大名コレクター朽木公のコレクションが大英博物館で再発見された結果、発見者の下関市立大学の櫻木晋一教授などが携わり、このカタログが作成されました。富本銭から江戸期貨幣までの1325点が展示されていて、その中核となっているのが朽木公のコレクションです。(再発見された朽木公のコレクションは2500点あまりでした。)
カタログの内容ですが英文はちんぷんかんぷんながら画像は多数あり、中でも錫母からはじまる御用銭母銭~高頭通彫母など一連の難波銭コレクションが目を惹きます。また、錯笵銭については(中には意図的な作銭や焼け銭が含まれているものの)当時から好まれていたことが伺われます。ただし、残念なことに印刷の粒子が粗く細部まで良く見えない難点があります。
櫻木教授をネット検索すると「六道銭の考古学」や「貨幣考古学序説」などの著作にヒットします。出土銭に関する研究の大家のようです。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
貨幣 東海銀後編 発売 頌文社出版㈱
1963年 洋装カラー印刷ハードカバー製本外箱付 147P 販売価格3800円(非売品?)
販売価格は付いていますが、顧客など関係者に広く配布されていると思います。私も子供の頃、銀行関係者の方から頂いた本です。内容は東海銀行にできた貨幣展示室にある貴重な資料の図解で、眺めるだけで楽しいものです。ボナンザの頌文社が編集にかかわっていますので、藩札の分野にもずいぶん力が入っており、藩札の透かしや版木などあまり目にすることのないものまでが掲載されています。私の記憶が正ししければ、この東海銀行の貨幣展示室は東海銀行の鬼頭晴彦氏の要請により、桂寶田中桂治氏らが中心になって収蔵品を納めた経緯があったように記憶しています。(記憶違いでしたらごめんなさい。)
内容は古銭のグラビア雑誌。なお、東海銀行は三菱東京UFJ銀行となりましたが、この貨幣展示室は健在だそうです。民間にある最大の貨幣資料館です。
希少度☆ お勧め度 ☆☆ マニア度 ☆☆☆
 
【ジャンル:雑誌】
月刊 ボナンザ 頌文社出版㈱
1965年9月~1984年9月
コイン収集ブームに火をつけた月刊誌。銭幣館時代の研究から当時の最先端の論までとにかく話題が豊富。コインに限らず、切符、宝くじ、勲章などあらゆる収集アイテムについてのコーナーが満載でした保存状態の良いものは貴重なのですが、それを考えなければ入手はしやすいと思います。ただし、全巻そろえるとなるとこれはお金と時間がかかります。懐かしい古銭収集家の記事満載で、補助文献としてとても役に立ちます。残念ながら事業経営がうまくゆかず、1984年9月で突然の終刊になってしまいましたが、穴の細道や藩札の研究など素晴らしいものを残しています。酸性紙を使っているためか、経年劣化でボロボロになりやすいのと、総数200冊以上になりますので置き場所に困るのと、記事を探し出すのに苦労します。どなたかインデックスをつくってくださらないかしら?
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆

※おかげさまで完集しました。
 
月刊 ボナンザ 日本のコインなんでも百科 頌文社出版㈱
1979年 臨時増刊号 洋装製本270P
ボナンザが1979年に発刊した永久保存版の特集号。日本貨幣の大分類から鑑定・鋳造方法・贋作の見分け方など当時としてはかなり突っ込んだ内容まで書いてあります。
内容的には後に出る「貨幣手帳」の前駆版といったところ。
眺めてよし、読んで面白く、資料としても一級品です。この本はその昔もかなり読んだ記憶があります。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
月刊ボナンザ項目別総索引(創刊号~昭和55年2月号) 頌文社出版㈱
1981年 2月出版 カタログ製本47P 定価330円(送料込500円)
ボナンザのバックナンバーの目次を再編集しただけの奇観本。私のように資料調べをする人間にとっては非常にありがたい内容です。一方、普通の人にとってはただの目次にすぎなく、こんなものにお金を払う気なんぞ皆無だったと思います。この資料は関東のTさんから現物とともに寄せられました。
興味のない人には即ゴミ箱行きの内容です。また、興味のある方は・・・現代では皆無に近いのではないかしら?100%マニア向けの資料本です。
希少度☆☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
※この冊子は関東のT様からの無償譲渡品です。ありがとうございました。
 
月刊 趣味情報 ㈱交趣会 編集発行人 飯島叔男
1975年6月~1976年8月(以降は収集に引き継がれています。)
収集の前身。1974年から発行されていたらしいのですが、雑誌形式になったのは1975年からのようです。「わが国唯一の月刊趣味総合誌」がキャッチフレーズ。内容は切符や宝くじなど紙もの収集と貨幣類。後に分離されて収集誌に引き継がれたようで、貨幣雑誌としての体裁がほぼ同じです。
趣味総合誌と言っていますし、交趣会・・・切符・鉄道趣味の会・・・ということもあり、色々な趣味も掲載されていますが、コイン関係記事が85%ぐらいを占めている感じです。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
※求む1975年6~7月、9月 1976年3~4月号!
 
月刊 収集 書信館出版㈱
1976年~現在
ボナンザと競合してコインブーム末期を盛り上げた貨幣専門誌。趣味情報から独立した創刊時はコインブームのピークに近かったのですが、その後は苦労して収集ブームをけん引してきました。どちらかと言えばボナンザが過去研究の発掘とよろず趣味と藩札に力を入れていたのに対し、収集は金属貨幣たるコインにしぼり、新しい研究に力点を置いていました。その結果、研究発表の場所としての地位を確立し、現在に至っています。ボナンザと競合した8年間は雑誌の方向性を決めるとともに、企業としての生き残り戦争でもあったと思います。現在も発行されていますので入手はしやすいはずなのですが、ボナンザと競合した時代のバックナンバーはなかなか見つからず現在も捜索中です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆

※お譲り下さい!
1979年 10月
 
月刊 趣味の教室 編纂 万国貨幣研究会 陸原保
1968年11月創刊~10号 定価190円(送料50円)
投資・売買・研究・雑誌、知らないと損をする・・・の副題の通り、陸原保(太田保)氏が古銭マニアのために作った雑誌です。「趣味の貨幣」(万国貨幣研究会1956年~)を改題し再刊したもので、自らは商売を息子さんに譲り、こちらに専念する覚悟で発刊したものらしいのですが、序文には早くも前途を危ぶむような寄稿が見られ、会員数は2号で1300人に達したのですが、発刊も遅れ案の定1年余り、10号で休刊に追い込まれてしまったよう、その余波で、世田谷で行われていた交換会も終了してしまったようです。
NUMISMATIC ROOM
 によると、創刊号から6号までをケースに入れたセットも発行されいるそうで、4号から6号は絵銭譜、7号及び8号は天保通寶など、9号及び10号は今井風山軒の古拓本集だそうです。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
月刊 コイン ㈱万国コイン → ㈱コイン社 発行者 高橋一二 
1985年5月~12月?
コインブームが去り、ボナンザの突然の廃刊のあと陸原忘庵こと万国貨幣洋行の太田保氏が再び立ち上げた貨幣専門誌。しかしながら、コイン不況の波に抗えず、原稿集めにもずいぶん苦労したようです。9月号で陸原氏が辞任し、社名も変更され、発行も遅れて12月号までしか刊行されなかったと思われます。その結果なのか万国貨幣洋行も廃業し、それから2年後に太田氏も鬼籍に入られています。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
※当初11月号までしか確認できなかったのですが、偶然12月号も入手できました。まだ続きがあるのかもしれません。
 
方泉處0~21号 編集・発行 工藤裕司 ㈱ハドソン・東洋鋳造貨幣研究所
1992~1998年 洋装製本 0号・13~21号は1500円 1~12号は2500円
ゲームソフト会社のハドソン社が1992年から98年にかけて手掛けた古銭会誌で全22号が出版されました。内容は東洋鋳造貨幣に特化していて、当時の最先端の研究記事が随所に記載されています。当時としては破格の頒布価格に当初はなかなか手を出しづらかったものの、収集界では文献の少ない琉球泉譜や高麗泉譜の掲載や、遺跡発掘による年代再考紹介など、今見てもその内容の濃さに感心してしまいます。研究員に石川諄氏や増尾富房氏を迎えるなどキャラクターも豊富でした。100Pに満たない薄い雑誌にしてはかなり高いので、今でも古銭店での売れ残りや古本市場で丹念に探せばバラで入手することは可能だと思いますが、完全収集するのは至難かもしれません。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
銭の道 MTDジャパン(有) 編集・発行人 太田俊夫
2000年9月号・2001年.4月号 洋装カラー製本 販売価格500円
私は購読していませんでしたが、かつてコインポットという雑誌(1998年12月創刊)がありました。その雑誌社が「コイン愛好家のためのはじめての実践書」と銘打って発売したのがこの雑誌。わずか2巻で終刊してしまいましたが、手ごろなワンコイン価格と光沢紙を使用したグラビア印刷と超豪華。内容も初心者のため・・・といいながらコイン店探訪やら収集家紹介など重箱の隅をつつくようなマニアック度はピカイチでした。残念ながらその後の続巻が発行されず、今や幻の雑誌になってしまいましたがよくぞこの価格で取材活動できたなぁ・・・というほど日本全国を飛び回っています。このマニアックな内容にはまり、続巻の問い合わせをMTD社に私はしたのですが、残念ながらその後は続いていませんでした。惜しいなぁ・・・これ。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
キュリオマガジン フジインターナショナルミント株式会社
1997年~ 印刷発行 彩流社 洋装オールカラー製本
2012年現在で16年目になる老舗雑誌ながら、最近まで購読していませんでした。フジインターナショナルミント株式会社は1993年にコレクターズアイテム通信販売会社(富士産業)として設立。1999年には日本で初めての民間鋳造所として各国記念貨幣の企画鋳造事業請負を手掛けています。オールカラーの光沢紙印刷と非常に豪華な内容。しかしてその内容はコインだけでなく刀剣やおもちゃ、映画のチラシから記念切符までコレクターズアイテム全般に及び、旧ボナンザ誌をほうふつとさせますが、それもそのはずキュリオとは「骨董」の意味なのです。最近は穴銭に関する記事が増えてきたのか、故あって我がHPにも無償広告協力をしています。専門誌というより、読んで楽しむグラビア雑誌ですが、マニアとしてはこういう雑誌を育てたいものですね。

希少度☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
※バックナンバーは希少かもしれません。

 
歴史読本 臨時増刊 お金の百科事典 
1974年 印刷発行 ㈱新人物往来社 洋装巻頭カラー製本 412P 販売価格580円
歴史読本は1956年から現在に至るまで新人物往来社が編集発行している、歴史ものの月刊雑誌です。コインブーム華やかなりし昭和49年6月、流行に乗り遅れまいとこのお金の百科事典が刊行され、私も持っていた記憶があります。「古銭コインの世界と貨幣の基礎知識・これだけは知って欲しい貨幣の知識 特別企画 お金の知識100」とあり、内容は日本古銭だけでなく海外を含んだ貨幣全般の読み物で、当時としてはかなり突っ込んだ内容まで記述しています。あくまでも参考文献、副読本ですけど今読んでも新鮮な気持ちになれる内容です。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:拓本集(総合)】
銭幣館 蔵泉覚  田中啓文所蔵品拓本帳 (購入先:横浜古泉研究会)
袋とじコピー製本 限定30部 259P
A4版サイズが珍しい大型泉譜です。最近、たしか横浜古泉研究会の穴銭で入手した本なのですが、中書きなども一切なく、いつどこでだれが作った本なのか、いくらで購入したかも定かではありませんが、ここ3年以内で6000円ぐらいで買ったものだと思われます。銭幣館の出会った珍銭の拓本がこれでもかと掲載されています。稟議銭や試鋳貨幣も多く、中には購入年月日や相手、価格がメモされているものもあります。説明も何もありませんので、想像を逞しくして眺めるだけですが・・・楽しいですよ。私はこの中に自分の蔵品があるのを発見する、または蔵品に加えるのが楽しみなのですが・・・・目下のところございません。

限定30部とあります。
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
 
麗悳荘泉譜 (平尾聚泉輯) 発行 天保堂
1991年 袋とじ製本 210P 販売価格3800円
麗悳荘こと平尾賛平氏の昭和9年から14年にかけて行われた研究例会での出品拓本と、昭和9年平尾60歳のときの記念泉譜「聚泉碌什」ならびに昭和13年平尾商店創業60周年を記念して作成した「創業禄襲」を合本として天保堂が出版したもの。余計な解説などは一切なく、ただただ、古来からの有名珍品稀品が随所に顔を出す古銭の絵本です。あらゆるジャンルを含む玉石混交の泉譜ながら、昔の古泉家の名前が楽しく、また今とは違った名称を楽しみながらのんびり休日に眺めるにはうってつけの本です。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆
 
バリ島輸入古銭拓本集(上巻・下巻)
2006年 洋装袋とじ製本 上巻182P 2799図 下巻197P 3022図
鈴木幸泉氏がバリ島で発見、輸入した古銭の拓本集。案外知られていませんが、幕末の日本は銅銭の輸出が止まらない状況でした。流出した古銭は現地で流通したり、鋳つぶされて原料になったほかに、インドネシアでは古銭人形に組まれて儀式に使われたりお土産にされるなどしたようです。鈴木氏はそんな地方に埋もれた古銭に目をつけ、珍品を選り抜いて拓本にして残していたそうです。拓本集なので説明は一切ありませんが、とにかく珍品・希品のオンパレード。この拓本集にあるものと同じものがあれば、それなりに価値があるもの。泉譜にないようなものでもこの拓本集にあるかもしれません。私も泉譜などで確認できなかった島銭をこの泉譜に確認した時は感激しました。あくまでも眺めて楽しむ文献ですが楽しいですよ。
希少度☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
日本貨幣協会 例会五百回記念愛泉譜 埋火「うずみび」 日本貨幣協会
1999年 洋装製本195P 
記念泉譜ではありますが、さすがに例会500回の記念である為に中身は珍品希品のオンパレードになっています。この泉譜の掲載品の注釈を巡って北陸のM氏と協会側(K氏?)が収集誌上で大激論になったことは記憶に新しい。最後は収集側が仲裁に入り論を打ち切った形になりましたが、かなりヒートアップした事件でした。方泉處の明和期大字母子や英泉氏の天保銭型の萬年通寶、三納氏の不知長郭手奇書、神戸の田中氏の文久真文大様白銅母などまず見られない貴重な拓が楽しめます。
希少度☆☆ お勧め度☆☆ マニア度☆☆☆
 
拓本輯 御蔵銭 発行 工藤裕司(東洋鋳造貨幣研究所)
2004年 簡易コピー製本 46P 44図 限定50部 頒布価格1000円
A5版の手作り製本。手作り感満載です。これは世の中に浩泉丸の名前がはじめてでた記念拓本集なのです。名だたる日本の大家の中に混じって、私がなぜか2Pも占拠しています。島屋文小頭通細縁と俯頭通・・・きっとご覧になったかたは浩泉丸って何者だって思ったことでしょう。拓本も満足にできない私にかわり石川氏が手際よく採拓して下さいました。私のデビュー作品でもありますし、この世界から逃げるに逃げられなくなった原因の一つでございます。
希少度☆☆☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆
 
【ジャンル:その他古銭関係】
古銭語事典 編集 大鎌淳正 発行 日本貨幣商協同組合
1973年 洋装ハードカバー製本 外箱付 198P 販売価格6000円
布張りのハードカバー製本。紙質も当時流行していた百科事典を意識してか、厚手の光沢紙を使用。そのために当時の価格にしてもかなり高額の6000円もします。企画と意欲は買うものの、対象者が古銭収集の初心者ですからちょっと気合が空回りして、思惑とはうらはらに現在でも新品同様の古本が市場にあります。初心者はまだそんなに文献にお金をかけるほど意欲はありませんし、上級者は基本的な古銭用語は理解していると思いますから・・・。といっても、この私もこの本で数々の誤解、読み間違いを発見し、改めて古銭用語をきちんと初心者のうちに覚えておくべきだったと反省する次第。気になる方は古銭会で恥をかかないためにも、もう一度勉強しなおしたらいかがですか?
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆ マニア度☆☆☆
 
往時全国古泉家芳名録(明治10年~昭和19年) 瓜生有伸(天保堂)
1995年 袋とじ製本 105P 販売価格3000円
中のタイトルは往時全国古泉家芳名録ですけど、なぜか表紙だけは往時古泉家芳名録というように全国と言う文字が抜けています。文字通り芳名録であり、古泉家の泉号と名前、住所が掲載されているだけ。部分的に写真や生没年が記載されていますが、あとは付録として各地区の古銭会についての資料と古泉家番付、江戸時代の古泉家名簿がついているのみ。何も知らないで購入した方は絶対がっかりします。私のように人物を調べている人間にとっては泉号と名前の照合作業がはかどりますし、当時の古泉界の関係がわかるので貴重な資料です。ぜいたくを言えば、名前だけではなく、瓜生氏が収集誌に寄稿していたように人物像にも触れてほしかったと思います。なお、この文献は古泉家に興味のない方は無視してください。
希少度☆☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆☆(古銭家に興味ある方限定)
 
江戸時代の古銭書(上) 編集・発行 増尾富房(穴銭堂)
袋とじ製本 60P 販売価格4000円 26図
江戸時代の古銭書を通じて、当時の古泉家の探訪をする異色の研究書。増尾氏は方泉處時代に江戸時代の古泉家に関する連載をしており、方泉處のバックナンバーを購入して私はそれを愛読していました。残念ながら方泉處は22号で幕を閉じてしまい、増尾氏の藤原貞幹研究の見解が聞けなくなりがっかりしていたのですが、この本が出たことにより、わずかながらその研究を垣間見ることができました。しかしこの文献が最後の出版になったようで、下巻は日の目を見ず、謎の多い寛永堂稲垣尚友に関する氏の見解を聞くことはできなくなりました。研究書であり文献の話に終始しますので興味のない方にはお勧めはできません。定価も高かったので売れ残りはたくさんあると思います。
希少度☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆(古銭書に興味ある方限定)
 
銭聖一豊舎と符合泉志 著者 吉田昭二 
1984年 洋装ハードカバー製本外箱付 94P 私家蔵版(非売品?)
泉家・収集家覚書の記事を書いていて、どうしても一豊舎こと山田小兵衛は外せない存在でした。一豊舎については謎の多い人物で、符合泉志にある序文から推測したり、断片的な情報に頼るしかなかったのですが、吉田氏のこの文献があって話の筋がつながった気がします。吉田氏は現在の日本の古泉界にあって符合銭の第一人者。鳳凰山こと神野良英氏の師にもあたり、関西地区を代表する研究家だと思います。この本の内容は山田とその著書符合泉志の地道な探求です。専門書だと思ってください。(寛永銭・天保銭は出てきませんのでお間違いなく。)
希少度☆☆☆☆ お勧め度☆ マニア度☆☆☆☆☆☆☆
 
【ジャンル:オークション・入札誌】
オークション・ネットのコインオークション誌(年2回発行)
(有)オークションネット 2003年~ 洋装カラー製本 販売価格:年会費制4000円
東京都のワールド・コインズ・ジャパン社が手掛ける公開オークション誌。6月、12月の2回、有楽町の交通会館が会場になるのが通例です。オークション・ネットの名の通り、Webでも画像が公開されて応札も可能になるのが通例です。もともと本社が外国コイン専門なので、海外ものの内容が充実しているのですが、それだけに穴銭の堀だしものがたびたびあり、私もずいぶんお世話になっています。しかも年会費4000円で年2回の公開オークション誌と年2回の入札誌がセットでもらえるとはすばらしい。節約したい方はWebで閲覧できますが、この豪華な冊子は見逃せません。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆
 
オークションネットのコイン入札誌(年2回発行)
(有)オークションネット 洋装製本 販売価格:年会費制4000円
カラーグラビアはありませんが、古銭入札誌としてはとても豪勢なつくりです。こちらはフロアでの競い合いはありませんので一発落札を狙った一か八かの札入れです。
もちろん、Web上に画像も公開されるうえに、郵便入札、ネット応札も可能という親切設計です。
年会費を払わなくてもWeb応札ができるのがオークションネットの特色ですけど、この豪華な本は入手の価値はあると思いますよ。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆
 
銀座コインオークション カタログ
㈱銀座コイン㈱ 1988年~ 洋装カラー製本 販売価格2000円
日本でもっとも古くから続く、貨幣専門の公開オークションです。出品数も多く収集家から古泉商までが参加して熱い戦いを繰り広げます。日本の古銭売買相場を決めている感もあり.、非常に注目度も高いオークションです。会場は帝国ホテル。また、メール応札者がいない場合、設定値より低い価格での落札も可能という点がスリリングです。
カタログの写真も美しく、滅多に出てくることのない珍品を見たり、下見で触ることもできるのが大変な魅力。社長の竹内氏はなんでも鑑定団でおなじみの顔です。

オークションに参加するためにはこのカタログを購入することが求められます。古いバックナンバーは私も探していますが意外に出てきていません。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
※求むバックナンバー 1988年・1991年
 
江戸コインオークション カタログ
ウィンダム㈱(天保堂・田宮商会) 1989年~ 2000円
銀座コインオークションと双璧の貨幣専門オークションのカタログ。天保堂と田宮商会との共催でスタートしたものの、天保堂瓜生氏の急逝により、今は事実上田宮商会の単独開催になっています。
実は私が生まれて初めてメール応札したオークションでもあり、初参加したのもこのオークション。メールでは文久の細字長寶を参加では古寛永の俯永抬頭永を落とした記憶があります。
会場は品川の旧パシフィックホテル(現:ガーデンシティ品川)で、交流会は日本中から集まったコアなコレクターの社交場と化します。

希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
 
CCFオークション カタログ
書信館出版㈱・日本コインオークション㈱ 2005年~ 洋装カラー製本 収集7月号付録
日本コインオークション㈱はコイン商の㈱ダルマによって設立された日本で最も古いコインのオークション会社です。ダルマは海外のコインがメインであったのですが、それと書信館出版㈱がタッグを組んで2005年からはじまったのがCCFオークションです。日本コインオークションの方が歴史が古いので、第〇回・・・というような名称はついていませんが、歴史あるオークションなのです。
B5版のサイズながら、収集の7月号の付録というのがうれしい。(つまりタダ!)
第1部が書信館出版㈱担当の日本コイン関係、第2部が日本コインオークション担当の外国コインのオークションです。画像もきれいで参考になります。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
江戸コインオークション誌上入札
ウインダム株式会社(田宮商会) 2014年~ 不定期発行 登録制無償配布
平成26年にはじまった誌上入札です。誌代無料なのがありがたい。オークション参加者常連など、田宮商会さんが選定して送付しているそうです。
穴銭党衰退の中、この入札誌は穴銭どっぷりの世界を展開してくれています。表紙はカラーでカタログ用の上質紙使用。中は白黒のグラビア印刷風でまとめています。まだはじまったばかりですが、出品数も多く、今後の発展が期待される注目の入札誌です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
月間古銭入札誌 駿河
㈱大和文庫 1974年~ 年会費制:年3000円(年12回)
1970年代から連綿と続く老舗古銭入札誌。今も毎月800点以上の出品を誇ります。これだけ長くやっているとあらゆるジャンルにおいて珍品希品が出没します。その分、競争はとても激しいのですが思わぬ掘り出しがあるのも事実です。しかも、最近はWebによる写真公開もあり、ますます目が離せなくなりました。さすがにこれだけ号数があるとすべてのバックナンバーをそろえるのはほぼ不可能だと思われます。穴銭マニアとしてはまず、押さえておきたい入札誌です。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
不定期刊行古銭入札誌 穴銭 横浜古泉研究会 代表 関康輔
誌代無料 B4両面コピー 不定期発行
個人で発行している入札誌ながら内容の充実ぶりに目を見張ります。代表の関氏は温厚な方で、その人柄に惹かれてか、最近は様々な投稿や新発表も生まれています。

誌代無料ということなので、ある程度の応札がないと送付が打ち切られてしまうかもしれません。私は上客とは言えないかもしれませんがせっせと応札を続けております。雑銭買いの銭失い・・・をやらかしていますが、応札せずにはいられないのですね。数年前に100号に到達したため、今は番号をリセットしています。不定期刊行と言いながら、1~2ヶ月に1冊のコンスタンスなペースを守られております。私のコレクションの中核をなしているといっても過言ではないと思います。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆

2015年6月 関氏急逝により廃刊になりました。ご冥福をお祈り申し上げます。
 
不定期発行入札誌 下町 下町古泉会 代表 赤坂一郎 
2006年~ 年会費制:3000円(年10号) B5サイズ両面コピー
入札誌部分と最低価格表の2部から構成される入札誌。最近は読み物の方も充実していてそれを眺めるのも楽しみです。ときおりとんでもない珍品が出てきますがなかなか落とせていません。それだけライバルも多いのです。赤坂氏と言えば絵銭の大家なので、絵銭コレクターは必見でしょう。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
幣泉 発行人 北村隆洋 
誌代無料 B4両面コピー 不定期発行
個人主催の入札誌で、1~2ヶ月ごとに発行されます。穴銭全般の入札誌で、紙面全部を使って300品以上の出品がされています。号数も重ねて平成24年度でまもなく250号を迎えようとしています。
一時期、安南寛永に凝ったときはかなりお世話になりました。安南寛永は何でもアリで面白いのですけど、最近は新しいものがなかなか出てきません。一時期は誰も見向きもしなかったジャンルだったのに・・・またお待ちしております。
希少度☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
 
 
貨幣入札誌 鈴鹿 発行人 柴田宣夫(守)
1号~175号(2006年9月) 誌代無料 B4両面コピー簡易製本 
鈴鹿は私が最もお世話になった入札誌です。ほぼ毎月発行されており、逆算すると1991年頃から発行されていたと思います。私は45号(1995年)から資料を保存していますが、その間に寛永銭を中心に基本銭、手替わりを相当数購入しています。ある意味、この鈴鹿がなかったらこのHPはなかったともいえます。発行人の柴田氏とは一度もお会いしないままこの入札誌は休刊になってしまいました。
希少度☆☆ お勧め度☆☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆
 
浅草古銭会 入札誌 御蔵銭 東洋鋳造貨幣研究所
2002年4月~2006年(創刊号~24号)
方泉處については泉家・収集家覚書に詳しく記していますが、ハドソンがコナミ傘下になったあとに東京都内で浅草古銭会を立ち上げてこの入札誌を機関誌として発行していました。なかでも19号には江刺銭の分類が載せられていてHP記事に大いに利用させていただきました。
方泉處については北海道時代に季刊方泉處以外にも定期的に方泉處通信というミニ新聞的な記事の提供を会員に行っておりましたが、私は会員機関が短かったためほとんど資料として残していません。それでも記事の中には江刺銭の分類など今見ても使えるものが散見されます。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆☆
※江刺銭の分類に関しましては、秋田の菅原様から秋田貨幣ニュースのご提供もいただいております。
 
入札誌 蘭 発行人 大谷敬吾 1号~75号(1994年~2003年9月) 
年会費2000円 B4両面コピー簡易製本 不定期発行
天狗寛永を発表された大谷敬吾氏が主催していた入札誌で、私の参加は11号(1995年)からです。私の知る限りでは75号で休刊になっていると思いますが、私が収集を再開した直後には大変お世話になった入札誌です。
希少度☆☆☆ お勧め度☆☆☆☆ マニア度☆☆☆☆☆

なお、入札誌についてはこのほかにも「スズコー」「埼京」などにも大変お世話になりました。